[交差点に立って辺りを見回している]
おかしいな。
この辺りが珍しくて道草でもくってるのか。
[商店街の通りに戻ってくるとアーケードの天井、謎ボタンの真上辺りに大きな飾り球がぶらさがっているのを見つけた]
はて。
[足もとでいつからそこに居たのか黒猫がにゃあ、と鳴いた]
お前、うちの…じゃないけどるりを知りませんか?
[魚肉ソーセージをちらつかせながら尋ねた。黒猫はソーセージをひったくると雑踏に消えた]
………。
そうですか。他を当たってみます。
[クルミの返事に眼鏡がずり落ちた]
な、なかなか良いパンチを持っている。
改めて言葉にされると恥ずかしいものです。
[小粒でもぴりりと辛い山椒キャンディーを放ってみた]
サードっ!
よし、次っ、もサード! サードフライ!
[銘菓ごまたまごを高く放った]
あ。
[銘菓ごまたまごは、謎ボタン上空の飾り球にぶつかり、へばりついた]
[いろいろと誤魔化した良い笑顔で]
ま、こんな日もあります。
[鷹揚に頷いた所で、はっとした顔]
…じゃなくて、るりちゃんを見ませんでしたか?
さっきから探しているのですが。
お酒は苦手だって言っていたのですが…もしや、お礼のつもりに?
そうかも、いやきっとそうです。
クルミさん、ナイスひらめきですよ。
[クルミの両手を取ってぶんぶん振った]
さっそく見てきます。
[酒屋のおやじにルリは見ていないと言われて再び商店街に足を向ける。急行待ちの踏切あたりにもルリの姿は見当たらず]
るりちゃーん、どーこですかー?
[おらびながら商店街まで戻ってきた]
あ、お二人ともこんばんは。
るりちゃん見ませんでしたか?
どうもどこかで道草しているみたいで。
おや、歌姫さん。
[ポケットから真っ白なハンカチーフを取り出すと何も言わずに手渡した]