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穢れていないのに禊は必要なし
これは私が取り込んでしまった鳥の代わりにする功徳。
[斧はか細い肩の骨を切り砕く
男はゆっくり座るように跪いた]
私が死んだら、誰が魂を天に還す、肉を大地に還す。
貴様は、それを分かって、殺すか。
[自分の死を前にしても腑に落ちない表情]
なぜ、殺すか。
食いもしないのに殺すか。
意味もなく殺すのは、お前もアレか。
[曲解した言葉に、己を奮い立たせるように、釣り糸を伸ばすが、そのまま力尽きたように倒れた
瞳は信じられないと言わんばかりに見開いて]
おや?
[次にその視界に映るのは、
斧が一閃、僧の肩にくい込む場面。
そこから、きらめくように血が吹き出す。]
―…慣れていらっしゃる。
[人を殺める行為に、躊躇いが見えぬ者へ、それまでとは違う声色で、目を細めた。]
[ゆっくりと倒れ伏す僧侶を少し離れた場所から見ていた。]
…助勢はいらなかったな。
[手馴れている…知らず気狂い男と同じ感想が浮かび、傍に近づくのは躊躇われ、足は止まった。]
[反撃や逃亡を織り込んだ斬撃は、
失血に長く長く痛苦の微睡みを伴う致命傷。
無い指の付根が蠢くのを見詰め、]
…… 生き肝をくれ。
[誰の声にも応えることなく
エリッキへ"助勢"を*頼んだ*]
[ポケットの中、長い指はそぎ落としたばかりの耳朶の曲線をゆっくりとなぞりあげる]
――その人ならざるもの、も、
喰らえば力を己が身に取り込めるかね?
ああ、……興味があるな。
[振り返る、霧のように細やかに飛沫く赤。
細められた男の目に滲む熱は欲の色]
[血しぶきをあげる僧は、そのうちにどぅっと倒れる。]
ああ、海の肉、そして、ここにも新鮮な肉。
一つは酒につけておきたいものですな。
[そうつぶやきながらも、斧の男がエリッキたる男にかける声に首を傾げ…。]
なぜ、足元へ噴き溜まるのだろうかね。
使命に、信仰に、妄執に…
[僧でありたかった男が死にゆく過程は、
鮮血の滲みる砂のように重く、無限で。]
…陸に在っても、
こうして溺れてしまうというのに。
何も 還す気もないというのに。
[魂は天に、肉は地に。
鳥喰い男が抱いていた信仰に、ひとの意をみる。]
行き場なく、
追い詰められたさいはてだと嘆き俯くのに。
[倒れる男、事切れようとする命。
ぞくりと背筋を走るものと湧き上がる焦燥。
一瞬の後、我に返る]
そういえば、何故、殺しているのかね。
よもやここでまで、職務に忠実であるというわけでもあるまい。
[ずず、と引き摺る重石に手を触れた。はらりと白い甲殻類が剥がれ落ちその下、
錆びた金属の色を覗かせる]
[笑いかけてくる気狂いに、
よくも笑うと学者は薄く眉根を寄せる。
じくりと残る痛みと、もうひとつ。
問うに根拠は何もない]
アレを呼んだのは――、君か?
[呪わしき水底の、絶望。
絶たれるべき望みなどここには何もないのに*]
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