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[ひとつフロアを昇れば、
目の前にはたくさんの書物の山があった。
思わずそちらに足を踏み出してしまった]
わ、……すごい。
[文学など発達した世界ではなかったが、8thにとっては本は好ましいものだった。手近な本を手に取る、表紙がカラーの写真の随分大きな本。]
…かも知れないな。
そもそも、0thがどれほど動いていたかも知らないけど。
行動を把握されないという点では有利。
───そのように注目を浴びる点では不利。
ってとこかな。
[返し、何を考えているのかと10thへ目を向ける。]
[店頭のマネキンからコートを2枚、拝借して試着室に入る。
1枚は床に敷いてその上に寝転がって、もう一枚は毛布代わりに自分の身体の上に。狭い試着室の中で、丸まって仮眠を取る体勢。
決して寝心地が良いとは言えないけど、床に直で寝るよりはよっぽどマシだと思うし、ここなら少なくとも多分、男の人に見つかる可能性は、低いはず。
深い眠りは取れないけど、それでも疲れてたみたいで、目を閉じれば眠気が襲ってくる。
私はそのまま、少しだけ眠ることにした。]
[表紙の写真は一面の青、雲が流れているから空の写真かと思ったら、空の色が水面に映った海の景色のようだった]
この世界の風景なのか……、
[海といえば軍港しか知らない、
そして海原は鉄が浮かび砲弾の飛び交う水上の戦地だ。こんな穏やかな海はしらない]
………、
[ページを捲る度に、穏やかで美しい世界の風景が切り取られたそのままに現れる]
ま、そこまで考えて動いてる奴が
どれほどいるかは知らないがな。
[口元を緩めると口髭が揺れる。
視線を斜め下に落してから、]
世界まるっとひとつ背負ってるって状況で
誰かと手を組むって事は、
そいつの世界の分も背負う。
それをお前らは選んだ。
[瞼を眺めに落してから、1stへ視線を戻し]
だから、どんな奴らなんだろうな、って思ってさ。
11thが勝気な女なのは解ってたが
女2人と手を組むなんて、
どんだけ1stはイケメンなのか 興味があってな。
[緩く首を傾げながら、1stの顔色を窺うように見る。]
― 4F書店コーナー ―
[夜は開けていた。
そこにはワンフロアがすべて書店のようだ。
そのまままた上にあがろうとして、
『八番をみかけ話しかける』
その扇子の記述に立ち止まる。]
――……羽衣の君があそこか。
[みれば、朝焼けの光が指す中、浴衣姿はフォトグラフのコーナーにあった。]
[その本の頁を捲る度に、眉間にしわ寄せ難しい表情になっていく。やがて裏表紙を閉じた時には、口唇さえかみ締めていた。]
……なんで、
[何故、こんなにも、自分の世界と違うのだろう。映る風景は妬ましい、というよりも――もっと、心を落ち込ませるようなものだ]
別に女だからって選んだわけじゃない。
ただの偶然だ。
そういう風じゃないのは、見れば分かるだろ。
[最後、余計なことまで言って肩を竦めた。]
手を組んでも、鬼にそれを崩される、恐怖
ってのは 付き纏う…だろ。
クルミ曰く、チート日記らしいからな。
[笑う事はせず、眉を寄せて嶮しい顔を隠さない。]
俺は、どうしても死んで欲しくない奴がいる。
[ポールを握る手に力が籠り、指先が白くなる。]
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