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[独りごちながらも、男も甘酒を紙コップに注いで口にした。ダンケの言葉に込められていた裏の意味には気付かないまま、気合いを入れるために、偶然に。
何かとついていなかった男は、同時に何かとついている男でもあったのかもしれない]
……さて、と。
じゃ、行ってくる。……戻る前に、死んでるなよ?
[倒れるレンにそう告げると、男は山荘を後にした。嵐はいつの間にか過ぎ去り、外は静かな雨上がりの午後の様相を呈していた。弱くも眩しい光に目を細め]
うおお。延長有難う御座います。
ひそひそと生かしにいっちゃいました。
ついてないのかついてるのか、どっちだよという。
つまり極端?
……っし。
頑張れ、俺……!
[ぐ、と拳を握り締めると、山の中を駆け出した。嵐の後で、悪い足場に時々転びかけ、というか転びながらも。体調は先程以上には悪くならず、むしろ回復していっていた。その理由を男は知らなかったが]
……よ、しゃー!!
[<19>分程いった頃か、届いている携帯の電波に、泥と水で汚れた姿でガッツポーズをとった]
じゃあ、とにかく、早く電話を……
[と、携帯のボタンを指で押しかけて]
……
[木々の間から見える崖に、ふと、思い出したように胸ポケットに触れ、その中にあるそれを取り出した。
くすんだ真珠の付いた、銀の指輪]
……もう十年、なんだもんな。
[呟いては、崖の縁に歩み寄り]
書けた書けたあと10分だなんとか間にあったーーー!
……と落とそうとしたところでエピ延長確認でわーい!ありがとうございます助かりました……!
プレーチェはどーしても時間巻き戻ってしまうのでズイハラのターンを見届けようそうしよう。モテ男ズイハラさんふぁいとー!
[その手の内の指輪を崖の向こう、開けた空中に向かって投げた。指輪は超豪速球のように飛んでいき、すぐに消えて見えなくなる。それを確認してから、溜息を吐き、小さく笑った。どこか寂しげに、だが清々しげに]
じゃ、電話するか。
[そして、男は目的を果たした。……通話する途中で何かが背後を通った気がしたが、気にしない事にした。例のハリセンも山荘の部屋に忘れてきてたし。]
刑事 ポルテは、へい、タクシー!と片手をあげた。[栞]
[男が山荘に戻ってきた時、レンの姿はそこにあったか。どこかに消えてしまっていたのかもしれない。
嵐の中で起きた嵐のような事件は、静かに終わっていく。静かとは程遠い性格の男を*残して*]
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