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あんな小便くせーもんは勘弁。
お前が注文しろ、払いはてめえの金でな
[暗にそれ以外はミハイルの奢りだと伝えたが。
不満いっぱいの表情を隠さないクレストに
その意が伝わったかは謎である。]
噛まずに舐めてりゃマシらしいがな。
[なんのフレーバーもしないウォトカを飲む。
抜けるようなアルコール臭と喉を焦がす熱は、
悪くないし、酔いへの誘いも申し分無く。
これにゴムの風味を混ぜるなんて、とんでもない]
―現在:湖畔―
[陽がやや翳りだしたころ。
つと足を止め、随分と組みあがってきた櫓を見やると目を輝かせ]
うわー……。今年の櫓、去年の3倍は立派な気がするよ。
エリッキさん、随分頑張ってたもんね。
[一つ息ついて]
これは、夜が楽しみだなあ。
[若衆の手伝いに入った頭巾の男は、
さっそく木槌を担いで櫓へと登った。
下から木材が押し上げられるのを待つ間にと
辺りを見回すと…さまざまに過ごす人々の姿。]
[櫓のすぐ下では、働き者の酒屋の娘イルマが
数少ないしらふ顔できびきびと立ち働いている。
飲食店の天幕を捲って入る二人連れの若者は、
特徴的な後ろ姿から移住組の司書と役人らしく。
野山でときおり遭遇する蝶好きな学者の顔も見える。
珍しくも話して居るのは見知らぬ旅芸人相手にか。]
夏が、きたなあ。
[感慨含みの呟きが漏れる。]
[未だに品の並ぶ様子ない雑貨屋の屋台には、
蜂蜜酒<スィマ>のちいさな壷を置いてきた。
養蜂家が仕込んだ淡い泡の浮くやわらかい酒は、
ウォトカの酒精をゆっくり抜くには良いだろう。]
[やがて押し上げられる木材を受け取って、
頭巾の男はほうーいと長閑な声を響かせる。]
しろい陽射しに (透けて)
かがり火の影に (隠れる)
<ハルティヤ>
あまたの守護精霊に (感謝!)
[若衆頭と養蜂家が、木槌を振るいながら
馴染みのかけ合いで抑揚浅く唄いだす即興歌。]
[ふと視界の端、陽気な盲者マティアスと連れ立つ
写真家がカメラを構えるのがちらりと見えた。
養蜂家は、いかにも辺境の中年男じみた作法で
其れを無視してみせる。――――互いの仕事だ。]
年明けの凍傷は (癒えたか)
トゥオネラの滝は (逆落とし)
<アハティ>
深い水底の水神に (感謝!) …
[こーん こーん と梁を両端から叩いて
締める槌音は、湖の向こう側まで響いた*。]
トゥーリッキ、君も楽しむといい。
だが間違ってもそこらの飲んだくれの様に羽目でも外して僕を笑わせるような真似はするなよ?
[そう言って眼鏡をくいっと直し、酒を飲みすぎるなと注意をした。それはまるで先に出会った司書や盲目の男を彷彿させるような物の言い方だったが、その飲んだくれが彼等を指すことは外国の人間である彼には分からないだろう]
では、僕はこれで。
[被った帽子のつばを下にさげて会釈をすれば、ニルスはトゥーリッキの前から去って行った。暫くは蝶を探すために湖畔の辺りを歩くだろう]
>>168
いえいえ、とても助かりましたよ。
[礼を言われるほどのことはしていない、との言葉には、そう返し、羽目をはずすなとの注意には、]
…ふふ、ご心配なく。
お酒も多少はたしなみますが、その辺はわきまえているつもりですので。
[実際は、かなり強いはずだ。
飲み過ぎて羽目を外したことなど一度もないが、初対面の相手にそこまでいう必要もないだろう。
冗談めかして、そう答えた。
やがて、ニルスは会釈をし、去って行った。]
ええ、本当にありがとうございました。
縁があれば、またどこかで。
[再び礼を言いニルスと別れると、別の人にも祭りのことを聞こうと、再び湖畔の周辺を歩き出した。
今度は相棒を首に巻いたまま。]
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