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[柄にも無く照れたのを誤魔化すように、卓球台の側をごそごそと探し、カメラを見つけだす]
これ、普通にシャッター押せばいいのか?
[ラッセルの顔にピントをあわせ、それらしきボタンをぱちりと]
>>155
まだちょっと…。切り身ならばともかく丸のままは…。
お肉も、丸ごとだと恐ろしくて。
[情けなさそうに]
そうですわね…やりたいようにしてみますわ。
とりあえずもう一回落書きをしてみましょう。
[先ほどのペンを取り出すと、おもむろにグレンの額に何事かを書き出す。]
それではわたくし、ちょっと図書室に行ってお料理の本を借りてきますわ。習うのもよろしいけれど、自学自習もしなくては。
[くすりと笑うと、ペンの光を当てて確かめ、合宿所を出て行った。グレンの額には「時効?」の文字が*光っていた。*]
[ビデオはいつの間にか停止していて、気がつくとセシリアが居眠りをしていた]
セシリアさん、未来から先生のチョーク飛んでくるよ?
[未来からなのだろうかと疑問を抱きながら、リモコンを拾い上げると巻き戻しのボタンを押した]
あまりにあまりにひろすぎる
涯のない蒼空なので
[外の景色を見ながら、諳んじたそれの題名は何だったか]
[巻き戻ったビデオテープをケースに仕舞うと、視聴覚室を後にして、食堂のテーブルに置きに行った]
[寒さに震えて目を覚ますと辺りは薄暗く、スクリーンの青い光の中でぶぅんと低い映写機のファンの音が部屋に響いている。部屋をぐるりと見回すとハーヴェイの姿は既になく]
そうだ、テープ。
[体の下敷きになっていた古いテープをケースから取り出すとデッキに入れ再生する。映し出された映像は音声の無いコマ送り。私的な記録なのか、ある男子生徒の卒業式の風景を追っているようだった]
この人…どこかで…。
あ、あの写真の。
[ポケットからフォトフレームを取り出して写真を眺める。中央に写っているのは確かにスクリーンで快活に笑う男子生徒]
[映像はさらに進み、科学部の部室が映し出される。男子生徒を中心に数人の男女。デボラやモーガンの姿も見える。二人ともまださほど白髪が目立っていない]
うわ、先輩達若いなぁ。
これいつ頃のなんだろう。
[と、男子生徒の隣に1人の女生徒押し出されてくる。その顔立ちは]
レベッカさん?!
……でも、そんなはず、ない。
[呆然とスクリーンを見つめていると、男子生徒がカメラに向かって手招きをしている。カメラを机に置いたのだろうか、画面が揺れ、撮影者が群れに駆け寄る。手招きした男子生徒に首を抱えられて振り返った撮影者の顔は、あどけなさの残るアーヴァインだった]
[そこでテープは終わっており、巻き戻される音が視聴覚室に*響いた*]
――回想――
[過去に来てからいつもそうしていたように、...は皆と食事の席を囲みながら久し振りに体内へと流し込んだアルコールにほのかに酔いしれながら、ぼんやりと賑わうクラスメイトの姿を眺めていたが。]
…ん?なんか…体が…変?
――まさかこれ位では酔っ払わない…筈?
[急に目の前がぐらりと揺らいだかと思うと、ふっと無重力状態になり。
気がつけば人気の無いガランとした空間へと文字通り放り出されていた。]
いてて…。何だよ急に…って大丈夫か?ローズ。
[折り重なるように自分の体に落ちてきたローズマリーの体を、怪我の無いように受け止め訊ねる。
こくりと頷く姿を見て、安堵していると聞こえて来た声は――]
あ…れ?あーヴのおっさん?って何でおっさんが?つーかここは何処だ?
[「お帰りなさい」の言葉に首を捻りながら疑問に思ったことを口にする。]
は?元の世界?みんなは、あっち?
