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[貝殻を合わせようとしたその瞬間、
目の前でロッカの体が崩れ落ちた]
また……!?
[それと同時に、ロッカの手を滑り落ちた
白い貝殻が軽い音を立てて粉々に砕かれる]
………。
[くてり。
その場に崩れ落ちる。
体は雨で冷えているけれども、鼓動はあり冷たくはい。元々雨で体力が落ちていた中であるからか、栗甘納豆完食後の眠気についに負けただけであるのか。
ロッカの様子とは違い、猫はただ眠っているだけのようだ]
[倒れたロッカの体を助け起こそうとするも]
[ケンの事を思い出し、既に命がないのは予想がついて]
……また、なんだ。
ロッカちゃん、雷神様は何が欲しいのか知ってた?
だったら、教えてくれればよかったのに……。
[ぱりん。
白い貝殻が、砕けた]
ロッカ!
[駆け寄る。抱き留めるには間に合うはずもないけれど]
おい、しっかりしろ。
[ひた、と頬を叩いても反応が無いのは、ケンの時の繰り返しのようで]
[これで2回目。もうため息も出ない]
ともかく、今はロッカちゃんのご両親と
診療所に連絡するのが先だね……。
ごめん、ロッカちゃんのこと
診療所まで連れてってくれるかな?
ご両親には私の方から連絡入れておくからさ。
[やっぱ力仕事はきついわ、と努めて明るく言って]
……と 見つか たと 思ったのに
[異常な事態に騒ぐホズミとフユキの耳にはもしかすると届かないかもしれないほどの小さな言葉が小さな口から紡がれるも、意識は眠りの中*]
言えるのは……これ以上
何も起こらないでほしいって事だけだね。
一通り終わったら、またそっち行くからさ。
[そう言って、フユキと
今は亡骸となったロッカを見送る]
[診療所に落命したワカバがいるとは、
まだ知らないまま]
さ、ウミも帰るよ。
校長先生のところにも
連絡入れた方がよさそうだしね。
[眠りにつくウミの体をそっと抱え上げて
ホズミも蔵を後にする]
だけど……ウミは不思議だよね。
事件のときにはいつもいてさ。
飼い猫にも野生の勘ってあるのかな?
ねえ……ウミは何か知ってる?
[尋ねても、聞こえるのは*静かな寝息だけで*]
[訪ねたワカバの部屋で幾らか話した頃。
――閃光は一瞬。
痛みか圧迫感かに似る衝撃と共に訪れた。]
きゃああ あっ…… !!! !
[悲鳴はワカバの其れと重なって上がる。
光に遅れ轟いた雷鳴が耳を痺れさせ――
ヘイケは背から壁にぶつかり崩れ落ちる。]
( 屋内に カミナリ?! )
[そんなばかなと額へ手を遣り頭を振る。
眩んだ視界が回復する頃に…息をのみ]
…… !
[中央が黒く焼け焦げた、室内。
部屋のあるじ――ワカバは、柔らかい髪の
ひとすじも損なわれずつめたく倒れ居り。]
[裏返った菓子鉢。こぼれた甘納豆。
ワカバの口唇にはまだザラメの粒が、]
…
なんて なんてこと――
[声はひどく 恨みがましく。
面は悲嘆に染まり 視界は涙に、歪んだ。]
してくれたんだ。
[山奥の村に、茶屋は「稲荷屋」一軒だけ。
その店を、屋号で呼ぶひとは殆どいない。
いつも客をあたたかく迎える耳の遠い老婆が、
ずうっと昔「かみなりばばあ」なんて渾名を
つけられてこわがられていたなんてことも、
いつから人間好きになったかなんてことも、
覚えているひとはもう――殆ど *いない*。]
[ホズミの腕の中でくてりと眠ったままで]
……どこ さまよ てんのかな
窓硝子にうつ たアレも …駄にな ちゃったし ……
[蔵から出るよりも前に、そんな言葉が小さな口から紡がれるが、それが猫の口からのものだと人間が気づくかは――*]
― 診療所 ―
[待合室のソファで寝ていると、ドウゼンにぴしゃりと額を叩かれた]
……大丈夫だ、馬鹿は風邪ひかないっていうし。
[もそもそ頭を掻く。
肩をすくめるドウゼンに、苦笑を返した]
[もう一度ガラス窓を覗き込むが
暗い雨空の下では鏡のように
ホズミ自身が映っているだけ]
さまよっている何かが、映ってたっていうのかな?
