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[ヤスナリの腕を握りしめたまま。
祈るようにその顔を見上げたまま]
やだ――
[プラネタリウムの説明をするマシロが言葉をとぎれさせて。
ウサギの耳をつけたゼンジの体が傾いて。
見ては、だめだ、と。
気づいてしまうから、と。
目をつぶって追い出してしまいたい、のに。
目をつぶったら『だめなのだ』、と。
――目をつぶったら『私の夢から覚めてしまう』のだと]
[もとより、知っていた、のだ]
いやだ……
[ずっと、気づいていた、のだ]
しらない……
[この、目の前の人は]
そんなの――
[積み上げる否定の言葉。
それさえ無意味なものであることも、とうに思い知っていた、のだ]
ずるい。
[だったらせめて。
せめて泣かないと、約束したから。
一方的に言い放ったものだとしても]
ぽっぽ焼き、食べてくれるって言ったのに。
あーあー、がっかり。
[約束は、破らない]
お弁当だって、とびきりの、作ってあげるのになあ。
[せいいっぱい、ふくれ面をして。
それから、ふうわりと、*ほほえんだ*]
[初めて自分に向けられる、真剣な表情に。
逃さぬようにのばした手は星空を掻いた]
……あ。
[抱き留めたのは温度のない宙のみで。
何もない腕の中を見つめる。
唇をかんで、そっと目を閉じた]
[涙はでない。
もう、散々泣いたのだから]
ひどいよ。
ちっとも私の料理、おいしくないみたいじゃない。
少しくらい、長居してくれてもいいのに。
[ハンカチを握りしめて、歩く。
本当は、とっくに気づいていたのだ。
ヤスナリが、この世の人ではないことを]
[だって自分は彼の葬式に出て、恥ずかしいくらいにわんわん泣いて、次の日は目が腫れて学校にいけなかったのだから]
ヤスナリくんの馬鹿。
せっかち。
薄情者。
うっかり屋さん。
[唇をとがらせて、文句を言いながら。
花火があがって、後夜祭を楽しむ人混みの中を、地面を見つめたままずんずん進む]
[ぱたり、立ち止まるのは、色とりどりの短冊がつるされた笹の前]
ええと、どれだっけ。これか!
[ぶち、と自分の書いた短冊を引きちぎる]
もう、私のお願い事、かなえてくれなかった! 神様の馬鹿。
[それは、一年前にもした勇気を出すためのおまじない]
[くしゃりと短冊を丸めて、ぽけっとにつっこんだ]
楽しかったとかありがとうとか、言いっぱなしで返事聞かないんだから。
[もそもそと口ごもりながら、笹の葉を、その向こうに見える天の川を見上げて、ちょっとだけ思いだし笑いして]
ありがとう、私も楽しかったよ。
それと――
[たったひととき、自分の願いを叶えてくれたのは神様ではなくてヤスナリだ、そう思うから。
目を閉じればはっきりと思い出せる真剣な表情。
部活に打ち込む時のもので決して自分に向けられるものではなかったけれど、その横顔が――]
ち こ く するー!
[がん、ばたん、と扉をあけて。
履きそこねた靴を取りに戻って]
行ってきまあ……
[叫びかけた声は、夢でも幻でもないらしい、その姿に遮られる]
……ああああ!
[びしり、指をさして。
上から下まで穴が開くほど見て]
足がある!
[町内に響くほどの声を上げて――**]
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