―― 翌朝・集会場 ――
神様すまん、もう酒なんて一滴も飲まない。
[渡された投票用紙を握り締めた手で、二日酔いの頭を押さえる。
遠く聞こえてくるのは、アーヴァインが無残な姿で発見されただとか、処刑者を決めろだとか、自警団員による*一方的な話*]
─ 朝・集会所 ─
アーヴァインさん、死んじゃったのね。
[挨拶以上の話をした記憶はないけれど、
見回りの一環であろう、しばしば寄宿舎を訪れていたのは見かけていた。]
──狼にかみ殺されちゃったの?
[私の家族みたいに──とは心の中でのみ。**]
……。
[自警団長の死を聞いた反応はそれだけ。
犯人探しと言う名の処刑者選びを聞き、
もう一度口を開く]
この中に犯人がいるということにして
互いに殺し合わせる。
そしてここにいるのは狼と人殺しばかりになる――
そういうことですわね。
下品な手口ですわね。
こんな方法を考えついた人間に
お会いしたいものですわ。
――もっとも、人なのは
外見だけなのでしょうけど。
[そう言って華やかな笑みを見せる。
*皮肉を込めて*]
[いつでも不機嫌な破落戸(ごろつき)は、
椅子の背凭れへ頬杖をつき斜に腰掛ける。
一同へ一通り視線を睨め巡らせた後は、
しばらくむつりと口を閉じ其処に居た。]
[酒場の女が無意味な禁酒の誓いを口走る。
女学生がいろのみえない声音と言を置く。
堂々たる寡婦が挑発めいて某かを皮肉る。
やがて独り言ちる意識は其処へは向かず…]
殺されるのも、仕事のうちってかぁ?
[幼い頃から見知る自警団長の男の死に様に。
破落戸(ごろつき)は、亡きアーヴァインの
念入りな職務熱心さへ忌々しげに毒づいた。]
… 石頭が。**
神様に誓う前にヴィンセント先生の所に行った方が楽だったんじゃないの?
[酒に呑まれた看板娘を一瞥しながら、静かに本を捲る。新たな犠牲者で疑いが深くなった者達が再び集められた集会場、その中で手渡された一枚の紙切れは栞代わりに挟んでいた。]
では、俺らが疑われるのは、死して尚束縛する彼の正義、という事になるのでしょうか。
[はらり、と頁を捲る。昨日の雪は止んでいた。]
へぇ、人狼はかみ殺してひとを殺すんだ。
[耳を掠めたメイの言葉に、興味深そう声を上げた。
視線は相変わらず文字を追う。]
まるでその場を見た言い方だね。
あ、あとそれと――…
オードリーさん、かな。
集められた内訳が、必ずしも狼と人殺しだけとは限らないんじゃないかな。
…たとえば、人とも人狼ともつかない、厄を齎す存在とかも。
いないとは言い切れないでしょ?
[手に持つ本で表情を隠しながら、彼は眇めるように辺りをゆっくりと*見渡した*]
お水、どうぞ。
[>>0頭を押さえているローズマリーの近く、テーブルに水の入ったコップを置く。
自分に配られた投票用紙は、彼女が握りしめたそれよりしわくちゃになって、ポケットに入れられている]
……。
アーヴァインさんの死も、悲しむ人はここにはいませんね。
[お盆を抱えたまま、ため息をひとつ]
ありがとう。
メイドというのは気がきくんだな。
[水をちみちみ飲んで、目を瞑る]
ヴィンセントはダメだ。
いつも胡散臭く笑って「風邪ですね」としか言わない。
あいつは私のことを嫌っている。
これくらいしか出来ませんし、これが仕事でしたから。
[>>11小さく苦笑する。
町医者がうさんくさいと評されるのを聞けば、くすりと笑ってしまうのだけれど]
死して尚、か。
これが正義だというのなら……
[視線を落とす。
続く言葉も、表情もすべて消し去って。
すぐに顔を上げる時には、もとの少し困った笑み]
アーヴァインが普段どういうルートで見回っていたのか、知っているか?
