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[店の奥から、不意に怒鳴り声]
こらァ バク !
[厨房から顔を出すのは、この店の雇われ料理人]
勝手に漁ンな っていつも言ってんでしょ! !!
其処らじゅう ベタベタ触ってたら
うちのオーナーが…
[云いながら、小姐は大股で店内へ歩み来る。
眦の切れ上がった双眸は、バクを軽く睨んで。
それから、
オーナーと呼んだ相手――ンガムラを見遣る。
さしたる混雑もなかったランチタイム後の、小休止。
小姐の両手にはひとつずつ、熱々の小さな*蒸籠*]
[小姐はレンゲに小籠包をのせて、
あつあつの肉汁をちゅっと啜る。]
、、 、…
んん 〜〜〜 っ
[口の中をヤケドしそうな其れを飲み込むと
眦の切れ上がった双眸は満足気に閉じる。]
おいしいっ。
心配しなさんなって、バク坊。
お供えものはとびっきりのを作ったげる!
…これ食べたらねっ?
[思いっきり客を後回しにした。]
[バクの悪態をよそに、健啖ぶりを発揮して――]
[やがて、ほうと吐息ひとつ]
…
オーナー、知らないの?
[ふと静まり返った瞬間に、ぽつり]
[眦の切れ上がった双眸が、くりくりと動く。]
ネギヤさん いなくなっちゃったんですよ?
みんな知ってるのに
誰も 何も 言わないんですよ
[小姐の唇は微笑むかたち。
指先が一度、喉から下へ辿る。]
… 腑に 落ちない。
[声は微か 言葉通りに*震えた*。]
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