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[また誰かが狙われるという言葉にビクリとする。二宮だけでなく、また誰かがあのような姿になってしまうのだろうか…。
無意識に小春の服の裾を握りしめていた]
んっとね、六花は見分ける目か、聞ける耳のどっちか片方は言ってほしいのね。
今のままじゃ何も分からないのね。でも、皆一気に名乗っちゃうと鬼さんに狙われるんじゃないかって思うのね。だから、どっちかなの。
六花はどっちかというと見える目の人が出てきたほうがいいと思うのね。
[一生懸命考えながら言葉を紡ぎ出す]
そしてね、投票?って紙に書くのよね?
耳の人はそれで分かるようにしたらいいと思うのね。
[なんとか一通り話終えると息をついて壁に凭れた**]
[小鳥遊から借りた水筒で茶を一口頂く。
すぐに持ち主にそれを返すと、塾講師と名乗った近藤と共に二宮の遺体を座席シートへと移した]
……。
[青ざめ物言わぬ顔は眠っているようだ。授業の時を始め、生前の様子を知っている故か、痛ましくてたまらない。
今いる状況から帰れたとして、保護者にどう説明をつければいいのだろう]
[だがそれを悩むのも、ここから出た後の事だ。
どうやら、半年前の青玲学園で起きた事がこの身の上に現実として起きているのだと自覚をする。
椎名の豹変や、この状況を待ち望んでいたかのような近藤の態度は怪しいが、少なくとも戯言ではなさそうだと解釈する]
…これも、使おうか。
[スケッチブックを取り出し講釈を垂れる近藤の後で、ポケットから手のひらに収まる大きさのボイスレコーダーを取り出す。
パトロールの際、万が一有事が起きた時のために、情況証拠を保存しておくための備品として、学園で配布したものだった]
まだ混乱して、状況が把握できない生徒も居るだろう。
落ち着けたら後で会話を遡れるように。操作が分からなかったら、先生に聞いてくれ。
[既に死人が出ている状況が現実だと受け入れざるを得ないのであれば、この状況から打開する策を講ずる必要がある。
不安そうな顔を向ける生徒たちに、繰り返し案ずるなと頷き返す。
こうなるきっかけとなった深夜外出に関しては、無事に帰れた後でみっちり小言をくれてやればいい。
同僚の小鳥遊や生徒たちに向けて、空いている座席へと腰を下ろすように促す。
座るという行為だけで、いくらか落ち着けそうな気がした]
[「座ろ?」と座席を示して弓槻に尋ねたが、どうするかは彼が決めることだろう。
座って深くため息を吐いて頬を抓る。
夢じゃないことだけは確かのようだ。
ぼんやりと周りを見て
暫くの後、近藤の声が聞こえ、聞き入った。
「次に誰かがやられる。」
その言葉を聞いて、表情を硬くした。
小鳥遊の声や村瀬の声が聞こえ耳を傾ける。]
ん。
私は見分ける目の人は名乗ってもらうのがいいと思う。
耳のどうのこうの人は紙に書いて名乗ってもらうべきかしらね。
どっちにせよ、黙っているよりは…名乗ってもらったほうがいいと思うよ。
二宮をこうした元凶…あの鬼火を操る者がいる。
[得体のしれない何か。頭の中に直接訴えかけてきた声に従うと、どうやら何かしらの手を打たないと、自分たちも二宮の後に続く事になるらしい。
周囲を見回す。
どうやら、それを執り行う人物がこの中に二人、含まれている…と。
ほとんどが今日、学校で会った生徒たちばかりだ。今は皆パニックに陥っているが、その様子は平常に居た姿からは何らかけ離れてはいない]
…つまり、見た目にはすぐに分からないって事か。
それを見極めるためには、特殊な能力が要る…。なるほど、…つまり俺たちの対抗手段は、その能力って事なのか。
[頭の中を整理しながら自然と独り言が漏れる]
あー…俺も…いや、先生もその意見に賛成だ。
ひとまず、見える者だけ名乗りでればいいかと思う。
[小鳥遊や村瀬、櫻木の声の後で同意を示し頷く]
本当は全員把握したい所だがな…鬼の立場からすれば、能力を持つ者は邪魔だろう。
邪魔を排除しようと、…二宮と同じ目に合わせないとも限らない。
…で、隣の車両へ移る者を各自が希望を出し、投票する。
同じやり方で、聞く者がどうにかして名乗り出る。
[投票で決めた人物を隣の車両へ移らせるというやり方が、果たして正しいのか分からない。
ただ、鬼と疑わしい人物を何らかの方法でこの場から外さねばならない、という使命感に似たようなものは抱いている]
…こんな状況だが、少しでも休める者は休んでくれ。
投票で誰かを移らせる…というのは、よく見極めなければならない。少しでも冷静に…取り乱したら、鬼の思うツボだからな。
[少し前の自分にも言い聞かせるように伝えると、シートに深く腰を埋めて瞑目した。
眼の奥に圧すような痛み。頭が鉛のように重かった]
[この状況になれるには、もう少し時間がかかりそうだ。
だが、次の鬼火が現れる前に…──敵が仕掛けてくるなら、必ずあの炎は現れるだろう──手を打たねばならない]
やられる前に…やらないと…
[周囲の会話に耳を傾けているうちに、疲労からか、わずかな間だけ意識が遠ざかる。
もう少し、色んな人物の声が聞きたいと願いつつ、その間の会話はボイスレコーダーに拾わせる事にして、しばし休息を取る事にした。**]
ああ、いや…
櫻木さんだけ座るといいよ。
今座ったら立ち上がれなくなりそうだ。
[櫻木の座るかという問いに首を振る。
大きく息を吐き幾らか落ち着きを取り戻せば]
状況はよく理解し難いけれど、
今が危機的状況なのは理解しました。
僕は…何か鬼に対して対抗の出来る人について話す前に聞きたい事があります。
近藤さん、でしたっけ?
