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[「先輩は」元に戻れるといい、との言葉に、腕をつかむ手へ思わず力が篭った。
グミを空いている手で受け取って、少し迷ってから口に放り込む。
掴んだ手は離さぬまま、胸ポケットから金平糖が詰まった小瓶を取り出して、少女に差し出した]
小鳥川は、これからどうするつもりなんだ?
みんなで掃除すれば
もっと素敵なところになりますよ。
[他人事のように言った]
ええ、知ってたんです。
ネギヤさんは。
おかしな現象を直すための答えを。
[自分もそれを知っているかのように、
きっぱりと言いきった]
世の中謎だらけなんですよ。
さしあたっては兎さんを探そうかな、と思っております。
[>>68迷って、それからおずおずと小瓶を受け取る]
先輩、金平糖とか、似合わないですね。
あはは。
みんなで、か。
まずなんで立ち入り禁止なのか、よね。
[現実味を帯びない響きを聞けば、こちらも、まわりを見回してあきれたようなため息をついた]
おかしな……?
[はっきりとした声音に首を傾げた。
おかしな、と感じるような過去、男は上手く思い出せないから、ただ壊れた腕時計を見る。
止まったままのそれ、いつから、こうだっただろう?]
それ、アナタ、直せるの?
[やはり、ゆるりと、問う]
立入禁止… だっけ、ここ。
[さくりと草を踏んで、祠前のふたりのもとへ。]
ライデンくんとミナツ坊も、
いなくなっちゃった…
ここが、忘れられてたから…なの ?
[寂れてもなお清浄な空気を壊さぬように、
声は自然と辺りをはばかる態にささやいた。]
[立ち入り禁止、の言葉に少女は語り始める]
昔々、流れ星に乗って異星人がやってきました。
異星人は代償と引き換えに
願いを叶える力を持ってました。
願い事をかなえるために
村の人たちはこぞって異星人に願い事をしました。
最初はよかったのですが、
同時に叶えられない願い事があったり
あまりにも小さな代償で
大きな願いを叶えてもらおうとする
欲深い者も現われ――
異星人はとうとう願いを叶えることを
やめてしまいました。
怒った村人は、異星人を祠に閉じ込めてしまい
その扉は二度と開かれることがありませんでした。
村人はそれを隠すため、事情を隠して
ただ「立ち入り禁止」ということだけ
残しました。
……これが答えです。
この祠が立ち入り禁止になった理由の。
[知るもののないはずの歴史を語り終えた]
…まずは出口を探さないと…?
一体何処なんだココは。
[仕方なく、続く道筋をたどり歩き始めた。程なくして人の話し声が聞こえてくる]
はい、写メします。
[>>74ライデンの視線を追って、眉間に皺を寄せた]
えっ……
ドア、なくなっちゃったじゃないですか!?
えー? しんじらんないー! 先輩のせいですよ!?
[ひとしきり叫んだあと、静まりかえると聞こえる星の砂の音。
その向こう、もっと遠くから聞こえる声]
[ねがいごと、かなえてあげる。
ああ、誰が言っていたっけ]
まるで……
[言いかけて、祠の前に進み出た人物に瞬きした]
おりんちゃん。
どうしてここに。
えええ、何でだ俺ァ何もしてねえ…!
[言いがかりをつける後輩には軽くチョップをかましておいた。
何処からか聞こえてくる砂の音にふと言葉を止め]
星の崩れる音って、……これか?
[どうして?
なんで?]
さっきからそんな言葉ばかり繰り返しているわね。
[さっきからじゃない、覚えていないだけだ。
時計が止まる、前からずっと。
祠を掃除し出すパオリンに、そっと軍手を差し出した。掃除用具のつもりは無くても、ぞうきんの代わりになるものなら沢山ある]
だってあたし、帰りたくないです!
痛いー……
[大げさに痛がって俯くと、足元に青い兎が跳ねているのが目に入った]
あっ……?
[転げるように、兎へ手を伸ばす]
異星人は星を呼ぶ力を持ってます。
だから、異星人を返してあげれば……
いや、解放だけでもすればみんな元に戻ります。
あと、流れ星を見たら無事に帰れるように
祈ってください。
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