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……ふふ、奇遇です。
私も、迷子のよう。
[たしゃ、と浅い川面を踏む。波紋が、何処までも広がっていくのを眺めた]
一体此処は、どこなのやら。
向こう岸は、どうなっているのやら。
ススムさん。迷子に慣れているところで、こんな時はどうすればいいのか、アドバイスしてくださいませんか?
[冗談めかして、くすりと笑う]
ふふ、ごめんなさい。
好きでしているわけでは、ないわよね。
[口をとがらせるバクに、わずかに申し訳なさそうな苦笑を見せるが]
手、を。
[差し出される右手。思案げに、視線は宙をさまよい、そこに戻る]
どうだったかしら。
[一歩、川面を踏んで。
バクが炎の向こうにあるように揺らめいた気がした]
あの時、こう。
[バクの右手に、手を、伸ばす]
……あ。
[手を引かれる。よろけて素足が曼珠沙華の咲く地面を踏んだ]
いつ。
だれ。
[真っ直ぐな眼差しを受け止めて、一度、瞬きする]
……。
これは、違う。
[握った手の感触を確かめるように、一度、強く握って。
漂わせる視線は、川の向こう岸を振り返る]
ススムさんは、こうして。
[手をひっくり返すと、今度は自分の手の上に、ススムの右手が乗る格好]
誰かの手を取ったのですか。
[繋がる手を、ゆるりと上下に振る]
[自分の掌の上で動くバクの手がくすぐったくて、少し笑う]
何で、謝るの。私もわからなかった。
[頭を下げるバクの顔を覗き込むように、少し屈んで]
じゃあ、まあ、それはそれで置いておきましょう。
手を取った方が私たちにとっての正解なのかそうではないのか。わからないわけですし、ね。
[笑い声が、降って来る。
俯いたまま、首を左右に振った]
ウサギは、手を取るなって言っていたんだ。
正解でないなら、もしかしたら、ウサギの言う通りだったのかもしれない。
ウサギさんが正しいかどうか、か。
[俯いたままのバクの頭、一度躊躇ったが、繋いでいない反対の手で、そっと触れると撫でて]
ススムさん。
どこか行きたいところはありませんか。此処がどこかもわかりませんし、行きたいところに繋がっているかもわかりませんが。
[風が吹くと、曼珠沙華たちがざあと揺れた。ゆらりはためいた浴衣の裾から、色鮮やかな蜻蛉が一匹宙に飛び出して]
ほら、案内してくれそうですよ。
[撫でられる感覚と、色鮮やかな揺れる地面、様々なものに瞬いてから顔を上げた]
海で、花火をするって約束をしてたんだ。
ばあちゃんと。
[言って、指先はマシロの浴衣の裾を掴む]
花火、いいですね。
[浴衣を掴む様子、今度は、笑わない。気合いを入れるように片腕でガッツポーズして]
よし、『ススムさんのおばあさん』を目指しましょう。きっと会えますよ。
[うん、と頷いて歩き出す。蜻蛉は先導するように飛んでいく]
きっと、会えます。約束したんだから。
[マシロのガッツポーズに、顔をほころばせた]
約束を、破ったのは俺なんだ。
[それ以上説明することはなく、蜻蛉の後を追いかける*]
マシロ姉は、誰か会いたい人はいるのか?
どこか、いきたい所は?
約束破ったこと、後悔してますか。
[浮かべるのは、ほろ苦い笑み]
私も、あります。もう二度と、約束出来ないことも。
[バクの問いに、んーと思案げにして]
そうですね、それなら、姉さんに、かな。
それともうひとり、会って、言ってあげたいことがあるような……
[振り返ると。あの日、陽炎の向こうに立つ人が見えた気がした]
例えば。
[そんな呟きを漏らしたのはいつだったろう。
足下では曼珠沙華が揺れて。
視界の先には極楽蜻蛉が飛んでいる。
左手はバクの右手と繋がって。
ふと、本を持っていないことに気が付いた]
放っておいたままではいられないような後悔を。
[例えば。
もうこの世には居ない姉に告げなければ行けなかった言葉を]
今、昇華することができるなら。
[告げることができるなら]
それはあながち、「間違っていること」ではないかもしれません。
いずれにしてもそれなりに、代価を払う必要があるのでしょうが。
[それが話の落ちかもしれない。
岩場に置いてきてしまった本を、思う]
いずれにしてもこの場所で、ススムさんのおばあさんに会ったなら。
どうしてきたと怒られそうですね。
[ちゃんと迎え火焚かんと! と口うるさく言う姿を思い浮かべてくすりと笑う]
『ちゃんと迎え火焚かんと!』かあ。
[それはもしかすると、自分の祖母か、あるいは姉の、言葉だったかもしれない。
前を飛ぶ極楽蜻蛉が、羽根を休める。
気が付けば、見慣れた通りに、おがらと、お皿。
ぱち、と瞬きをしてから。
どうする? とバクを見る。ほんのりと口元に*笑みを点して*]
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