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あー…俺も…いや、先生もその意見に賛成だ。
ひとまず、見える者だけ名乗りでればいいかと思う。
[小鳥遊や村瀬、櫻木の声の後で同意を示し頷く]
本当は全員把握したい所だがな…鬼の立場からすれば、能力を持つ者は邪魔だろう。
邪魔を排除しようと、…二宮と同じ目に合わせないとも限らない。
…で、隣の車両へ移る者を各自が希望を出し、投票する。
同じやり方で、聞く者がどうにかして名乗り出る。
[投票で決めた人物を隣の車両へ移らせるというやり方が、果たして正しいのか分からない。
ただ、鬼と疑わしい人物を何らかの方法でこの場から外さねばならない、という使命感に似たようなものは抱いている]
…こんな状況だが、少しでも休める者は休んでくれ。
投票で誰かを移らせる…というのは、よく見極めなければならない。少しでも冷静に…取り乱したら、鬼の思うツボだからな。
[少し前の自分にも言い聞かせるように伝えると、シートに深く腰を埋めて瞑目した。
眼の奥に圧すような痛み。頭が鉛のように重かった]
[この状況になれるには、もう少し時間がかかりそうだ。
だが、次の鬼火が現れる前に…──敵が仕掛けてくるなら、必ずあの炎は現れるだろう──手を打たねばならない]
やられる前に…やらないと…
[周囲の会話に耳を傾けているうちに、疲労からか、わずかな間だけ意識が遠ざかる。
もう少し、色んな人物の声が聞きたいと願いつつ、その間の会話はボイスレコーダーに拾わせる事にして、しばし休息を取る事にした。**]
ああ、いや…
櫻木さんだけ座るといいよ。
今座ったら立ち上がれなくなりそうだ。
[櫻木の座るかという問いに首を振る。
大きく息を吐き幾らか落ち着きを取り戻せば]
状況はよく理解し難いけれど、
今が危機的状況なのは理解しました。
僕は…何か鬼に対して対抗の出来る人について話す前に聞きたい事があります。
近藤さん、でしたっけ?
その、隣に移ってもらう人の投票は皆で意見を合わせるんですか?
それとも各自が選んで投票を?
[まるで講師のように現状を説明する近藤に、すっと手を挙げ質問を投げる。]
出てくるのなら問題は無いと思いますが、身を潜めるのなら余程上手く隠れて貰わないといけないように思います。
それに票を揃えないのなら…
鬼の声が聞ける、という方に投票で意志を示して貰うことが出来ない。
しかし、この状況で票が揃うとは考え難い。
…僕の懸念事項はこんな感じですね。
[ゆっくりと周囲を見渡し表情を曇らせ、再び近藤へと向き直る。]
じゃあ、どうするんだという話ですよね。
他人に意見を委ね思考を止める事は愚かな事だ…
僕は鬼が見える人にも鬼の声が聞こえる人にも出てきて貰いたい。
ただでさえ状況を判断する材料が少ない。
なら、少しでも信用に足る人間を増やしたいと考えます。
[人見知りの過去からあまり喋り慣れていない所為か少し頬を上気させ扉にもたれ掛かる。**]
[投票の結果、誰かを隣の車両に、という意見に]
ああ、まだみんなも踏ん切りがつかないだろうし、それでいいんじゃないか?結局は、一緒だと思うけどな・・・。あと、鬼を見分ける、ってのは重要だと思うから、俺も出てきてほしいと思うな。じゃないと、話のとっかかりもないだろうしな。
それはそうと、二つほど提案があるんだけどさ。まず自己紹介しないか?このままじゃ誰が誰だかわからないだろうしさ。
俺は、バク。椎名バクだ。煌星学園の二年生。一応話しておくと、半年前の青玲学園の事件で、親戚がいなくなってな。いろいろ探してたから、それなりにいろいろ知ってるんだ。・・・クルミちゃん、俺本当はそんな理由で休んでたんだ。ごめんな。須藤・・・先生も、さ。
あともうひとつの提案は、この汽車の中、一応見回っておかないか?両側にドアがあるからここは端じゃないんだろうけど・・・。なんか古臭いデザインだし、もっといい席とか、食堂車とかあるかもしれないしな?
