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[日が昇ると学校を出発し、たどり着いた一軒の民家の2階の窓を見上げた]
どうするかな。
[持ってきたシロツメクサの冠を見下ろして思案していると、視界の端から端へ人が横切った。
制服のスカートをなびかせ、少女は家の中へ消える。
茫然とその姿を目で追って]
昨日、ビデオで見たから……?
[玄関のドアノブに冠をかけると、リースのようだった。
立ち尽くし、沸き上がるのは悔しさばかりで、...は強く拳を握った]
僕は怖くて仕方がないんだ……。
過去を過去だと割り切ってしまうことが。
それが君を悲しませやしないかどうかが。
[手を合わせることはせず空を仰ぐ。
しばらくすると学校へ続く道を歩き始めた]
さんきゅ。
[一つ手に取るとグレンの言葉に笑って]
男の子の作るおにぎりって味があるよね。
運動部のお昼のイメージ。
[休みの日の部活で、ユニホームのままおにぎりにかぶりつく姿を思い出したらしい。しかし、次に浮かんだのは畑でのどかなお昼時]
とーちゃん、飯持ってきたよ…。
じゃない。グレンはかーちゃんじゃない。
[呟いて、ふるふると首を横に振り。んじゃ、いってきます、とその場を後にした]
ああ、そういや高校の頃もたまに作ってたからなぁ。
って、おれがかーちゃんかよ。
[ソフィーの言葉に吹き出すと、笑ったままいってらっしゃいと見送った。どこへ行くかは聞かずに。
気づけば炊飯器の中の米は空になり、大皿に並んだおにぎりの山]
……作り過ぎたか?
[少しだけ後悔するも、次の瞬間には気を取り直し、まいっかと]
[自分の分だけおにぎりを取ると、大皿にラップをかけそのままテーブルに置いた。
まだ春先だ。このまま放置しても痛む事はないだろう。
皿の隣に皆へ向けたメモを置き、自分も集会所を出た]
[起きて身支度を整えると、真っ先に雑貨屋へ向かう。目的のものを見つけると、少し迷って、結局一番無難そうなカップヌードルをチョイスする。]
作り方、大丈夫かしら。
[作り方だけでなく、栄養成分や原材料の表記まで舐めるようにじーっと見入った状態で食堂に戻った。]
[*吉*おにぎりを食べながら、体育館に向かう。体育館にステージが設置されていて。最後の一口を頬張ると、よいしょと階段を使わずにステージに登って腰掛ける]
やっぱりここが一番懐かしいかなー。
[目を瞑れば運動部の声やボールの跳ねる音が今にも聞こえてきそうだ]
[湯舟に浸かっていると、腰掛けに俯せてタイルを滑って遊ぶ少年達が目前に]
あー……。
ここ来たのって小学生以来か。
[たまに里帰りしてきた従兄弟と共にしか銭湯に来ることはなかった。
中学生になると叔母夫婦しか来なくなっていたが、大学受験の時は一つ年上のその従兄弟に世話になったものだった]
真昼間から銭湯って、ささやかな贅沢だな。
[ほかほかで銭湯を出ると、春の風の心地よさに目を細める。
通り掛かった花壇は、昨晩摘んだ部分が元に戻っていて]
これなら、何を取っても問題ないんじゃないか……。
[湯を沸かしカップに注いでペンダントクロックできっちりと三分を図りながら、グレンが用意していたおにぎりをひとつもらって口にする。]
具は…マヨネーズ和えのツナなのね。美味しい。
[待望の三分間が過ぎてふたを捲り、フォークでかき混ぜちゅるりと啜る。]
…何と表現すればいいのかしら…。
麺に歯ごたえは無きに等しく、味はきついし、塩分濃くて血圧上がりそう…。
具は…入っているだけましと思う量なのか、少ないから余計侘しく感じるのか…。
[文句を言いつつも、気づくとスープまで全部飲み干して完食。]
完全に初めての食味でしたわ。
何と言うことかしら。
わたくしには、カップヌードルを語る言葉を持ちません…。
[空になったカップを目の前に難しい顔をして、奇妙な敗北感を*味わっていた。*]
