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[ちゃぽん。
水の跳ねる音に踏み出すのを一度ためらう]
…?
[振り返ろうとした瞬間、がくりと足元が支えを失う]
え、えええ!?
[ぎゅっと目をつぶって。瞼越しに届く光は赤色]
浮いてる?
[言葉に足元に視線を落とす]
……やだ、なにこれ。
なにかって言われても…。
タカハル君の知ってること教えてよ。
なんなのよ、これ。
ここ、どこ。わたしたち、どうしたの…っ。
[言葉をぶつけたところで、静かで冷静な声が間に入る]
えと、確か冬木さん…。
あなたもここに。
[落ち着いたその声に、引き戻されるように冷静さを取り戻す。すぅと息を吸うと幾分頭の中がすっきりした気がする]
あと、なんでタカハルくんは何か、知ってるの?
[立ち上ってしわになったスカートを伸ばす。確かに浮いた10センチが妙に気持ち悪かった]
…足は生えたままね。
[念のため確認]
え、ルリちゃんもここに!?
[不意に聞こえてきた声にはじかれたように振りむく。幼い少女が駆け寄ってきて、目の前で忽然と姿を消した]
…あ、れ?
[僅かに見上げて、タカハルに表情だけで問う]
私たちが見える?
あ、冬木さん何処に行くんですか。
そっちに何があるんですか。
もー。わけわかんないー。
おなかすいたー。
[頭を抱え込むと、不意に視界がぶれる。何もない、と思っていた冬木の向かう先に、いつもの喫茶店が出現する。そこはかとなく透けている気はしたが]
よし、わたしも行ってみよ。
[冬木のあとを追いかけた]
…飛行機?………鳥…魚?
[喫茶店の扉に手をかけて、開こうとしたところで空の影に気がつく。夏の太陽にフィルターをかけたような不思議な空。むせ返るような暑さも、ここにはない]
魚、が空飛ぶわけないか。
[あは、と空笑って扉を開いた]
…マスター、どんぶりカキ氷…って聞こえないのか。
[店に入ってきたことにすら気がつかない様子に肩を落とす]
んもー、調子狂うなぁ!
[がしがしと頭をかいて、飛び跳ねた髪が鏡に映ると慌てて直す。冬木が奥に座ったのにならって、向かいの席に腰掛ける]
浮いてない、よね。
[イスと自分の隙間を確認して。浮いているのは立っているときだけらしい。まるで猫型ロボット…とか思いながら、小さなため息を*吐いた*]
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