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ああ、あれは化粧師かあ?
隣に座ってんのはネギヤかいなあ。
なんじゃ、ネギヤの顔つきがおかしぃか?
まぁ、平素から餅みたいな顔して、可笑しいがな。
[トラックのフロントガラス越しの光景へ感想を零し。
邪魔にならぬよう、道端へ寄る。]
[と、次にみれば、ネギヤの姿がなく。]
あ?ネギヤ?
あんたさんと一緒に乗ってたんじゃぁ?
失踪てな、
ほんまにネギヤが居なくなったら、いべんとはどうなんじゃい。
[失踪というのを真に受けてはいないらしい。
ぶつぶつと言いながら、助手席に上がり込んだ。]
おでかけつう程でもないわ、ただの散歩じゃぁ。
まあ疲れたから、店の前まで送ってくれりゃいいわ。
ンガムラは、ネギヤと何しとったんじゃ。
噂のX8のミス探しかいな。
めそめそもぎゅもぎゅごくごく……?
[擬音から推理をする。]
泣きながらも飲み食いするとは…ネギヤらしいわ。
雨降りが続いて花火がシケると嘆いておったなぁ、
それでとうとうヤケになって、どっかへ逃げ出したんかのう。まぁそのうち気を取り直して帰ってくるじゃろうて。
[デート云々を聞けば]
……こりゃ、あんたさん、相変わらずじゃのう。
年寄りからかってなぁにが面白いんじゃぁ。
[そんな話をしているうちに、前方にタカハルの姿がみえてきた。]
何やら急に、ネギヤが居なくなってしまってのう。
なんぞ一人になりたい理由もあるのか、
どこかでホズミを探してるか、なんなのやら。
先程はネギヤとンガムラの他にはひともおらんようだったし、誰かに連れ去られたんいうのは……ないじゃろうがなぁ。
[そう聞けば、さすがにホズミも神妙な表情をするだろうか。]
まぁホズミは、ンガムラに送ってもらいんさい。
タカ坊も、気ぃつけてな。
[ホズミが荷台で妥協するかは知らないが、老婆は席を譲るつもりもないらしい。
雨の中で過ごして濡れたらしきホズミの肩をみて、そう薦めた。*]
[張り手炸裂の後、ホズミは助手席の足元を指した。
何か落ちてる、と。
示した先に、てるてる坊主。
その布の体に記されたネギヤの名前が見えた。]
[ボタンが拾い上げ
みれば、それは逆さ吊りであった。
ネギヤの名の下に、『[廃屋]へご招待!』と書かれている。]
なんじゃいな、いつのまに……
ネギヤの落とし物かのう。
[ネギヤがそれを…? ンガムラのじゃないわよね、
思案する素振りのホズミは。]
[「この、てるてる坊主、
お社さまからどう思われるかしら。」
「ほら、トランクス一枚でも平気なほど暖かいここの陽気は、お社さまのおかげって事らしいから、
あそこには、晴れ祈願も多いみたいよ。
そういえば、あそこのご神体がトランクス着てるって噂も
……履かせたのはネギヤ説まであったわねえ。」]
[「ま、それはさておき、
この「廃屋」って、スパやホテル名だったりして。
で、ネギヤが、
リゾート満喫だのアバンチュールだのして
…えええ、やだぁ?! 」
テキトウにまくしたてて、ホズミは拳を握りしめた。]
[ボタンは、ダッシュボードの上へてるてるを置いた。]
……ネギヤん家に届けりゃいいんかのう、
まあ、ンガムラに任せたわい。
[やがてトラックが走りだし、
店の前へ到着すれば、助手席を降りた。]
[予定通りミス・トランクスは開催されるだろうか、
であれば、自分の代わりに弟にエントリーさせようか、
道中、そんな事を、
ホズミは叫んでいたようだ。*]
―公園→自宅―
[レインコートを着た球体関節人形が、ボタンの小机の上に鎮座している。
窓辺では、風に吹かれて回転している、てるてる坊主。]
[着替えた後、店先へ出て]
洗濯物が乾かないくらいで、愚痴言うんは、やめんさい。
みっともない。
[うんざりした顔で、嫁へ小言を言った。]
―人形店―
[店の前を、幾つもの灯りがいったり来たり。]
なんじゃいね?
[表へ出てみると、
心配げな顔をした船頭も、灯りを手にして立っていた。]
――ネギヤがまだ帰ってこん?
まあまあ、どうしたんかねえ。
[しんどそうに腰を叩いて、短い立ち話を。]
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