……。
[どうにかしたくても、手掛かりになるのは
抽象的で現実離れしすぎる話と、アンの形見の貝殻だけ]
―― 診療所 ――
[静かな、薄暗い部屋でワカバのそばに居る。
新たに運ばれてきたのは――つめたいロッカ。
扉越しには、つめたくなった者らの親族と
ドウゼンとの涙声混じる話し声が聞こえ。
――その声もやがては絶える。訪れる静寂。
ヘイケは、眉根をきつく寄せて両腕を組んだ。]
……
[診療所のドアをがらりと開ける]
……こんばんは。
[フユキの姿を確認すれば、
ロッカについて語る事は既になく。
しかしワカバの顛末を聞けば]
――ワカバちゃんも、ですか!?
そう、ですか。
[短い返答。
心が少しずつ麻痺してきてるような、そんな気がした]
此処にこうしてあり続けることに意味があり。
[右の掌を見て]
何かが足りないから雷神さまが怒っている。
[左の掌を見る]
両方同時に成り立つんかね、ロッカ。
[答える少女は、もう居ない]
[待合室に姿を現したヘイケに、小さく右手を挙げて挨拶して。
次いで診療所を訪れたホズミに左の手を挙げる。
ワカバの顛末を聞いて言葉を失うホズミに、自分も押し黙った]
…わらうことが出来なくなるわけでは、
[視界にはフユキがドウゼンへ向ける苦笑。
耳にはウミを抱いてきたホズミの僅かな声。]
ことばが尽きるわけでは、
ないのね。
[ほろり 感慨を漏らしてから其々へ目礼を]
[ホズミの腕に抱かれてやってきた診療所。]
幽霊なんていないと思 ていたのだけど。
合理的に考えて良いのかな? これ?
何か僕たちのルールの外の話な気がする。
[眠った猫の口から紡がれるそれは、誰かを彷彿とさせる語調で]
足りない足りないってロッカちゃんは言ってたけどさ。
……結局のところ、何が足りないって言うんだろうね。
みんなの――あの状態とか見れば
雷神様が怒ってるってんでも納得するしかないけど。
[フユキとヘイケに問いかけるように]
考えてはみたんだけど、
人と海と柿ぐらいしか思いつかないわ。
ロッカ―――
彼女は何か別のものを夢と表現しているように思った
不謹慎な事実を「大丈夫だよ」では済ませない自信と 「今まさに何か見ているような素振り」
…… て、彼女の確信は何故だったのか。
[しっぽがぴくりと動く]
まあ そーだよね。
いきなり えっと……アンちゃんと、ケンと、ロッカちゃんと あたし。4人立て続けにコレだもんね……
[今度は先ほどとは違う誰かを彷彿とさせる語調の言葉が紡がれる]
きれいよ。ワカバも。
[ワカバの「状態」について短く触れる。]
カミナリは、落ちた。たぶんね。
でも、カミナリに打たれたのではないわ。
[アンも ナオも ワカバも火傷ひとつない]
カミナリにしても雷神さまのお怒りにしても
仕方が無い、抗えない、
…そんなふうには、どうしても思えないの。
[ヘイケの言葉に、瞬きして。
もう一度、苦笑して見せた]
人と海と柿か。なるほど。
[ホズミの言葉の問いかけるような言葉に、眼鏡を拭きながら答える]
しかし人が足りないっていうならこの有様は……ん? なんか言ったか?
[ホズミの方から、ホズミのものではない、声]
……え?なに? ワカバも!?
[ぴくり]
あたし、このまま燃やされちゃうんでしょうか。
[ぴくり。むずむず]
アレか。狙われてるのは若い男女かっ!?
[ぴくり。しっぽをぶんっ。]
もしかしたらナオちゃんとケンケンも?
[ぴくり。しっぽぶんぶんっ。]
何かを求めてたのは、ロッカちゃんなのかな。
[ぴくぴくり。しっぽぶんぶんぶん………]
足りない、もの?
人と 海と 柿。
そう、そうね――ホズミ。
[ホズミの言には少し想うところがある態で
言葉を続けようとしたが――彼女が胸に抱く
ねこが人語を放ったように見え、はたと瞬く]
ウ ウミ?! …
――!?
ウミが……喋ってる!?
いや、えーっと……どういうこと?これ。
[聞き覚えのある口調、
しかしそれはもう喋る事の出来ない者のはずで]
[混乱する頭でようやく閃いたのは]
……イタコの口寄せ?
[ぴくぴくぴくり。ぶんぶんぶん]
やっぱり、これって雷神さまの祟りなのかなー。あたし、なんか悪いことしたっけ?
[ぴくぴくぴくぴくり。ぞわぞわぞわぶんぶんぶん………]
さて、だとしたら、どこから、何故降りたのだろう。そもそも雨の中、彼女は何がしたかったのだろう。室内の落雷とかもそうだけど、実に奇妙だ。犯人を見つけた時、僕達は僕達のまま何ができるんだろう。と考えてしまう。
もうとりあえず女子更衣室とかに行くべきなんじゃないか。僕は…
[がばっ!]
