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[部屋を出るのは、そぶりだけ。
ゼンジにいくつかの声を返さなかったのは、何処までも恣意的なもので]
…さて。
知りたかったことは何でしたか?
[冷ややかに口の端だけを上げて、バクを見つめる]
[二つの質問。さてどう答えたものかと思考を巡らせ]
狼は…こう言う、爪と牙とを持ったものです。
[硬く鋭く変化したそれぞれを、胸と足に当てて、刔る]
当然こうすれば、全身赤くはなります。
バク君が、どうして僕をそう見たのかは、わかりませんが。
[普段と大差の無い口調。ただ、響きだけがやけに低い]
[服を着替え、ペットボトルの水で湿らせたタオルで、顔や髪を拭う]
… ……、
[眠気は無いのに、目覚めた直後のように意識はただぼんやりとしている。
躯が、重い]
成程…確かに溶けかけは割りにくいですからね。
[含み笑いもせず、無表情に頷いて足元に落ちた銀紙を拾おうとしゃがむ。
探る視線には気付かず]
…気配……?
[言葉を反芻し、ああ、と頷く]
やっぱり、お化けだったんじゃないですか。
その言い方は。
[薄ら笑いに眉を顰めつつも、探すというポルテの後ろに立って、歩く]
真実は小説より奇なり。
怪談よりも、怖いものなんて…世の中、たくさんあるでしょうに…。
[内心で冷ややかにひとりごちた**]
―ビセの居た部屋―
あんまりそこ近付かない方が良いですよ。
摂りこまれるかもしれませんから。
[窯に近付くポルテに淡々とした声を投げる]
――…知りたいことでも、あるんですか?
[摂りこまれたら、食べられない。
当然のように、心配するのはそちらの方]
…カレー味……、かな?
[思考が何処かずれているのに気付いて、ひっそりと心の裡だけで笑う。
飢えている。そのために意識は逸れる]
確かに僕は作家で、話を作るのは生業ですけれど。
その2つは、僕が語ったものではないでしょう?
本当の事、ですよ。
[こんな時ばかり、明確な答えを告げる]
そうやって尋ねるから…より深淵に近くなる。
冗談は言っても、嘘は吐かない主義ですよ。
[口の端だけを上げる笑み]
僕が教えられることなら、答えますが…それなりの対価は頂きますよ?
っと…、どうしました?
[突然振り向く様子に、緩やかに首を傾げる]
オオカミの話を。
カミサマの話を。
この村の意味を。
この儀式の事を。
幾つかの選択肢と、その行く末を。
[謳うように、韻を踏んだ言葉。
部屋を出るポルテの背を抜き去って、地下へと足を向ける]
対価を払う覚悟があるなら、後ででも構いません。
…あの像の前へと。
[貯蔵庫を抜け、その先に足を踏み入れる。
祭壇に腰掛けながら、神の像を見上げた]
……カミサマ、
僕は、貴方が嫌いです。
[ひっそりとした空間で、一人呟く]
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