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[時計は二十時を指し、夢のような時間は、終わる。
「また、会おうね」。
互いに交わす言葉は、未来を約束する意味を含んで。
音と成り「イヴの時間」を包み込む。]
――…また、会えるよ。僕等を含めた、イヴの時間を愛する…みんなで。ね?
[消える店内の灯りと、電光掲示板の文字。ひととアンドロイドを区別しない空間を、一歩出ると始まる普通の生活に。
振る舞う仕草は人形芝居。]
だけともう、嘘を吐くのはお終いにしよう。
僕とハツネは、アンドロイドを超えた、カラクリ人形や操り人形ではない。普通の人間。
だからさ…
[倫理委員会が構える建物内へ入ると、セイジは役員室へと足を向け]
――…もう、個人的な逆恨みは止めよう? 父さん。
人型を愛する気持ちは、僕等が一番よく…
解って居るじゃないか。
[人形を生み出さなくなった職人の手を、ギュッと握った。]
僕は、ドリ教を良いとは言わない。
だけど、倫理委員会やり方が正しいとも言えない。
どちらも他人の踏み込めない領域に入り、自由を侵したら暴力的でしかないから。
だから――…、今回は倫理委員会を裏切るような行為をした。
[ふっと溜め息を吐き、周りの役員たちを眺めて]
罰なら受けるよ?
その覚悟は出来てる。
ただ――、
それなら勝手にひとを攫った倫理委員会の行為も。罰せられるべきだと思うんだ。
[ポルテへ渡した書類を思い、柔く*微笑んだ*]
[倫理委員会施設内、喫茶店で顔を合わせていた彼とすれ違う。
仕事はきちんとこなし、内部評価も良かったと聞く。
委員会へ従順な思考の持ち主に、自分達の行った行為は。
どのように映ったのだろうか。]
こんにちは。
[抱いた興味は、ギンスイをある場所へと誘う。]
今日、もし時間があるのなら。
「イヴの時間」へ行かないかな?*
恨む? 憎む?
[廊下ですれ違うギンスイの、赤い視線を受けるも涼しい顔で尋ねる。]
――でも、それは何故?
[倫理委員会への所属は、あくまでも任意。
強制的でも命を捧げ、死ぬまで尽くさなければならない場所でもない筈。
――居場所が此処しかないと云うなら別だろうが、少なくてもセイジからは、ギンスイはキチンと別な場所を持つひとに思えた。]
何をしに?
[尋ね返されると、困った視線を向けて]
喫茶店に行くのに、理由は必要なの?
今日ならハツネも行けるし、もし君も時間が空いているならと、
[緩い、夕日色の溜め息を吐く]
思ったんだけど。
グレーゾーンを潰して。
それで君は、果たして満足感を得られたのかな?
得られたのなら、いったいどんな…満足感だろうね?
[ぼんやりと宙を眺める。
ギンスイの心の思いを、少しでも解ろうとするように。
足早に立ち去る後ろ姿を見つめて。]
あぁ、ハツネ?
うん、これから「イヴの時間」に行こうと思うんだけど。大丈夫だよね?
[手のひらの携帯端末に話しかける。
声は、辺りに響き。少しだけ賑やかに跳ね返る。どこか春のような暖かさと優しさを含んで。]
うん、ギンスイくん…も誘ったよ。きっとナオさんも居るだろうし、翻訳家のお姉さんや、髭のおじさん、それにバクくんやオトハさん、面白いお姉さんやサングラスのひとや、マスターも。
きっと集まると思うよ。だってそこは特別な場所。
*「イヴの時間」だから*
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