一人も二人も避けたほうがいいだろうし、何人かでいくといいと思うんだが・・・。とりあえず俺は行くから、誰か来てくれよな。
[自己紹介が一周したら、希望者と一緒に隣の車両に向かうだろう**]
[弓槻が話すのを聞いて思い出したように顔を上げる]
六花は意見出し合って、皆で票を揃えるのに賛成なのね。
あと、もし耳の人が投票ではーいすることになったのに追い出されそうになったならその時はすぐにはーいしてほしいのね。
[言い終わると周囲を見渡して、未だ状況を捉えられてないのか落ち込んだ様子の下級生達を見ると、鞄を漁りチョコレートの袋を出した。個包装されている一つを手に取り、先ほど声を上げていた鷹野に差し出す]
あのね、甘いの食べたら落ち着くのね。はい、どうぞ。
コハルちゃんもナオちゃんも、ケンくんもはい。
[手近に居る人にも渡すが、一人一人に渡して回るよりはとボイスレコーダーの隣に置いた]
皆も、お腹すいたら食べてね。
[そして椎名が自己紹介をしているのを聞いて自分も同じように倣い、車両の見回りに付いて行くことにした**]
[バクに続きロッカにまでも「オジさん」呼ばわりされたことに思わず眉根をあげるが、「先生」でなければそう呼ぶしかなかろうということに思い至り気を鎮める。そんなことに神経を遣っている場合ではない]
そう。いい絵だなと思って拾ったんだ。ロッカちゃんが描いたの?
[彼女の独特の雰囲気を感じとり、できるだけやわらかい口調と表情で話しかけるように努める。
その後、バクの自己紹介と探索の案を聞いて、ちょっと困ったように眉を寄せ]
すまん。俺はちょっと喉が痛くなってきたんでパスさせてもらう、一応さっき名乗りはしたし。それに、ここに残る人間も居たほうがいいだろうしな。
―回想―
[はぁ…と深く溜息をつく。
彼ら―バクと近藤―の言う事はそう簡単に理解できるものでは無かった。]
青玲学園の事件と、僕らが今体験しているこれが同一…?
[あの事件については、神隠しが起きたという報道くらいしか、寺崎は把握していない。
だから、近藤が詳細に話す言葉を聞いて、ようやく事件との関連性を感じ取ったのだった。]
何を信じていいのか…。
[なぜ近藤が詳しい話を知っているのかは分からなかったが、作り話とも思えなかった。
しかし、誰かを疑うなど、自分にできるのだろうか。
気持ちを落ち着かせようとしても、そう簡単に整理はつかず。弓を握り締める左手には力がこもっていた。]
…はっ、この電車って動いてるんだよな…?
運転席とか…脱出口とか確認してくる――!
[駆けだそうとした際、すぐ近くで、近藤と須藤が2人がかりで二宮の身体を座席シートへと移そうとしているのが目に入った。
ふとドアの上辺りを見ると数字が書かれており、皆が集められて居るのは{4}両目らしい事が分かった。
まずは運転席の様子を確認しに行こうと動きだした。]
[速足で駆けて行き、運転席への入り口まではすぐに辿りついた。
だが、1両目から運転席へと繋がる扉を手で開けようと力を込めても、びくりとも動かない。
窓から中を覗こうとしても、やはりその向こう側は暗闇に閉ざされていて様子を窺う事は出来なかった。]
くそ…っ、誰がこんな事仕組んだんだ…!
[深く息を吐き、一度呼吸を落ちつける。
そして、手にしていた弓を袋から取り出して矢をつがえる。扉へと狙いを定め、ガラスを割ろうという考えだった。]
割れてくれ…頼む……!
[そう呟いて右手を離せば、矢は正面に見据えたガラスへと、空を切る音をさせながら一直線に向かい――]
……割れて…ない。
[ガン―ッという鈍い音を響かせただけで、寺崎が放った矢は虚しく地面に転がるのみであった。
その後、非常扉も探ってみたが、やはり開く事は無く、脱出不可能だという現実を突きつけられるだけの成果に終わる。
皆が居る所へと戻り、誰かに様子を聞かれたなら、悔しげな表情のまま首を横に振っただろう。]
―回想:終―
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