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[深夜――
人魚がまたあたたかい夢をみるあいだ。
こぽり 泡沫のぼる水音の奥で話し声]
それにしても ケンは――
[こぽり]
かあさんが …したのかい?
[こぽり]
[ボタンから箱詰めされた甘納豆を渡され、
ヘイケは眉を下げて困惑の笑みを浮かべる。]
…
私がしっかりしてれば、何か違ったのかな。
[何を悔やめばいいのかも定かでないままに]
… わかった
ワカバの家に届けるんだね
うん すこし話してくるよ
いってきます
[『…
私がしっかりしてれば、』
想うだけで余分にいのちを「抜く」ことも
凍える人魚を危険から遠ざけておくことも]
できるの かな
冷え性 ロッカは、ここまで読んだつもりになった。[栞]
―― 翌日・自宅 ――
…ただいま。
[ナオの自宅から帰宅すると、まっすぐ自室に向かい古びた学習机に顔を伏す。机とシートの間に散りばめられた写真には小さな村の数少ない学友たちの笑顔]
…ナオちゃん、ケンケン
[じわりと滲んできた涙を唇を噛んでやり過ごす。]
雷神様、二人に何があったの?
[泡が視界を埋め尽くす。
大小さまざまな球体は、身体を撫ぜて一様に水面を目指していった]
ころしちゃったの。
[寝言のような呟きが鼓膜を震わせる]
探さないと。
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少し表で発言落としてから出かけようと思ったけど時間がないー。
作文途中でメモ保存ぽちっとな。
戻ったら蔵行きます。自分でプロロで落とした木箱を拾いに。
中身はなんだ?人魚のゾンビとか?
今度こそ、あたしはぽへぽへしてない狼になってみせる…!
冷え性 ロッカは、ここまで読んだつもりになった。[栞]
[――訪ねた家の応接間。
硝子戸越し、帰宅したワカバが
口数少なに自室へ向かいゆくのを見送った。
心配そうな彼女の母親と視線を交わして頷き、
ヘイケは菓子鉢に取り分けた栗甘納豆を携え
立ち上がる。…向かう先はワカバの自室――]
おかえり、ワカバ。
うちのかあさんから、差し入れがあるんだ。
其れと、んん
…すこし、話せるかな…
身近で、目の前で…
こんなことが起こって。
[幾らかの人生経験など物の役には立たず、
扉のそとからワカバへかける声はつたない。]
みんな「誰かのせい」だって
思い込んでしまいたいんだと想うの。
でも もしかしたら自分が
何も出来なかったせいかも なんて
そんなことは…思わないでね ワカバ。
カミナリの下で
アンちゃんやナオがつめたくなったのは、
ワカバのせいじゃない って
私は知ってるから。
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