情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了
―蛍川―
えへ、ちょっと写真屋さんへ行くところなの。
あなたは……
[尋ね返そうとした時、]
――きゃっ!
[勢いよく駈け過ぎて行った何者かに突きとばされ、
よこざまに転んでしまう。]
[走り去っていくものを指さし、
駆け寄ってきたプレーチェを見上げて口を開閉し。
ようやく声を発する。]
み、みた、今の?
狐の頭で、人間の体をしてた〜っ
なにあれ、ニンゲン?
お狐さま?
宇宙人?
[混乱のままに言葉は矢継ぎばやだ。]
――大丈夫?
顔色、よくないみたいだけど。
[立ちあがり、落ち着くと、
プレーチェの様子が変化したように感じた。]
そ、そう……
[普通じゃない倒れ方という言葉に、
遅れて頷いて]
誰かが、神隠しに…?
あなた……どうして……?
[りいん――と、どこかで鳴る。]
……え?
[顔をあげ、宙へ視線を彷徨わせ、
目の前の少女へと据えてから、首をひねる。]
え〜…伝えてって?
え〜…どうすればいいんだろ〜。
[小さくなっていく後ろ姿を眺めながら、
およそ危機感の欠片もない、いつもながらの声、
それも先程のプレーチェの眼差しを思いだせば僅かに揺れた。]
―写真屋・ペケレ―
写真屋さーん。
…。
あらぁ…留守かしら。
[薄暗い店内。
ごめんくださいと、何度か声を張り上げたのち諦めた。]
………ん〜。
[未練がましく小さく息を零す。]
―グリタの家―
おーい、グリちゃ…永嶋さーん!
お見舞いアイスもってきたわよぉ〜。
[36個と56個のアイスを小脇に抱え、空いた片手でドアベルを鳴らす。
留守にしているのか、グリタの家族も現れない。]
うわ〜ん、どこいっちゃったのよぉ。
結城先生のとこかしら。
[非常に困った。]
アイス溶けちゃう〜〜!!
―村道―
[駐在官と立ち話。]
あ、駐在さん、こんにちは。
……そう、
ネギヤさん、まだ見つからないんですかぁ。
[悦子とグリタ、依真里の行方不明も聞き知った。]
え〜〜?
ネギヤさんはニュータウン化推進派だった。
…多数派に乗っただけとはいえ、写真屋さんも同じ……だからこの二人だけならまだわかる。
[この点のグリタの思想は知らない。]
けど。
ニュータウン化を止めるために推進派が攫われてる、
それなら……依真里ちゃんなんて、全然関係なさそうなのに〜……
―村道―
それにしても……
あの子の言ったこと、現実になっちゃったのかしらねえ。
[まるで見通していたかのようなプレーチェの言葉を思い返した。]
――っと、
あ、安子ちゃん……?
[何を急いでいたんだろうと、少し疑問が表情にでたが。]
[駐在は挨拶をのこし、ゆっくりと離れて行った。]
むさべつ…?
無差別にさらって…どうするのかしら。
目的がみえないわ。
……祟りだとしても、それは同じこと……
[ひとつ頭を振る。]
[人質、という言葉に、一瞬口をつぐむ。
切られた言葉の先は…想像したくもない。]
そうね。
イマリちゃんは…女の子で。心配よね。
……心配よね。
[安子の顔をみれば、しらず繰り返してしまった。
気休めの言葉などは浮かばない。]
どうしたら…皆、戻ってくるんだろう。
ほんとうに、かみかくしなら……手の出しようが……
[手の出しようはないのだろうか。]
うん、とっても不思議な子だった。とても透明で、澄んだ……
そうね、探してみようかしら。きっとこの村のどこかにはいるはず。
[そして近くの人影に気付き]
……あ、ミドリちゃんじゃない。やっほー。
そうそう、外人さんっぽい子。もしかして知り合い?
[屈託なく、少年にそう返した。]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了