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[スローに雪の上へと倒れこむ旅人から視線を離す。
下衣のポケットから煙草を出し、一本咥え込む。
血の飛び散った片目を伏せ、オイルライターで火を灯し。]
いィ、――火加減だ。
[しんしんと積り続ける雪の中、一本の紫煙が上がる。
其れは一度だけ魂を送る狼煙となって上昇し――、
そして、風に流されて、消える*]
[少女を招く聲は、人のものにあらず。]
[おいで、おいで―――死の淵へと。]
[おいで、おいで、おいで―――お嬢さん。]
[湖へと招く歌を奏でるオクタヴィストの聲は、
イルマの脳へと、響き渡り―――*]
>>264
「ニェーボへ行けますように。」
[それが、彼がまともに聞いた最後の言葉だった。
ニェーボとは、何なのだろう。
理解する間もなく、元軍人だというミハイルは、宣言通りまっすぐに自分の心臓をめがけてサーベルをつき刺す。
そして耳元で何かをささやき、刃を引き抜くとトゥーリッキはそのまま、倒れ込んだ。
白い雪原が赤く染まって行く。
きちんと急所を狙ってくれたのだろう。
そのままたいして苦しむこともなく、永遠の眠りに就いた。]
[そうしてミハイルは無言でその場を辞す。
湯浴みを済ませ、クレストの部屋へと向かう。
背中を押された上での、選択**]
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