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―テントの前―
[――さくり。
踏んだ雪が立てた音は、状況の重さと相反するように重い。
息を吐く。虚空に放たれたそれは、刹那しろく凍った後に霧散した]
[どこに行くまでも無い。
その場に立ち、腕を組んで瞳を閉じる。
人間の肉は――特に己の肉は強靭では無いから、ずっとここに居る訳にはいかないのだけれど。
今は、静かにそうして居たかった]
……時間が無い、か。
[耳の底に響くのは、紛れも無い狼達の遠吠え――**]
― テントへ向かう途中 ―
[紅いオーロラの舞う夜空の下、一人の男が歩いていた。この状況では不相応とも言えるかもしれない、真紅のコートの裾が揺れる。線が細い長身の男は、ゆらゆらと、風に吹かれる旗のように、一見おぼつかないような、独特の歩き方をしていて]
……。
[前方に見えてくる一つのテントに、下がりがちな眉を、更に下げた。村と他の村とでの、また村の中での各種伝達を任とする男は、今回の異変にあたって挙げられた容疑者達に、呼び出しの件を伝えてきたところだった。
とはいえ、伝達を聞かずに向かった者もいたかもしれないが]
……嗚呼。
[――男自身もまた、容疑者の一人だった]
紅いオーロラ。紅いオーロラ、だ。
不吉な。凶兆は現れたり。
狼の群れに囲まれて。嗚呼。
これが目論まれたものであると言うのならば。
[芝居のようでも、詩のようでもある呟き。
共に吐かれた息が白く昇り、消え]
長老は仰った。
集まれ、探せ、でなければ。
でなければ……
悲しきかな。
終焉は。猶予もなく、耳元へ。……
粛正は望まれるだろう。
いわんや、談合をや。
……行かなければ。
[遠く聞こえる狼の遠吠え。テントまでは、もう少しばかりある。ゆらりと、*向かっていき*]
―テントの中―
[天空に揺れる赤い光。不気味な狼の遠吠え。
テントへと向かう途中で目にし、耳にしたそれに僅かに眸を細め。
今はテントの中、供犠の娘が静かに長老の側に座っているのを見ながら、テントの出入り口近く、長老から離れた場所に腰を下ろし、じゃらり、と飾りのついた杖を抱え込んでいる。]
――…
[静かなテントの中で息苦しさを感じるように僅かに吐息をこぼし、さて後どれだけ容疑者が集められることやら、と視線はテントの出入り口へと向かった**]
―「家」の内―
[男が伸ばした手で冷たい家具に触れた時
足元に柔らかい毛の温もりが絡まった。
分厚い包帯に遮られた視線を向けてから、
腰を屈めそちらへと手を伸ばす。
ぽふり、と、触れた高い体温は、
トナカイ橇と共に進む犬橇用の犬の生まれたばかりの子。
ぱたぱたと振られる尾の音は、
雪に音を奪われた場では耳に届く。
擦り寄る頭をそっと撫でてやった時、
外から聞こえたのはアルマウェルの足音だった。]
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