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そうかい、ぜろくんが
[誰かは知らないが、笑顔で頷いて。
彼女の振る手に、こちらも手を振った。]
ああ、また
何かあったら、ナースに言っておくれ
私を探す時は、そっちの方が早いから
[そう言って、彼女を見送った。
さて、これから何をしようか。
彼女の姿が見えなくなってから、私はまた歩き出す。
珈琲を、何処かで飲みたい。]
[いくらか歩いた後、結局ロビーにやってきた。
理由があるとはいえ早く着てしまった分、次の予定まで大きく時間がある。
ああ、売店でサンドイッチでも買えばよかった。
朝食がまだだった。]
お洒落な気がする普通の朝食を取り損ねた
[小さくぼやくと、珈琲の缶を開けた。
微糖はまだ少し熱かったけれど、外に出て冷えた体を温めるには十分だ。]
[新聞でも読もうか。
いやいや、ロビーで珈琲飲みながら新聞って、医者のとる行動として絵にならないだろう。
心の中でそんな事を想いながら、往来する患者達や医師、看護師達の姿を眺めていた。
変わらない、いつも通りの病院。
薬の匂いがして、落ち着く場所とは程遠く。
笑い声がする場所もあれば、鳴き声の聞こえる場所もある。
命が生まれるかと思えば、命が失われる。
そんな矛盾する場所。]
ある意味面白い場所だな
[そう思うと、ただ往来を眺めているだけでも多少気がまぎれる気がした。]
[そうして眺めていると、どこからか視線を感じ。
白衣は目立つか、と思って視線の方を見る。
車椅子の女性が、こちらを眺めている様子で。
何かあるのかと思い、自分の姿を確認した。
いや大丈夫、たぶん何もない。
寝癖でもあるのか?
寝起きですぐ出てきたからな。]
何か、変かい?
[自分ではわからなかったので、その女性に話を聞こうと思った。
立ち上がり、少しだけ近寄って。
威圧感を与えないように、笑顔で。]
外の匂い?
[彼女は、首を振っている。
とりあえず外見的に可笑しい所は無いらしい事には、安心しておこう。
寝癖姿で患者の前に立つと、不信感を与えてしまうから。
彼女は、車椅子に乗っているから。
外の匂いがすると言うのは、外に出たいと言う事なのだろうか。
それはそうか、この歳で足を患ってしまっては。]
君は、外に出たいかい?
[若者は、少し気になった。
外に出たいだろう、歩きたいだろう、なんていうのは結局他人の感想であって、本人の意思を聞いたわけではない。
医師として、患者の気持ちを聞いてみたいと思ったのだと思う。]
ああ、いや、失礼
[落ちた視線と、続いた言葉に。
自分が随分と、無神経だったように感じて。
反射的に、謝ってしまった。]
そうだな、この足はあげられない
私の足が君に適合するとは思えないから
まず、サイズが違う
…―――
ああ、いや、そういう事ではないな
[今必要なのは、医学的な話ではなくて。]
君が出たいと言うなら
その手助けをするのが医師だと思う
歩けるようにしてやるとは、言えないが
経過をみて、外に連れ出すくらいなら出来るさ
ああ、えっと、うん
すまない、もう少し器用な人間ならよかったが
上手くないな、専門の先生には敵わない
[頭を掻いて、誤魔化してみるけれど。
でも、何か答えない事にはな。]
先へはいけない、と言うのはどう言う?
私は外科医だから
専門でない所もあるかもしれないけれど
希望も無く、夢もなく、ただ耐えるのは辛い
だから、私に出来る事をしたいと思っている
[精神科の先生なら、もう少し上手に話すのだろうか。
勉強しておけばよかったな。]
良い所、かい?
そうか、すまないね
どうも、言わなくていい事ばかりで
[患者に何か、希望のような物を与えられたらと思うのに。
どうも、上手くそれが出来ない。
外科なんてやっていると、患者と話をする機会の少なくて。
それを改善する事が、出来ないまま。
だから、握手をしようと言われれば。
わかったと頷いて、手を差し出した。]
出来る事があれば、言ってくれればいい
協力出来る事には、協力するし
宿題?