………にゃあーーーーーーーー!!!
みなさんおしずかにしてくださいですにゃあーーーーーーーー!!女子更衣室覗いちゃダメ、ゼッタイ!!
[最後に誰とも違う語調で目を見開いて、全身の毛を逆立てて一喝。]
イタコ!? そんな馬鹿な!?
[しっぽをぶんぶかしているウミに、触れて良いもんか逃げるべきかやや近寄りつつ]
うわわわっ 猫が女子更衣室覗いた!? じゃなくて喋ってる!
[ふしゃーっと全身の毛を逆立てたウミに、びしりと指を指した]
頭の中うるさいのですにゃあ、流石のウミも起きてしまいますにゃあ。
ナオさんナオさん、「女子更衣室に魔除けのお札を貼っといてー」と言われましてもウミの言葉は人間さん達にはいつもいつも通じないのですにゃ……ってさっきからずーっと何度も言ってるんですけど、やっぱりナオさんにも通じませんかにゃあ。
[ヘイケとホズミの間の空間を見ながら]
口寄せ…
な なんだか
かわいそうな気もするけど――
[躁状態のような挙動を見せながら
言葉を流し続けるウミに戸惑い、見遣る。
注意深く、今度は耳を傾けて]
苦しんだり、
何かを訴えてるわけじゃ ない…のね ?
ね、ねえ。
みんな生きてるの?
どうなっちゃってるの?
こっちのことが分かるの?
[状況がよく分からないが
もしかしたら、と虚空に向けて問いかける]
くあぁ〜…っ。
寝起きねむねむですにゃ。皆さん耳元で喋りすぎなのですにゃあ。おかげで寝てるときの皆さんの会話内容みーんな耳に記憶してしまいましたにゃ。
……ってことは、ロッカさんとワカバさんまで大変なことになっているのですかにゃあ?
[眠るような遺体を見て]
うわわわわ、ワカバさんとロッカさんがとんでもないお姿にー!
あああああ、でもあちらにもいるということは霊のおかたと同じようになってしまわれたのですかにゃあ……
[みんな生きているの?と言うホズミの言葉には]
ホズミさん、皆さん霊さんのようなお姿でこちらにいらっしゃるのですにゃあ。って言ってもわからないでしょうし見えないのでしょうかにゃあ。
[『 ぱしゃり 』
シャッター音を模した効果音を鳴らしてから、]
あ
動画じゃないと 意味ないわね…
[混乱さめやらぬままに呟く。
改めて動画を撮る気にはならず携帯を降ろした]
… 今までのことと
ウミの様子と…関係はあるのかしら
>>+31
にゃあ?通じておりますと???
いやまさか人間さんにウミの言葉が……って、ジェスチャーすらしてないのにどうしてナオさんにウミの言った事が通じておりますのかにゃ?
もしかして本当にホントに?
[ぐるりとその目に見える全ての人間達を見回して、目をぱちくり。]
というか、なんだかイタコというよりは、ウミそのものが、喋ってるような。
[ウミの仕草に、自分の周りを見回してみたり。なにも見えたりはしないんだけれど]
つか、間違いなく喋ってんな……
[ぼーぜんと。
ホズミに喋りかけるウミを見ていた]
にゃあ〜……。
ホズミさんホズミさん。
生きているのかもどーなっているのかもよくわかりません、ただ、そっちのことは見えてるし聞こえていますと、みんな気が付いたらこーなってたって感じです、 …と、ナオさんがおっしゃっておりますにゃあ。
って言ったもののホントにわかるのですかにゃあ?ホントに通じれば皆さんのお伝えしたいことを代弁できてお役に立てるのですけれどにゃあ。
にゃあ。ホズミさんの言うとおり、今までこんな事ありませんでしたにゃあ。
ケンさん、普通人間さんには通じないはずなのですがにゃあ。猫界のじょーしきでかんがえて。
さっき蔵のところでロッカさん見てぞわっとしてびくっとして記憶が途絶えてから、妙なのですにゃあ。
ロッカさんのおかげなのですかにゃあ?ロッカさんを見ると不思議な不思議な感覚を覚えるのですよ。
もしそうならウミはロッカさんにお礼がしたいのですにゃ。普段から人間さんに言葉が通じればなんと便利かと思っておりましたにゃ。何かウミにできる事がありましたらなんなりとですにゃあ。
[どんとこいと胸を張る]
わかるというか、わからん意味がわからん。理屈はさっぱりわからんが。
[ぽり、と頭を掻いて]
もし、ウミが伝えてくれたことが本当のことなら、みんな苦しんだりはしてない、んだな。
[なんとなく、ほっとした、声が出た]
ウミそのものがしゃべってる…
う、うん。
でも、霊の声?姿?がわかるのは元からで
喋れたのがはじめて?
