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タオルで拭いたらどうだよ。
[腕で目を拭うイェンニの様に呆れた声を漏らす。
落胆の露にするイェンニをよそに、
調味料を肉野菜炒めに適量振りながら]
祭が台無しになっちまったせいで、
塞ぎ込んでるのかもねえ。
俺じゃなくてイルマ辺りでも声かけりゃ出てくるかもな
[後で一緒に行ったらどうだ?と続けながら。
味を見る目的で小皿に肉の切れ端と球菜を取り。]
[仲間と知れば、自然とミハイルに抱いていた警戒は消えていく]
あなたもお久しぶりなのね。
私はずっとおばあちゃんと二人きりだったわ。
[その祖母はもういない。
かなり昔に、祖母は人間の手によって「退治」されてしまい
それからずっと…は1人きりだった。]
あら、お誘いを?
あの子ずっと1人だったから、喜んだでしょうね。
[可哀相なドロテアちゃん。
まるで一人ぼっちになった私みたいで気に入っていたのだけど。
ミハイルがこうして誘うほどだ、少し1人にさせすぎたようだった。]
[祖母の膝の上で、何度も聞かされた話。]
[おまえの瞳は、まほうの瞳。
良しも悪しきも、すべてを見通すふしぎな瞳。]
[頭を撫でながら話してくれる祖母の事が、
とても、とても大好きだった。
当然、自分を邪険に扱う両親よりも。]
[おまえは呪われた子なんかじゃないわ。
わたしのかわいいかわいい孫よ。]
[――この瞳は、]
[薄らと開かれた瞳が一瞬、色を変える。
それを見ていた者は誰も居ないだろうけれど。]
………ふしぎな瞳、なぁ。
[昔はずっと祖母の話を信じていたが、
今となってはただの作り話だったのだろうと思う。]
[ちいさく熱を持つ瞳の奥。それを、無視して。]
[料理が出来た際には、当然のように手伝うつもり。
暖かい料理を食べる事が出来たのならば、
乾きかけのパーカーを手に、
適当な空き部屋へと入っていった。
へっくしょい。
ひとりきりの部屋に、くしゃみの音が響いた**]
そうかい。
おばあちゃんも、同じだったのか。
[彼女――イェンニはいつから人をやめたのか。
否。己のように、かつては人であった生業と
同じとは限らないのだけれど。
精はこの世で多様に存在する。
どう生まれたのかなどは、一様に語れるものではない。]
ああ、きっと家族のところへ行けるよ。
/*
トゥーリッキなら大丈夫…だよね…?
いや、イェンニさんにしたほうが…
いやいやいやいや、イェンニさん危なくね?
ヤバイなあ、これ狼引いたらクソって言われるでぇ…
でも……あの子がいなくなったら寂しくなるわね。
[それに、少し羨ましい。
私はもうおばあちゃんに会えないのに。
彼女はあそこに行く事によって失くした者達と会う事が出来るのだろう。]
私もおばあちゃんに会いたいわ…。
[…はミハイルとは違い、ナッキとして生れ落ちた。
祖母について人の世を彷徨い歩き、生きる術や、人間としての振る舞いを教えてくれた。
長い間、ずっと一緒に、そうして過ごしていたのに。]
私たちは、何も悪いことしてないかったのに。
[ただ、人ではないからと祖母は殺され、骨の場所もわからない。
その亡き祖母の姿を思い出せば、涙を流す。
表向きはタマネギを切っていたため、
事情を知らない者にはその所為に見えたはずだ。]
[ミハイルの料理も完成しただろうか。
人数分の皿を用意して、それぞれの料理を盛り付ける。
そこにあの旅の者はいただろうか>>170。
いるなら配膳の準備をしながら自己紹介と共に
世間話を一つ、二つと交わしただろう]
あとはテーブルに運ぶだけね。
そうだ、お酒、探さないと。
[ぽんと手を叩いて重要だといわんばかりに声をあげる。
冷蔵庫にはミネラルウォータや、
オレンジジュースはあったがアルコール類は無かった。
半分ほど配膳を終えたあたりで、…は炊事場をがさごそと漁り始めた。{3}
奇数:お酒各種を見つけた 偶数:ここには無いようだ]
あの子は幸せになりに行くんだ。
だから、寂しいけど見送ってやりなよ。
[力を使ったせいか酔いも程よく冷めている。
祖母に会いたいと言を綴る女を一瞥し。
死ぬ方法も存在するといえばするのだが、
それを欲する精は、そういるのだろうか。
少なくとも、ミハイルは思わない。
恐らく『誘い』続けることが課せられた使命だから]
あら、こんなところに。
お酒は揃ってるのね。
[足場に、取っ手のある床を見つけたので開けてみれば
沢山の酒瓶を発見することが出来た。
2,3本適当に手に取り、それもテーブルへと運ぶ。
お酒が飲めない人たちの為に、オレンジジュースも忘れない。]
ふふ、なんだか人も一杯いるし、
楽しい夕食になりそうだわ。
[外の様子もすっかり忘れ、どこかパーティ気分に…は微笑んだ。
テーブルにも配膳を終えて準備が出来れば、
ここにいない人たちを呼び、夕食を共にしただろう]**
理解を求めるのは難しいのかもな。
なにせ、俺たちとは根本的に考え方が違うのだろうし。
[幸せになるための、たった一つの冴えたやり方。
この世で苦悩するくらいなら、悩まぬ世界に行けばいい]
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