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―二階・クレストの部屋―
[クレストが使用している部屋までつけば、
寝台に下ろそうとした所で、
シーツが濡れるという事を懸念したが。
狭い部屋の中、他に下ろすような場所などない。
ついでにシーツも替えねばならないと
増えた面倒事に心中で舌打ちを落とす。
粗悪なスプリングが青年の体重を受けて、
いやに煩く軋んだが、それで目覚める様子は無かった。]
[一度一階へ降りタオルとシーツを調達してから戻る。
シーツだけでなく内側の布団も濡れてるよなあ、と
検討まではついたが、次第に考えるのが億劫になってゆく。
いいさ、大きめのタオルを敷いてやりゃいい。]
泊まり込む事態が分かっていりゃあなあ…。
[着替えも、防寒具も。
事前に準備は出来たのだが、どうにも出来ない。
クレストの衣類を剥き、タオルで上半身を拭く。
体温が下がっている事は触れれば尚解ること。
なのに、広めの額を触ればめっぽう熱かった。]
[心は雪のように冷たいのにも関わらず、
人の姿を模しているミハイルの体温は人間と変わらず。
クレストを背負った事で濡れてしまった、
役人の制服である上着と共に上衣を脱ぎ。]
アー…、俺の分はどーすっかな。
[暫くは体温を与えるようにクレストを抱え込む。
イェンニの衣類の届けがあるまでは、このまま**]
[>>109イェンニの持参した衣類を一瞥した衣服を確認し。まあどれも着付けた。れるサイズだろうと判断を休むならワンピースが一番最適そうではある。寝間着だとでも思えば良い。
ブラウスとスカートを着せるのは手間が掛かりそうだという難もあり。]
着替えさせる間にでも水を。
[旅人の手にした薬箱を見て、イェンニに告げる。
尤も下着だけのクレストを前にしている彼女に今更席を外せもクソも無いが。]
少し落ち着いたが、恐らく熱がある。
薬はどれを飲ませたら良い?
[旅人に声をかけて薬を所望し。イェンニが部屋を出た頃合いに掛け布団をはいで上下一対の服を着せる。ファスナー式ではなく被せるもので良かった。
行動自体は正当な理由がある上で行っているものの、背中のファスナーを上げる役目を請け負えば、余計に気まずさを覚えそうだから。
頭を通し、腕を通してと悪戦苦闘の末に着替えを終えさせれば、水も届いたか。]
…おいガキ、起きれるか。
[水を飲ませるのは流し込む手段を考えれば更に誤解を受けそうなので、目覚めて欲しいと願いながら、肩を揺らす**]
ああ、ま。
ここで暮らす前に面識はあったからな。
[スラブ民族も肌は白いが、顔つきは異なる。
移民である事を示したつもりだが、それが伝わるかは怪しい、
開いた紙の上にある粉を見下ろしてから視線を旅人へと。]
あんたは何処の出身なんだ?
[少なくともアジア系には見えないが、どうか**]
―少し先のこと―
[ドロテアの手記の話は誰かしらより聞く事が出来たか。
雪の精に思念で頼みを伝えれば、誰かが戸を開けた隙に一枚の紙が表口の玄関にひらりと舞う。
泥で綴られた文字は、短い文章となり薄汚れた半紙の上を泳いでいた。]
『わたしの事を追ったドロテアに敬意を篭めて。
彼女の手記は真実です。
今宵もわたしはあなた方のうち一人を招くでしょう。
わたしを見つける為には夜を迎えるまでに殺さねばなりません。
それを放棄するのなら二人招きます。
ひとりでも多くの皆さんを招待できることを祈って。
優しい水の精より。』
―少し前>>126―
[丁度上着を脱いでいる頃合に戸が叩かれた。
小さめの女物の中からイェンニが服を見繕ったには早すぎる。]
…入れ。
[短く声を掛けて、入室を促す。
クレストの顔色は、元の肌の色を更に蒼白とさせて、
ひどく悪いものだが、死に際の土気色に比べればマシか。
新しいシーツと大きめのタオルを敷いた上に寝かせてある。
布団と少し黴臭い毛布をかけたが、
顔だけは赤いが肌はぞっとするくらいに冷たい。
濡れた上着を脱ぎ、足を踏み入れた養蜂家を見返し。]
災難だったみてぇだな…ドロテアはどうだった。
[ダメだと解っていながらも、一応尋ねた。
その後短い会話をいくらか交わしたか*]
いやいや、待て。そうじゃないんだ。
[>>142爽やかな笑顔で勘違いの風呂敷を広げた侭の女に
制止を掛けるが、そのまま出て行かれた。
どうか悪ふざけでありますようにと願うばかり。]
ああ、体の内側から温めた方がいいだろう。
手記はほんとにあったのか。
後で内容を教えて欲しい。全員読むこたぁないだろ
[>>144水と共にスープを盆ごと受け取り。
サイドボードに器や水の入ったグラスを置いた時には
青年は目を覚ましてくれていた>>140>>141。
良かった、恥の上塗りをせずに済んで。]
スープ飲んでから薬飲めよ。
胃がやられそうな色だからな。
[>>149スープを啜るクレストは言わずもがなといった様子だが*]
そうだな、…ずっと遠い所だ。
[>>138首を縦に振り。
余りのタオルを肩から羽織り、旅人の細い目を見る。
出身が不明と聞けば、首を傾げさせた。]
解らない…?
ああ、そういう事か。年齢まで知らないってのは、
[似てるかもな、と出かけた言葉をぐっと飲み込む。
確か100…いや200……?
人で無くなった時から歳を取らない体になったのだから
それが年齢なのかと謂われれば、微妙な所ではある。]
羨ましい…ね。
故郷が同じってだけで、そうは知らねえがな。
[>>145野暮と吟じてからイェンニに続き場を辞す旅人に、
おいと口を開きかけたが、そのまま見送る。*]
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