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[部屋に忍び込んで一望する。
抱えあげたのは、先ほど布団へ潜ったばかりのエビコだった。
管理棟を抜け出すと、一番近い桜の木へ向かった]
はぁ……。
[エビコを抱えたまま、満開の桜を見上げる。女が身じろいだ]
寒さも間もなくなくなります。
[声をかけると、息が真っ白に現れ視界が霞む。
さく、と足音が聞こえて振り返ると]
乃木さん?
[そこに立っていたのは、鉈を手にした男だった]
放って置いて下さい。どうか。
[その声は、乃木に届いたのかどうなのか。
桜が揺れ、花びらが舞い散った。
風が遠吠えを模すように吹き荒れる]
[しばらく肩で息をしていたが、水を汲んでうがいをした]
けほ、けほ……。
[声を押し殺し、ぐっと目をつぶる]
[落ち着きを取り戻すと、再び管理棟へ戻り毛布に包まる。
ポケットから取り出したサイコロ型の物体は、昨日と同じ花が一輪*増えていた*]
[居間の隅で、ぼんやりと目を開く。
違和感を覚え見やった右手の甲には、昨晩負ったと思しき切り傷があって顔を歪めた]
ああ……。
[利き手にこんな傷を負うシチュエーションなどあるのだろうか?
考えるが、体が酷く疲れていて、思考がままならない]
[身支度をして、スケッチブックを抱え外に出る。
この世界を、描き留めておこうと思った]
狂い咲き……。
[季節はずれの桜は、男の心をざわつかせる]
This is not the end.
It is not even the beginning of the end.
But it is, perhaps, the end of the beginning.
[呪文のように呟いた]
ホズミさん、どうしました?
[赤黒い服と、手には鉈。
男は、ホズミの姿に目を丸くする]
[丘に駆けつけ見つけたのは、転がる死体二つ。
その腕に刻まれた文字列を見て、ため息を零す]
まだ足りないんですか?
[ホズミの元に戻ると、手にしている鉈を離させる。
衣服についた血の色を見て]
今の血ではありませんね。
エビコさんと、乃木さんが――。
[冬樹にそう答え、丘の上を示す。
現場保存は、乃木亡き今は意味がないように思えたので、抱えあげようとする冬樹を止めることはしなかった]
何か誤解をしていませんか?
[ホズミの表情を見て、困り顔で笑う]
[破いたスケッチブックの一枚で鉈を包み、腰の部分に差し込む。
どうにかホズミを抱えあげ、管理棟へ向かい始める。
ゆるやかに風が吹き花びらが散る中、男は歌を口ずさんでいた]
どこかに閉じ込めて置いた方がよかったのでしょうか。
[管理棟の入口で思い立ったが、乾いた笑いを零してその考えを否定する]
ナオさんかロッカさん起きてませんか?
[二人の姿が見えなければ、囲炉裏端にホズミを寝かせ、彼女の腕についている血を濡れタオルで拭くのだろう]
[例えばこの場で鉈を振り回せば、人々は慌てふためくだろう。
けれど、あの人が望むのはそのような恐怖ではないことを男は知っている]
騒ぐのなら、その時は。
[言い聞かせるように、ホズミの額に一瞬触れた]
[男は外へ出ると、井戸に鉈を放り込む。
水に沈み込む音を確認して、借家へと*姿を消した*]
[ロッカの心中を測りかねて]
そうですか。
「一つめのたましい
くるいさくはたましい
よみにささげてはしを」
腕に、傷がありました。それぞれ。
[乃木の隣にスグルを寝かせる。その腕には傷が見当たらない]
管理人さん、エビコさん、乃木さん、です。
[跪くと昨晩と同じ様に十字を切った]
無差別殺人犯か、そうでなければ――
伝承の化物が襲い掛かったのかもしれないです。
道が通じるまで、ここにこうして置く他ありません。
[ロッカに手を伸ばしたが、すぐに引っ込めた]
[利用者帳を覗きこむが、全ての名と顔を一致させることが出来なかった]
誰かが、書いたのでは?
[バツがついた名を確認すると、ぴくりと顔を引き攣らせる]
いいえ、もう慣れてしまいました。
むしろ私は――。
[色はじわりと広がって、光を描こうとする]
解き放たれたいと思っているのかもしれません。
この村で、一番うつくしいと思った景色を。
本当はキャンバスに描きたいのですが、あまり時間もありません。
[紙面から顔を上げ、冬樹に微笑んだ]
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