暑い季節に南の島に来いだって。
嫌がらせ?
[着くなり日傘を掲げる。]
でも、ジメジメした気候よりはマシ、か。
[左手に持つ招待状を一瞥して、屋敷の中へ。]
着てやったのに 出迎えは無いの?
[屋敷内を見渡し、音が聞こえる方へ進む。
食堂には、準備に勤しむ男の姿があった。]
客の出迎えにも人を裂けない程、人を雇ってないの? 宇野は。
[あまり機敏には見えない動きを、ドアにもたれ掛かり眺める。]
…十五時か。
[テーブルに並べられる人形と、壁に掲げられた童謡を見比べる。
人影は、まだ*少ない*]
こんな所でカウンセリングとはね
――本当に何もない島なんだな
[屋敷の入り口で足を止める
振り返るとここまで乗ってきた船が遠ざかっていくのか見える
軽くため息をつくと玄関の扉を開けた*]
[屋敷の扉が開き、入ってくるのは若い男がひとり]
やあ宇野さん、お招きありがとう。
[顔にかかる長い髪を手ではねのけて、ずかずかと屋敷の中へ]
宇野さん?いらっしゃらないのかな?
[食堂へとたどり着くと、先客に会釈]
おや……これは。
お初にお目にかかります。
そういえば、他にどなたが呼ばれているのか、伺っていないのですよ。
サプライズというわけだ。
[そう言ってから、テーブルに並んだ陶器の人形に視線を向け]
ほう……。
[薄く笑って、目を*細めた*]
[テラスからは、海が一望出来た]
それにしても――
[パイプを燻らせ目を細める。
青い海、青い空。立ち上った煙がぽかりと浮いたような雲が一片]
どうせ屋敷を建てるなら、こんな辺鄙な場所でなくてもよかろうに。
宇野さーん、あれ、いないのかな?
[きょろきょろと辺りを伺いながら、女が1人食堂へ入ってきた。
軽い調子で先客へ挨拶をする。]
あ、どーもどーも。
今日呼ばれてる人って……これだけ?
わざわざ招待状出すくらいだからもっと多いのかと思ってたけど。
もしかしてまだそろってないのかな。
[ふと、テーブルの上の人形に目がとまった]
なにこれ?宇野さんの趣味?
[そのうちのひとつを手にとってひっくり返したりしている。
しばらく眺めたあと、人形を元に戻して写真を一枚ぱしゃり]
古いお屋敷に謎の人形……絵になるね。
[満足したように*つぶやいた*]