[半分ほどになったコップをテーブルに戻した。
空中に指を伸ばして、思い描いた地図をなぞっていく]
酒場に留まるのは20分ほど、まずは牧場の方へ歩いて行く。
30分後には戻ってきて、今度は寄宿舎へ続く道に向かう。
家々をぐるっと回り、また酒場の前を通過するのが1時間後、と言ったところだ。
人でも人狼でもない存在……ですか?
[>>9見渡す視線を受ければ、小首を傾げる。
一瞬、彼の顔もとに寄せられた本へと視線を向け]
ああでもそういうモノであると証明できれば、今は殺されずにすむのかしら?
少なくとも、自警団が集めた理由は「人狼」なのでしょうし。
……。
ちなみに。皆さん昨晩はどちらに?
だが昨日は違った。
私は一人寂しく酒を飲みながら外を見て、マスターが帰るのを今か今かと待っていた。
しかしやって来たのはアーヴァインで、奴はいつもの道順で寄宿舎の方へ行ったが最後、戻ってくることはなかった。
昨日の夜、あの男はどこで何をしていたのだろうな。
[身体の前で腕をさする。
黙り込むと、少し小首を*傾げた*]
ローズマリーさんは、お店に戻られたのですね。
アーヴァインさんが襲われたのですから、
彼の行動にもなにか……
人狼に関する手がかりがあるのでしょうか。
[>>15酒場に勤める故の情報に、微かに目を*見開いた*]
[細面の学生が、いろをみせない言を撒く。]
…けっ。
理屈ゥ捏ねやがる。
[破落戸は鼻白む態で、卓へ配られたペンと
紙片へ向かい――無造作に名を書き入れる。]
[紙片を手に立ち、卓を廻り込む歩は緩慢。
忌々しげな面のままに、投票箱へ叩き込み]
「ハズレ」を引くのは、
プライドが許さねえかぁ、坊主。
[問うともなく、ラッセルへと投げかけた。]
石頭野郎の姿は、
きのう集まる前に見たのが最後だな。
[若い女中の甲斐甲斐しさには口を挟まず。
ただ昨晩の所在を問う言へは片眉を上げて]
――女ンとこさぁ。
[放り投げてみせる合鍵を宙で掴み、懐へ戻す。
問い重ねる野暮のあるもなしも*気にせぬ態*。]
[思春期の娘が父親を見るような視線をノーマン(>>19)へ向ける]
いかがわしい話なら、子どものいないところでやってくれ。
[学生の方をちらちらと落ち着きなく見やった]
へっ
おら、
日が暮れちまうぜ女子どもの皆サマよ。
[ローズマリーの言を拾って票を急かす]
言い訳が必要なやつは
今のうちに考えときなア。**
[張りつめた空気の中、一枚頁を捲る。はらりと落ちた投票用紙に目を向けた少年は微笑む。]
ハズレなら、昨日の時点でもう引いてるじゃないですか。
[細い指で用紙を拾いつつ、ノーマンへと視線を向ける。鮮やかに歪む口許は、この場で初めて見せる砕けた顔。]
……その鍵で開く部屋の女性に確認すれば、あなたの言葉が本当かどうか確認できますね。
[>>19放り投げられる銀色のものに目を細めるが、彼がせかすとおり日暮れが迫る。
確認する時間はなさそうだ]
思わぬ収穫か、はたまた計画的ななにかか、ですね。
私は人狼でもその厄をもたらす者でもないですが……こんな死に方はごめんです。
[固い口調で言い捨てて、皺になった投票用紙を、ポケットの中で*握りしめた*]
いいか、ラッセル。
私はどんなに酔っ払っていても、アーヴァインの足音だけは聞き間違えない。
[自信ありげに言った勢いのまま、マスターに『意外と几帳面な字』と言われたことのある右肩上がりの文字を、用紙へ*記入した*]