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[呟いた後、ふと視線を上げればギンスイの姿]
お、いたいた。
おーい、ギンちゃーん。
[ぶんぶん、と振り回すのはてるてる持った右の手。
事情を説明した後の様子に、気にすんな、と言ってにぃ、と笑った]
ん、でも、花畑にいたのに最初に気づいたの、ヌイっちだから。
言われんかったらオレ、気づかんかったし。
[ここまで言って。次の言葉の前に、ちょっとだけ真面目な面持ちに]
……それよか、ギンちゃん。
ネギ兄やん、どっかで見たか?
[タカハルにこっくり頷いて]
おお、ヌイにも礼を言わんとな。ンガムラさんにも、探してくれた他のみなにも。
ネギヤさんにも、えらい迷惑かけるとこじゃった。
……ん?
ネギヤさん、おらんのか?
イベントの打ち合わせでもしとるんとちゃうんか?
ワシは、姉ちゃんおらんてンガムラさんに聞いてから、お社へ行って今下りてきて……その辺ちょっと歩いたが、見かけなんだのう。
[裏山を降りた後、ホズミを探そうかとも思ったが、一旦家に帰る事にした。帰り道。笛を吹く気にもなれず、とぼとぼと]
……お姉さん、見つかったかな。
何もないといいけど……
[呟きつつ、歩いていく]
そか、見てないかぁ。
んー、それがさあ。
[がじ、と頭を掻いて]
なんかさー、ネギ兄やん、いきなり消えたんだって……ガム兄の軽トラん中から。
ま、見てたら見てたで、びっくりだけどなぁ。
[くすり。
表と裏腹、零れるのは、笑み。
見られてはいなくとも、知られているのはまだ、知らない話]
は?
軽トラん中から?
すまん、意味がわからん。どういうことじゃ。
ドアでも開いて、転がり落ちたんか?
や、そんなら怪我くらいするじゃろうけど、消えたりはせんのう。
突然[歌手デビューを持ちかけられた]か?
……誰が持ち掛けんだよ、それっ!
いや、乗っていきそーだけど!
[最初に入れるのは、突っ込みだった]
なんか、乗せて走ってたら、いきなり消えたんだって。
落ちたとか、そういうんでもなかったらしいぜ?
わけわからんのう。
姉ちゃんが見つかったと思ったら、今度はネギヤさんか。
歌手デビューするとしても、今この時期だけはあり得んじゃろ。
ネギヤさんが、イベントを捨ててどっかへ行きよるとは思えん。
自分の意思で消えたんでないとすると……おおごとじゃの。
ンガムラさんに、話聞いてみた方がええんじゃろか。
姉ちゃん送ってくれた礼も言わねばならんし、ワシちょっとンガムラさん家へ行ってみるわい。
[そのうちに家に到着した。具合でも悪いのか、と母親に聞かれ、風邪気味らしいと答える。心配がる様子に、首を横に振り]
……はあ。
[自分の部屋に戻ると、溜息を吐きながら、机に向かった]
あんまり、考えても……仕方がないよね。
うん。
[気分を変えようとするように言うと、引き出しから掃除棒を取り出し、ガーゼを巻き付けて。リコーダーの内部を掃除し始め]
ほんとだよなー。
[わけわからん、という言葉に頷いて]
そも、走ってる車の中からってーのがアレだし。
ネギ兄やんがイベントほっぽり出すってのも、ないだろしなぁ。
ん、詳しい話は、ガム兄に聞いた方がいいだろ。
オレは、も少し探して歩いてみるわ。
怪談はやめろよ。
[自転車を漕ぎ出したヌイの背中に呟いた。
助手席をちらりと見やる]
そういうのは、ごめんだ。
[軽トラは低速で進んで行く]
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