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>>130>>131
子ども扱い?
[マシロの言葉に瞬いた。]
グリタさんは、自分の世界を救いたいと、おっしゃっておられました。それに、私は協力しようと思っていたのですが、
他から聞いたのです。それと同じくらい、
いえ、あのグリタさんが取り乱すくらいに、守りたい者がいると、頼みにきたのだと。
[そして、考えて…。]
マシロさん、貴方はグリタさんのご家族に似てたのでしょうか?
[そこはまるで一人で言うように…。]
もし、そうなら、私はやっぱり早まりましたね。
[そう、後悔している。密やかに。自身の勝手な思い込みで、彼を殺してしまったことを。]
[私は、コハルちゃんの話に耳を傾ける。
それから、暫く床に視線を落とす。
言いたいことをちゃんと考えて、まとめてから、口を開く。]
……私は、コハルちゃんの世界の「クルミ」じゃないから、代わりにはなれないよ。私が幸せなことで、コハルちゃんが得る安心は、ごまかし……だと思う。
それに、……それは、本当に、助けることが「出来なかった」なのかなぁ。
その「クルミ」の気持ちに関係なく、助けることは、出来なかった?
[コハルちゃんの世界のことを、私は知らない。
だから、自分勝手に、主観で話すだけ。]
わかりました。
[フユキに声をかけて、立ち去ろうとするマシロに、そう、告げた。
怪我で、何かいろいろ我慢しているのはわかっていた。
そして、同時に、生きることに貪欲であることも。]
ありがとうございました。
[時折、感じる殺気に、
男は、目を伏せて、
開けたときにはもう、二人は前にはいない。
ただ、すぐに扇子を開くようなこともしなかった。**]
分かってるよ。
クルミちゃんは、クルミじゃないもの。
だけど「クルミ」は、
私の世界で生きるには優し過ぎるの。
実際……今生きてるのかどうかも分からないし。
[ここに来る直前にかかってきた
いつもとは様子の違う電話。
時間の流れ]
だから、苦しんでるのを見てるのは辛い。
……あの子が生きにくい私の世界は、嫌い。
[助けることはできなかったのかと
クルミから問われれば]
気持ちに無関係、ってことはできないよ。
よかれと思ってしたことを
咎められたこともあるし。
[ただ、その相手は「クルミ」じゃないと
補足して]
……ソラさんだったら、
「それでも意味がある」って言ったんだろうな。
[意味を求めず、ただ自ら運命を拓こうとして
散った女性のことを思い出す]
…わかった。
[囁くように落として、一人階段へと向かった。
気付けばポールを支えのように使って、ついている。
一段一段降りていったが、ついに途中の踊り場にへたり込んだ。
恨めしく階数表示を見れば、2階と3階の中間であるようだった。]
[コハルちゃんの話に自分の名前が二つ。
少し不思議な気分になりながら、私は、コハルちゃんの世界の私を思ってみる。
でも、私の外見を思い浮かべただけで、それはどうしても私になる。]
嫌い?なら、コハルちゃんは、自分の世界がなくなってもいいと、思ってる?
[嫌い、というそれは、世界を守る為の戦いの中で、やけに浮いて見えた。]
咎められても……やらないよりマシだ、って、私は思う。
でも、……コハルちゃんは、優しいんだろうなぁ。
[気持ちを思えるのは、きっと優しい証拠。
ソラさんの名前を聞いて、私は泣く代わりに、ちょっとだけ笑った。]
[営業の始まったフードコートは、死に包まれた屋上の朝とは場違いな喧噪と活気に満ちていた。
デンゴの目が、商品のイラストを眺め回して
キラリと光る。
丸くてうまいもの。
――そう、自分はそれを求めにやってきた]
ふはは! セイジのにーちゃんが予言した、
食べられないとゆー未来を、覆してやる のだ!!
[実際は嘘>>3:190だったのだが、本人は完全に真に受けていた。
程なくして、「たこやき」の看板と、丸くてほかほかでうまそうなイラストを見つけて、意気揚々とそちらに近づく]
よっしゃあああああ!!! おっちゃん、くれ!!
[1パック受け取り、席につく。
そして湯気の出ているそれを1個、口に放り込み…――]
っ、 あ、 つ、あつ はふっ!!?
[舌を火傷した。思い切り]
『9thは、たこやきで火傷する』
[開いていた絵日記が、楽しげにページを更新した。
デンゴはジト目で絵日記を見下ろす]
…………おまえも食えっ! 道連れじゃー!!
[表紙のカボチャの口にたこやきを1個押し付けた。
もしゃもしゃ。
……食べた。
・・・・・・・・・・・・・・!!!!
カボチャは涙目になっている。
デンゴはガッツポーズをした]
───…は。
[壁に背をつけて、座り込む。
首から後頭部をぶつけたあとは、打撲だろう。
鈍い痛みは頭痛のように変わりつつある。
脇腹は、じんじんと心臓と同じリズムで痛みを伝えてくる。
落ち着いて見てみれば、
シャツごと腹を裂くように鑿の刃が滑ったらしかった。
内臓に突き入れられなかっただけ良しとはいえ、痛む。
耳朶に、未来を告げる日記が響いた。
見上げてみれば、あとを追ってきたらしき姿がある。]
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