[嬉しくなるような事を考える。
それは、とても難しい宿題だ。
だけど、それが彼女の先になるのなら。]
わかった、考えておこう
君の病室を教えてくれるかい?
宿題が出来たら、持って行こう
私を探す時は、ナースにでも言ってくれればいい
外科のユウキ先生を、と言えば大丈夫だから
[傾げられる首に、頷いて。
年頃の女性を喜ばせる、なんて事が出来るなら。
それはもう、不器用とは言わない気がしたけど。]
クルミさん、だね
わかった、待っていておくれ
[楽しみにしていろ、と言えるならきっと良い。
だか、自分にそこまで自信はない。
ハードルは、出来るだけ低くしておきたい。
こんな事考えてるから、駄目なんだろうな。]
約束だ、必ず宿題は届けよう
[笑いかける彼女に、そう言って。
去っていく車椅子を、見送った。
これは、大変な宿題が出来てしまった。]
…―――
あとで、誰かに相談に乗ってもらおう
[演歌が、微妙に聞こえた。
テレビで何かやっているのだろうか。
テレビを見よう、と言う気分ではない。
何しろ、悩みの種が一つ出来てしまったから。]
ふむ…―――
[年頃の女性が喜びそうな事。
ナースに聞いたら、きっと白い目で見られる。
といって、患者さんにそういう質問もどうだ。]
難しい問題だな
[首を捻って、外を眺めた。
雪は、まだ降っている。]
…―――?
ああ、聞かれてしまいましたか
[外を眺めていると、先生様、なんて聞こえて。
振り向いてみると、そこには男性の姿。
昨日、私を拝んでいた人だ。
おどけて見せているようで、心配してくださったのだろう。]
それは、私も人ですから
解けない問題もありますよ
私を喜ばせるような事を見つけてくれ、と患者さんに言われまして
どうすれば良いものかと、途方にくれていたのです
[見舞いの方であろう。
だから、多少弱音を吐いても大丈夫か。
そんな事を、自分に言い訳してみた。]
ぬいぐるみ、絵、ですか
なるほど、それも一つですね
[男性は、自分より随分と歳が上のようで。
父親ほどの年上の男性の言葉なら、アドバイスとして受け取って十分だろうと思い。]
私と年頃の変わらぬ女性なのですけれど
足を不自由にしているようで
外に出たいけれど、出られないと
だから、何か元気付ける事をしたいと思ったのですけれどね
どうやら、私はそう言うものが苦手なようで
先ほども、随分無神経な事を言ってしまいましてね
[苦笑いが自然と浮かんでしまう。]
どうしたものですかね
ええ、若いお嬢さんです
[頷いて、語られる内容に首を傾げる。
好きな場所に、一緒に行く?
ふむ、そんな事で相手は喜ぶものなのか。
特別に想う、とはどんな事だろう。
若者には、わからない事が多い。
だが、先達者の言う事である。
何か、大事な意味もあるのだろう。
だから、頷いておいた。]
一緒にいるだけ、ですか
それは、随分と簡単な方法ですね
それで患者さんの心が元気になるのなら
医師としては、試してみたいものです
[茶化すような言葉尻ではあるけれど。
若者には、そう言う冗談はよくわからない。
だから、真面目に全て受け取っている。]
絵を書くには、絵心が必要でしょうから
写真なんかじゃ、駄目ですかね
好きな場所の写真を集めて、そこの話をする
で、治ったらつれて行く、と
こんな感じでは、喜んで貰えないでしょうか
[いたって真面目に、首を捻り。
男性に、問う。]
真心、ですか
伝わるといいのですが、難しいですね
[人を治す、と言うのが医者であるけれど。
体を治療は出来ても、心は治せない。
それをするご家族は、自分達よりよほど凄い力を持っているのだろうと想う。]
医者は昔、命を司る神の領域を侵すもの
そう言われていたそうです
今でも、そう言って医術を拒む地域もある
ですが、医者とはとても無力だ
そう感じずにはいられないのですよ
特に、こういう問題ではね
その点では、貴方の方がよほど先生だ
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