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―― 駐在所 ――
[カツ丼が届いた。]
はあ。
容疑者、女の子なんですか。
[ノギ巡査部長、丼を聴取室の警部へ手渡す。
容疑者と聞かされたのはリストにある名前。
加え、新たに姿を消した男子児童の名前も。]
では容疑者、は 言い過ぎですね。
…参考人。
[聞かされたことのみを判断材料にして思案。
が、浮かんだ仮説を披露する愚は犯さない。]
カツ丼、明日は3人前で。はいはい。
お気遣い頂いてすみませんね、本官のぶんまで。
[参考人が増えるんだ、と警部殿の怒鳴り声。]
ですよねー
[ノギ巡査部長、生真面目且つ乾いた声で応じると
壁にかかる日めくりカレンダーを捲る。…27日。]
[駐在所前の通りは、まだ霜柱も溶けきらず。
ノギ巡査部長、自転車に乗らず押して出る。
件の空き地には、土を新しく掘り混ぜた跡。
新たに木を植えたのだと――走り去っていく
造園業のトラックを見てから漸く気づいた。]
現場保全は… まあいいか。
[連日人骨が見つかると言うのに、空き地には
警察のKeepOutテープのひとつも張られていない。
単なる張り忘れか有刺鉄線があるからなのかは
定かでなく、また定かならぬ侭でもよかった。]
[呟きは、みじかい。]
――… 民事不介入。
[巡査部長がそろりと漕ぎ出す自転車の軌道は、
大きく1回、小さく4回程蛇行して漸く安定。
そんなだから先ゆく会社員に追いつくかは*謎*]
―― 雑貨屋 ――
――あ、
うみんちゅさん。
[走りだした自転車は、すぐに停まることに。]
どうもどうも、はいはい。
ご連絡差し上げようと思ってたところでした。
[ノギ巡査部長、雑貨屋の前で会社員へ会釈。]
はいはい。ノギの代わりでノギといいます。
…なるほど、漁師さんでしたか。
[ノギ巡査部長、違いのわからない男。]
先日にお届けいただいた、
拾得物の落とし主が見つかりましてね?
謝礼の受け取りのことで、はい。
ダーツセットの1割ですから、
ダーツのシャフトが1本でしょうかね。
[羽なし、針なし、シャフトのみ]
拾得者の権利を行使なさいますか?
[ヨシアキに尋ねた*]
いらねえのですね、はいはい。
持ち主さんから後日、お礼の電話がくるかも
しれません、無視らないであげてくださいね。
[つっこまれたりツモられたりしつつ職務完了。]
捜査要員は来ていますから、ご心配なく。
本官は通常業務の合間に世間話でもして、
ぐうぜん情報が拾えれば上へ上げる程度です。
あー
ついでに言うと、…困りませんよ。
駐在所にいるノギがどのノギだろうと、
出席を取る上司は困りません。
[乾いた生真面目さでそう付け加える。
ノギ巡査部長、唇の端を少し引いて、]
警官でさえあれば、それで。
こちら側…ですか。
では仮に、犯人を
やまんちゅさんとでもするとして。
[制帽の鍔陰で、三白眼が瞬かずヨシアキをみる。]
ああ不動産業の漁師さんで――それはそれは。
[時計を見遣る相手に、お急ぎでしたらどうぞと声]
…捜査陣は、今のところ
「こどものいたずら」の線を考えていますよ。
[ノギ巡査部長、自転車のスタンドを蹴り外す。
別れ際の世間話は、出掛け前の思案をなぞる。]
人骨は、こどもたちが偶然見つけた物を
オカルトめいた手法で駐在所の隣へ遺棄。
失踪は、怖気付いたこどもが隠れてる…
そんなとこだろうってね。
どっち側の概念は、警察にはありませんから。
[ノギ巡査部長、会社員の顔をじいと見たまま
千切った紙垂(しで)を口許へ持って行き――]
方針転換させたいなら、
ちょっとばかり「村民のご意見」ってやつが
必要かもしれませんねえ。
[ふう、と彼の足元へと吹き飛ばした。]
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