外傷が無いと言っても、全身ひっくり返して確認した訳じゃないだろう?
前に、酒場で転んで頭を打って死んだヤツがいた。ぱっと見綺麗なもんだったぞ。
それに、クレストの言う、病気や毒物の可能性もある。
嫌な想像するなら、俺たちを魔女として殺す為にあの女を犠牲にした可能性すら、考えられる。
…狂った人間なら、それぐらい、しそうじゃねぇか。
俺は案外、お前が最初に言ったことが本当なんじゃねえかと思ってるよ。
[少し落ち着いた様子のイルマの頭をよしよしと撫でつつ、ミハイルに目をやる]
裁判官の目から見たら、ここに魔女が居るって言ったろ。
[裁判所に連れてこられてミハイルと会って、彼と交わした言葉を思い出す]
あいつらにとっての「魔女」って言うのが、いるのかもな。
[言っていて、ため息しか出ない]
抗うか――突き出すか。
あぁ、あとひとつ、自分が魔女だって告白するのも、ありか。
……どれもあまりよい選択肢に見えねぇな。
[煙草に火を付けつつ、見回す。外はそろそろ暗くなっているだろうか。]
どうするんだ?
仮に突き出すとして、誰を、―――…。
[いつも飄々としている男の顔が、珍しくはっきりと困惑に歪む。言葉の続きは、言えなかった]
…自分が魔女だって? なんで、そんな。
[想定外の言葉に驚いて]
魔女じゃないのにそんな嘘つくなんて……
100歩譲ってそれで終わるなら
いいのかもしれないけど、
実際は、それでも終わらないと思う。
他にも魔女はいる、とか言い出してね。
……あるのかな。最善の選択肢。
……。
[突き出す相手を問われ>>42、答えられなかった。]
魔女が一人いれば、他の奴らは解放して貰えるかもな。
[助けてあげますよ。そう言う黒衣の女の声を思い出した。]
でも、それはあくまで「かも」でしょ?
……本当に1人だけで満足するかな……
魔女を「根絶やし」にしようとする
連中だもの。
一度疑いをかけたら、それを覆すような
ことをするとは思えないの。
……魔女ではなく人間を殺したって
認めたくないから。
[ふと思う。
亡き女裁判官は人間を殺してしまったから
感情を殺していたのかもしれないと]
裁判官が納得するような"魔女"を、演じるってこと?
でも、それじゃまるで。…生贄だ。
―――やっぱり、裁判官のしちゃおうか。
[乱暴な結論にたどり着きつつ、緩く拳を握る。
脳裏に一瞬浮かんだのは、"持ちかけられた"取引のことだった。密告すれば、助けてやると言われた。信じたわけではない。誰にも死んでほしくはない。…死にたくは、ない]
そう、生贄だ、クレスト。
[クレスト>>48に頷き、見回す。]
誰も自分が魔女だと言い出すヤツはいないんだな。
なら俺は、時間が来たなら此処にいる誰かを魔女として告発する。
そいつが裁判官の満足いく魔女だって祈るさ。
…俺は、死にたくないんでね。
あと、裁判官を伸す?
処刑を行うようなプロ相手にどうにかなると思ってんなら、甘いと言おうか。
解っても今は役に立たないだろうしな
[エリッキに頷く]
奴らより先に魔女が死んだと喧伝してしまえばしばらくは収まる、か?
[だが、誰を、とか、どうやって、と問われれば、口をつぐむしかない]
変わったな、とは言わねえよ。
[ミハイルの宣言に肩をすくめる]
それが俺でも恨みはしねえし。まあ……
[ちょっくら席はずすわ、と。
ポケットに手を突っ込むと歩き出す**]
――…どうにかなると思って、言ってると思う?
[ミハイルへ向ける表情は、暗い。エリッキはともかく、この本屋が荒事に慣れている筈もない]