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……急いだ方が良い、と言うことか。
[帰れなくなるのは流石に困る。
声に焦りの色は無いが、心の中に危機感は生まれた**]
…兎は、私達が「なくした」『たからもの』を探して、と言った。
『たからもの』が物品ではないとしたら……「なくした」と言うのは、「わすれた」と言い換えることが出来る。
「わすれた」のだとしたら、手がかりは、自分の中に。
[仮定の上に仮定を重ねた話。
男は七咲>>28に語るが、要領を得ないものだったかもしれない]
見つけ出せるかどうかと言う問いには……是とも否とも言い難い。
……だが、見つけようとする意思が無ければ。
見つけられるものも見つからない。
そう言うものだと、私は思う。
[持論と言うほど強いものではないが、問いの答えとして思考をひとつ声に乗せた]
[片岡と名乗った女子高生の隣に居た子が消えたらしい話が耳に届けば、男はそれぞれ顔を見やってから、瞳をある一点へと留める。
軽く瞳を細めると、その違いをようやく知ることが出来た。
片岡のやや後ろの空間へと歩み寄り、何も無いところに右手を伸ばす]
…………なるほど。
[空を切る腕を引き戻し、右掌に視線を落とすと、独り納得するように頷いた]
……あの子なら、
[右手で目の前の何も無い空間を指差す]
狭間の、ここに。
[さも当然のように言うが、珍妙な光景には違いない]
ひとまずは無事らしい。
[それだけ付け加えると、その場を離れ歩き始めた。
向かうのは、兎を追いかけた箔源とは別の方向]
[足元では雪が靴に踏まれて音を生み出す。
軽やかに聞こえるのは、雪が細かく空気が冷えているせいだろう。
やはりこの光景は故郷に似ている]
……………
[ただ、やはり同一ではないとも男は思う。
足を踏み入れた住宅街は全く見覚えの無い場所だった]
「なくした」……「わすれた」、『たからもの』
[忘れたのであれば手がかりは自分の中に、とは言ったものの、取っ掛かりが無ければ引き出すのもままならない。
しかし男はこの雪の光景に引っ掛かるものはあった]
……夢、か。
[冬木が言っていた言葉を思い出す。
「無くした夢」。
いつから見なくなっていただろうと考える]
[降り落つる白の結晶が大きさを増す。
全てを覆わんとするような、大粒の雪。
吐く息が更に白くなったように感じた]
…………───
(”たすけられないの?”)
[記憶の底から浮かび上がる声]
(”さむそうだよ”)
………────
…”無理だ、手遅れだよ”
[記憶の声と男の声が重なる。
似ているけれど、異なる声]
(”なんでだよ”)
───……
(”たすけるのがしごとじゃないのかよ”)
───── 父さん
[それは、憧れが失望へと変わった時の記憶]
……子供だったと言うか、何と言うか。
[それでもその「夢」は大切な「夢」だった。
歳を経るにつれて現実を見据えすぎて抱かなくなった「夢」。
今では命を傍に置きながら、金のやり取りに頭を悩ませるだけとなっていた]
余程腹を立てたんだな、私は。
[他人事のように呟く口端が僅かに持ち上がる。
その出来事すら忘れるくらいに、記憶を奥に仕舞い込んでいた]
……だが、こんなのが『材料』になるのか?
[『たからもの』が物品ではないのなら──忘れてしまった記憶だろうと、そう推測はしたものの。
思い出した記憶が確かに『たからもの』だったとしても、『材料』となるのかが判然としなかった]
もしくは……まだ、足りないか。
[関連していることでまだ忘れていることはないだろうかと男は考える。
降り積もる大粒の雪を払い落とし、男は更に歩を進めた]
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