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[青年の大声にびくりと肩を揺らし。
謝罪には小さく首を振って]
……叶わないとしても、願わずにいられない想いはあるよ。
[俯いたまま呟いて]
今日はありがとう。またね。
[無理矢理に笑顔を作って手を振って、静かにその場を立ち去った**]
[少女が立ち去る様子を見送ります。イマリがいれば、気まずそうな表情を見せたでしょう。別れの言葉もなく、足早に山の上へと歩いていきます]
……御縁だの願いだの、弱き者の妄想にすぎん。何の役にも立たん。
大切なものを護るのに頼れるのは、己の力だ。
[縋るように、腰に下げた木刀を握り締めました**]
─職員室─
[生徒達を見送って、職員室の自分の席に戻る]
え──はい。伺うつもりです。
私みたいなのが、何かを言って良いのか迷うのですが…。
[集会について尋ねる同僚に、困ったような顔をする]
お先に失礼します。
[メタルフレームのメガネを直し、黒い大きな鞄を手に、麦わら帽子を被ると、職員室から出た]
─校庭─
[校庭の片隅に置かれた百葉箱をそっと開いた]
さすが。
[備え付けられた藁半紙に、温度と湿度がきちんと記されているのに、笑みを浮かべる。
静かに百葉箱を閉じて駐輪場へ]
─村の中の道─
[いかつい自転車に長いスカートをひらめかせ、時折出会う人に『こんにちは』と挨拶をしながら集会場に向かう。
帽子の下の表情はやや固い。
坂の上にある集会場。
最後は、自転車を押しながら到着]
いいお天気ね。
[片隅に自転車を止めると、麦わら帽子を外し胸元に抱え、まぶしそうに太陽を見上げた]
─集会場─
失礼致します。
[老人達と中年たちにおどおどと挨拶をして、その中に自分と同年代の若い姿を見つけて、ほっとしたような顔をする]
『ネギヤさん、今日も熱弁をふるってる』
[壁に掛かる時計を見上げれば、まだ開始前だというのに、ネギヤは周囲の者へ積極的に話していた──お饅頭を食べながら]
[居心地が悪そうに隅に腰掛けていたが、何かの拍子に意見を聞かれた]
あの…。
私は、家から学校までの間に、森や茂みなど暗いところも多く、クラブ活動で帰りが遅くなる子が安全とは言えないと思います。
だから、ネギヤさんのおっしゃるとおり、整備いただいて、街灯のある、綺麗な村になるのは、良いことだと思うのです。
それに…最近、神隠しなどと騒がれていて、それで子供達が不安がりはしないかと、とても心配です。
[途切れがちに説明を終える]
いえ、あの…すいません。
[ゆっくりと頭を下げた。
そうして、麦わら帽子の縁をぎゅっと握り*俯いている*]
[一人、山の上から、曇り空と眼下に広がる景色を眺めています]
時代に取り残されれば、待ち行くは滅びの運命のみよ。
……伝統だの崇りだのと、下らん話。
[木刀を振ると、空を切る音が*響きます*]
[集会所では今日もまた。
大人たちがいろいろと相談しているのだろう。]
テレビ…欲しいよね…。
この村だとネギヤさんのとこ1台ぐらいなもんだし…。
きっと…天気をテレビで予報する時代が来ると思う…。
[教科書を開いたまま。]
ぎょえー。閉まってる!往診中……!?
[ユウキとすれ違えず、診療所にたどりついてしまっていた]
し、死ぬ。絶対死ぬ。
[ぜぇぜえと荒い息をつきつつ]
集会所……行ってみるかな……。先生も、もしかしたらいるかも。
[日の陰り始めた道をとぼとぼと歩く。
行くべき場所は特にない。集会場にも用事はない]
……ん?
[診療所前で騒いでいる男性を見つけて]
具合悪いのかな。
[傍目にはなんだか元気そうだが、男性の顔色は悪いように見える。
声をかけるか迷っているうちに、男性はどこかへ行ってしまった]
きゃあっ!
[やってくるなり倒れたグリタを見て、悲鳴を上げる]
…。
[集会場の人々は動じない。
ネギヤは、饅頭を食べながら熱弁をふるっている]
婦人会の…ええと。
[いつもてきぱきと働いている女性の姿は見えず]
だいじょうぶですか?
[おずおずとグリタに近づいていく]
あのー…?
[グリタの返事はなかった]
息は有りますよね。よかった。脈もあるし…熱があるんですね。
『今日は結城先生が来るぞ』
ウミさんありがとうございます。
よかったですね。グ…グリコさん…何か違う。
確か…変わったお名前の編集者さん。
[ハンカチでグリタの額に浮かぶ汗を拭き、麦藁帽子で扇ぎながら思案顔]
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