その、隣に移ってもらう人の投票は皆で意見を合わせるんですか?
それとも各自が選んで投票を?
[まるで講師のように現状を説明する近藤に、すっと手を挙げ質問を投げる。]
出てくるのなら問題は無いと思いますが、身を潜めるのなら余程上手く隠れて貰わないといけないように思います。
それに票を揃えないのなら…
鬼の声が聞ける、という方に投票で意志を示して貰うことが出来ない。
しかし、この状況で票が揃うとは考え難い。
…僕の懸念事項はこんな感じですね。
[ゆっくりと周囲を見渡し表情を曇らせ、再び近藤へと向き直る。]
じゃあ、どうするんだという話ですよね。
他人に意見を委ね思考を止める事は愚かな事だ…
僕は鬼が見える人にも鬼の声が聞こえる人にも出てきて貰いたい。
ただでさえ状況を判断する材料が少ない。
なら、少しでも信用に足る人間を増やしたいと考えます。
[人見知りの過去からあまり喋り慣れていない所為か少し頬を上気させ扉にもたれ掛かる。**]
[投票の結果、誰かを隣の車両に、という意見に]
ああ、まだみんなも踏ん切りがつかないだろうし、それでいいんじゃないか?結局は、一緒だと思うけどな・・・。あと、鬼を見分ける、ってのは重要だと思うから、俺も出てきてほしいと思うな。じゃないと、話のとっかかりもないだろうしな。
それはそうと、二つほど提案があるんだけどさ。まず自己紹介しないか?このままじゃ誰が誰だかわからないだろうしさ。
俺は、バク。椎名バクだ。煌星学園の二年生。一応話しておくと、半年前の青玲学園の事件で、親戚がいなくなってな。いろいろ探してたから、それなりにいろいろ知ってるんだ。・・・クルミちゃん、俺本当はそんな理由で休んでたんだ。ごめんな。須藤・・・先生も、さ。
あともうひとつの提案は、この汽車の中、一応見回っておかないか?両側にドアがあるからここは端じゃないんだろうけど・・・。なんか古臭いデザインだし、もっといい席とか、食堂車とかあるかもしれないしな?
一人も二人も避けたほうがいいだろうし、何人かでいくといいと思うんだが・・・。とりあえず俺は行くから、誰か来てくれよな。
[自己紹介が一周したら、希望者と一緒に隣の車両に向かうだろう**]
[弓槻が話すのを聞いて思い出したように顔を上げる]
六花は意見出し合って、皆で票を揃えるのに賛成なのね。
あと、もし耳の人が投票ではーいすることになったのに追い出されそうになったならその時はすぐにはーいしてほしいのね。
[言い終わると周囲を見渡して、未だ状況を捉えられてないのか落ち込んだ様子の下級生達を見ると、鞄を漁りチョコレートの袋を出した。個包装されている一つを手に取り、先ほど声を上げていた鷹野に差し出す]
あのね、甘いの食べたら落ち着くのね。はい、どうぞ。
コハルちゃんもナオちゃんも、ケンくんもはい。
[手近に居る人にも渡すが、一人一人に渡して回るよりはとボイスレコーダーの隣に置いた]
皆も、お腹すいたら食べてね。
[そして椎名が自己紹介をしているのを聞いて自分も同じように倣い、車両の見回りに付いて行くことにした**]
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