[返ってきた答えに指差された方を見れば、映像が乱れているが、先程まで確かに一緒に居た級友の姿が目に入る。]
は…本当に…戻ってきたのか?
[嘘かと思い、自分の頬を抓り]
いひゃい…。夢じゃ無ぇな…。
[典型的な確認方法で実証を得る。]
[そして、昔の方が楽しかった?と聞かれれば、さぁ?と苦笑を漏らし]
結局…過去に行っても現在に居ても…。俺はただあいつを見守っているだけしか出来ないってことを悟ってきただけだよ…。
[テレビに映る姿を見ながら何処か他人事のように呟くと、休養を取る為に用務員室へと向かっていった。]
――昼 梅ばぁの銭湯――
[目を覚まし、構内を歩き回るがやはり昨日まで居たメンバーは何処にも見当たらず。やはり現代に戻ってきたのだろうかと...は、ラッセルとクインジーと一緒に行った銭湯へと顔を出す。]
『いらっしゃい…おや、ナサじゃないか。久し振りだねぇ…』
[この前は無人だった番台にはやや歳を召した梅ばぁが、学生時代と変わりない様子でちょこんと座っていた。]
や、梅ばぁも元気そうで何よりだ。
[懐かしむように手を挙げて挨拶をすれば、梅ばぁの目尻に皺が寄る]
懐かしいねぇ。あんたが卒業してもう6年も経つんだねぇ。しっかり大人になって…。私もそりゃぁ歳を取るってもんだよ。
[昔と変わらず、小さい体の大きな声でカラカラと笑むと声が脱衣場に響き渡る。その懐かしい声に...も口許を緩めながら、脱衣場へと足を運ぶと]
『あぁ、…そう言えばあの子とは結局どうなったんだい?ほら、6年前お前さんがこの地を去る前に気持ちだけでも伝えたいって思ってたあの子!なんて言ったっけ…え〜っと…』
あー…梅ばぁ。俺今からストリップするんだけど、見るなら別料金取るぞ?
[一生懸命思い出そうとする梅ばぁを遮るように苦笑を漏らしながら遮ると、彼女は悟ったように口を噤み]
『そういえば富士の顔に新たな落書きがされてたんだけど、あんた、知らないかい?』
[背中越しに訊ねられればただ一言、「知らない」とだけ答え、...は浴室へと足を運んだ。
そして、言われたとおり壁画に視線を移せば。
タイムスリップした6年前で落書きをした文字が、今でも黒々と残っていたのを見て]
――俺、本当に過去に行ってきたんだな…。
[ぽつりと呟くと、水道の蛇口を思いっきり捻った。]
[布団の上で大きく伸びをし、ぼんやりと天井を眺めながら]
…寝すぎて頭イテ〜。
今、何時だ?時間もったいね…
[目を擦りながら呟き。その拍子に手についた黒インクをとても不思議そうに眺めた。瞼の落書きになんか気づいちゃいない。]
――元雑貨屋の店舗――
[梅の湯(梅ばぁの銭湯)から帰って来れば夕方で。そろそろ夕食の支度でもしなければと思い、雑貨屋の厨房へと足を運ぶが、さすがに閉店してから長い年月が経っている所為か。火元が確保できそうにも無く。]
仕方が無ぇな…。学校の調理室借りるか。
おい、アーヴのおっさん。あんたも飯食わねぇか?何でも良かったら俺、作ってくるぞ?
泊り込みで同級会やるつもりだったなら、食料位買い込んでんだろ?
[タイムマシンの調整に勤しむアーヴァインに声を掛け、調理室へと向かっていった。]
[とりあえず落ち着こうと部室棟でシャワーを借りて人心地ついた後、もう丸一日合宿所に戻っていなかったことに思い至る]
そろそろ戻らないと。
いくらなんでも自分勝手しすぎたわ。
[まだ少し濡れた髪を両手で押えて縛ると合宿所に向かった]
…夜じゃん。
[窓の外は夕暮れがかっていて、寝すぎた自分を窘めるように呆れた声を出すと洗面台へと立ち何時も通り顔を洗おうとして目元の違和感に気づく]
……ん…?