…困ったわね。
どこからどこまでが
今までのことと関係在るのかしら――
もっと――??
ふむむむむ、皆さんがよくわからない中、何かをご存知なのでしょうかにゃ、ロッカさん??
にゃあ!?テレビ局のお方に連れて行かれるのは嫌ですにゃあ〜!来たらウミ黙ってるですにゃ!
[ぶるぶる]
雨がずっと続くのも猫には辛いのですにゃあ〜。なかなか止みませんにゃ。
今までの事と、というか。
[ヘイケの言葉に、うあーと思案しつつ]
まあ、夢なら醒めるまで、突っ走るしかないのかもしれませんね。
負けないように。あなた、仕方がない、抗えないとは思いたくないって言ったでしょう。オレも、そう思うし。
[なんとなく、ヘイケの肩をぽむりとした]
ウミ。
ロッカ、何か言ってるのか?
[聞いてから、一度、かぶりを振る]
いや、みんなは、この騒動が終わる方法、知ってるのか。
[人の男は大まじめに、猫に聞いた]
……そういえば、何だろう。
みんなを、元に戻す方法って……あるのかな。
[ぽつり、と一言]
このままじゃ、あんまりだしね。
出来るものなら、精一杯抵抗したいよ。
違う、そうじゃない。
[首か左右に振られる]
かえるの。
その為の鍵がどこかにあるはずなの。
あるはずなのにわからないの。それが何なのか。それがどこへの道しるべなのかも。
[搾り出したような声で]
あの人?
――お前、誰だ?
[あの人は誰かとホズミが問う。目をすがめた]
かえる? 鍵……道しるべ?
[ふと思い出すのは、蔵にあった古びた箱]
こうなったら片っ端から探してみるか?
帰る、ってどこへ?
……そんな分からないことだらけなのに
どうして帰らないといけないの?
それは――本当に、必要な事?
[余りにも曖昧な話に、自然と問う言葉は多くなる]
突っ走る、…そうね。
流されるのとどう違うのか、わからないけれど。
[ぽむりされるといたまれなくもなるが、
フユキのその手を軽く摩ってうなずいた]
…
私にも、わかることはあるのよ。
「何のせい」かは言えなくとも、
「誰のせい」か、くらいだったら。
[首を振ると声は元に戻り]
……ロッカさんロッカさん。
ウミがそちらに行ったら、皆さんがそちらに行ったら、ウミも皆さんもきっと冷たくなると思いますよ。
ロッカさんは寒いのですかにゃ。
ずーっとお一人で苦しんでおりましたのかにゃあ?
そういえば、どなたかがどこかと頭の中に聞こえたような気がしたのですが、
もしかして お一人ではない のでしょうかにゃあ?
帰りたいのですか?
フユキさんが片っ端から探してみるかとおっしゃってくださっておりますよ。
探しに行きませんかにゃ?
[かえることが必要なのか、そう問うホズミと]
……?
[ヘイケの肩に置いたままの手、撫でられて。頷くのが見えれば、同じように頷き返して]
……え?
[唐突に、ころりと。何かが転がり出てきたように。瞬きして、ヘイケの顔を見直す]
ロッカさん、皆さんを元に戻す方法、何かご存知でありませんかにゃあ?
……お答えはいただけませんにゃあ……。
ロッカさんの帰り道もわかるといいのですが―――――
わかるって、なんで……
[今まで黙っていたのか、とも。
なんでわかるのか、とも。
けれど猫がこうして喋っている現実があって、今更問うのも、意味がない気がした]
――ウミ。
その、「何かを探している人」に、見つかるまでつきあうって、伝えてくれるか。
[誰だかも知らない、誰かに向かって。先ず、言って]
…かえってしまうと 寂しい
そう言ってくれるコは、
ロッカの周りにいないのかしら?
[そう言って ウミへ手を伸ばす。
ねこの顎下を人差し指でいつものように擽る]
そうだね
探しに行ってみよう …鍵
[ふらり]
わかんないの。
わかったと思ったのに、何もわかんないの。
みんなみんな泡になっちゃえばいいのに。
みんな消えてしまえばいいのに。
[許容量オーバー。ぱたり倒れる最後一瞬聞こえたのはロッカの語調で*]
泡……か。
[くたりとするウミは、あれだけ喋っていたのが嘘のよう。
最後に伝えた言葉は、ロッカの口調。
記憶の中の声で、再生されて聞こえた]
まるで――
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