[1] 絞り込み / 発言欄へ
[一年前に開いた道は]
[一陣の風と共に、男を一人、『あちら』へ招く]
……今年も見事な狐雲。
さぁさ、今年は誰をお招きしようかしら。
[ちりん]
[愉しげな哂い声に重なる]
[鈴の音]
大妖――オババ――は嘘つかない。
ははっ、ほんとだ、今年まで遊んでいられたからなあ。
[ちりん、と同じ雲が出ていた去年にも聞いた音]
[あの時のように感覚で響く声]
[思い出すのは去年のあの響きでの話]
[後ろ手には狐の面]
[子供の一年は長い]
[何かの一年は短い]
いい雲だなあ。
今年も招いて、
そしたら来年までまた遊べるなあ
[隠された真実を理解するにはまだ幼く]
[あと数年は必要なのだろう]
[ひひっ、と悪戯っぽく笑う子供の声]
さあて、通すのは誰にすっかなあ。
『だれにしようかな、きつねぐものいうとおり』っと
[それは神頼みで選ぶときの童歌の旋律]
言った通りでしょう?
[嘘つかない]
[届いた声に、くすりと哂う]
今年も送れば、また来年まで遊べるわ。
[そうして送る先その先に]
[何があるかは、口にせず]
でも、気を付けて。
送る心算が送られる、そんな事もあるかも知れない。
[代わりに伝える小さな危険]
[気を付けて、と声音は刹那、真摯なものに]
開いた道であっちに送るはずが
あっちに送り返される事もあるかもしれないのかい?
[気を付けてとの声色の中に]
[ちりん、という音が響きが溶けるような気がして]
それはやだな。もっとこっちで遊んでたいなあ。まだ遊び足りないよ。
[顔を覆うはあの狐の面]
[幼き者はまだまだ遊びたい]
ええ、そうよぉ。
[遊び足りぬ、と告げる子に、返す声音は諭すよう]
もっと、こちらで遊んでいたいのなら、見つからないように気を付けて。
……とはいえ、『味方』もいるようだけれど。
[犬を連れた青年の真意は知れぬ]
[けれど、彼は己らを阻む者ではない]
[そんな風に思えるから]
…………ポチをいじめたりしないようにねぇ?
[遠回りに告げるのは、青年ではなく犬の名前]
[1] 絞り込み / 発言欄へ