[確かめるように片目ずつゆっくりウインクをして、両瞼に書かれた落書きを確認すると鏡の向こうの自分を指差してゲラゲラと大きな声で笑い出した]
すっげ〜ブッサイク!
うわ〜、かっこわり〜!誰だよこんなことやったの!
やりそうな奴が多すぎて容疑者絞り込めね〜!
[一頻り指を指したまま笑って満足すると、目元を入念的に洗って落書きを消しタオルで顔を拭きながら]
馬鹿やれっつったからシャーロットの可能性もあんのか。
でもこの目の書き方は男共の誰かだな。
…後でメイに絵の具借りっか。どう彩ってやろうかしら。
[真顔で言うと食堂へと向かった。]
[図書館から借りてきた料理の本を片手に、...は厨房で悪戦苦闘していた。調味料などはきっちりと寸分の狂いもなく量り、野菜の皮むきは結局包丁ではなくピーラーを使い。
簡単な料理としての筆頭らしき肉じゃがを作っているようだが、いかんせん肉を用意していない。]
大きな塊り肉しかないなんて…。
[そんなこんなで、肉抜きの肉じゃがが出来上がった。]
――調理室――
[備え付けられた冷蔵庫を覗き、ある材料でざっとメニューを考える。
片隅に置いてあった米を砥ぎ、笊に上げて水気を切り、冷蔵庫から豚肉、キャベツ、しょうがを取り出し、しょうがを摩り下ろし醤油とみりんとごま油と混ぜてたれを作る。
米に水を浸して炊飯ジャーへ入れた後、キャベツを千切りに刻み、鰹節で出汁をとり、味噌汁の準備へ。
つまみ用として買ってあったのか。冷凍枝豆をさやから取り出し、ベーコンはオーブンであぶりカリカリにし、炊けたご飯と混ぜ合わせておにぎりにし、出汁に味噌を少しずつ溶き、豆腐と刻んでいた葱を散らして火を止める。
熱したフライパンに肉を入れて焼き、最後にたれを掛けて香ばしい匂いが立ち上がったところで火を止めて皿に盛り付けた。]
ざっとこんなもんで良いかな。
そういやレンジと卓上コンロはあっちにもあるんだっけ?
[雪平鍋とおにぎり、しょうが焼きが乗ったトレイを手に持つと、零さないように慎重に歩きながら、...は元雑貨屋を目指し歩き始めた。]
――元雑貨屋 居間――
おーい、アーヴのおっさん、飯作ってきたけど食わねぇ?え?居間忙しいから後で?解ーった。つーかローズも姿見てねぇなぁ…。
[何とか零さず夕飯を運んできた...は、居間のちゃぶ台に料理を並べ、早速箸を着けながら向こう側と繋がっているというテレビへと視線を向け]
ぶっ…!何だあれ?ラッセルの額に肉ねぇ…。誰がやったんだか…。
[味噌汁を啜りながらおにぎりに手を伸ばし、ケラケラと映し出された映像に、腹を抱えて笑っている。]
しかしお嬢も努力家だな…。料理作ったことねぇのに頑張ってるし。
何か…ローズと先に帰ってきてしまって…悪い事したな…。ま、それはローズにも言える事なんだろうけどな。
[しょうが焼きを口に放り込みながら、昨夜耳にしたローズの言葉を思い出す。]
俺がローズの事を祈っていれば…。もしかしたらまだこっちに来なくても良かったかも知れねぇし…。
[ニーナに手を振り返して同じく調理場を覗くと鉢皿に料理を盛るシャーロットの姿]
三日会わざれば、ね。
もともと筋は良かったんだろうなぁ。
[自分の出る幕はないと判断して引き返すと、テーブルを拭き始めた]
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