[目覚めると既に日は上っていた。小さく伸びをして起き上がる。
シャワーを浴びに行く前に、男性陣のほうをちらと覗き。姿のないグレンと未だ寝ているらしきラッセルを見て密かに舌打ちしたとかしないとか]
[ここにいると、足は図書室に向かいがちだ]
あの頃は、本を読んでたらそれだけで幸せだったなー……。
[しみじみ思いながら「時をかける少女」を手にして、窓際の席で*めくりはじめた*]
[シャワーから戻って来ると食堂へ。何やら難しい顔で空の容器を見つめているシャーロットに首を傾げながらも軽く手を上げ]
む。おにぎりか。
[メモを見ないまま一つ手に取り、はむり。*末吉*]
うわ。
[ふいに飛んできたボールに目を瞑る、がそれが当たった衝撃はなく。腰をかけたすぐ隣りに仁王立ちで少女が立っていた。ボールを下へ投げ返し、なにやら叫んだ。すると彼女は後ろからこつんと小突かれて、慌てた様子で緞帳を下ろしにいく]
あ…先輩。
[視界の端には唇を結んで振り返る、幼い自分の姿が*あった*]
[囓った跡から覗く黒い帯のような具]
嗚呼、昆布か。
[呟きつつ漸くメモを見て、山葵でなくて良かったと安堵。
昆布おにぎりを完食すると2階にスケッチブックを取りに行き、そのまま*外へ*]
う、ふぁぁ。
[むくりと畳から起きあがるとあくびをひとつ]
寝すぎて眠い…。
高校んときもあったなぁ、こういうこと。
起き抜けでもレベッカさんの紅茶、おいしかった。
[ガラスに映った自分の顔に6年前の自分が重なって消えた]
畳の跡、ついてる。
[つ、と頬に手をやって立ち上がり店側に向かう。幅広の帽子を代金を払って取り目深に被って外に出る。外に出たところで振り返り深々と頭を下げて]
お邪魔しました。
ずっと逃げ回っていてごめんなさい。
6年後にまた来ます。
[頭を上げると回れ右をして歩き出す。校門を抜け、合宿所に向かった]
[部室棟の前を通りかかって]
合宿所に戻る前に部室棟でシャワー借りていこうかな。
[足を向けかけた所でお腹がなる]
……何も食べてないの忘れてた。
何かついでに買ってくればよかったな。
[一時悩んで]
いいや、何か軽くつまめるもの貰ってからにしよ。
[出掛け、校門脇の駐輪場を見て自分の原付を見つけたが、残念ながら鍵がかかっていた。
ま、いっかと呟いて、銭湯の煙突のその先にある山に目を凝らす。その下には先祖代々の畑が広がっているはずだ。
日はまだ、頂点にも達してない。
深呼吸して、一歩踏み出した]
[流しで手を洗うと、難しい顔をしているシャーロットに]
また後でね。
[と声をかけておにぎりの脇のメモに気付く]
やってくれるじゃないの。
[ぶつぶつ言いながら二階に上がる。手提げにあれこれ詰めてから合宿所を出る。シャワーはやめて皆が話していた銭湯に*行ってみる事に*]
[昨夜。あの後、相手が自分の後を追ってきた事を知っているのかいないのか。暫くすると合宿所に戻って眠りについていたようで。
身を起こすと、わしゃりと頭を掻いた。]
…はー…何やってんだか。
[呟いて息を吐くと、気を取り直すように身支度を整える。
移動して洗顔等を済ませた後、食堂へと姿を見せて]
…おにぎり?
1つ頂きます、ってね。
[見つけたおにぎりを手にとって、ぱくりと口に含む。*吉*]
[確かな足取りで、昔と同じ道を辿り、家の前に着く。
卒業したと言っても、その後一度も学校にこなかったわけではない。もとより小さい村だ道は覚えていた。
家には入らず、畑に回る。自分が見たいものは家には無い。
ビニールハウス、納屋、各畑と見てまわり、畑の中央に立つ木の根元に腰を下ろす。
黙って植えられたばかりの苗を見つめた]
やっぱり、アンタは偉大だなぁ。
[延々と続く、畝を見て呟く]
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