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― 古びた吊り橋前 ―
[もぐもぐもぐ]
雷神さまに怒られるーか。
[栗饅頭を食べながら、吊り橋の奥に視線をやる]
まあ、濡れて滑って落っこちるな、って訳だろうけど。
[橋の手前で立ち止まったまま]
……。
[橋の入り口脇においなりさんがぽつん]
雨、早く止ましてください。
[手に持っていた栗饅頭(食べかけ)をお供えすると、ぱむぱむと手を合わせ。
供えた食べかけ饅頭じっと見つめた後]
……。
[ポケットから新しい饅頭を取り出した]
ぐわっ 巨大テルテルボウズグマに襲われ……ってなんだロッカか。
[やや棒読みの悲鳴を上げて眼鏡をかけ直し、まじまじと見ればなじみの顔だった]
いや、渡らんし。栗拾いには行きたいが、この歳で度胸試しもないしな。
んんー?
[ロッカの視線に気が付いて、自分も栗饅頭持った手を、見る。試しに、饅頭を右にやったり左にやったり]
[結局、栗饅頭は半分に割って]
ほれ。
[どっちが大きいかじーっと見比べてから、片方をロッカの開いた口に。
もう片方は自分で食べながら]
もぐ。おまえ、ここ渡るんか?
[半分棒読みで聞いた]
[眼鏡越しにロッカの咀嚼を見ていると、なんとなくティンパニのリズムに重なる気がした]
……お疲れ。
[自分の顎をさすりつつ。
猫じゃらしで出来た冠のもしゃもしゃ具合に瞬き]
あー 雨、止むと良いな。
テレビ局の連中が、調子にのって渡りかねないし。
狐も猫と似てるから猫じゃらし喜ぶだろ。
そうだなあ……渡って落ちたら笑い事じゃ済まないしなあ。それこそテレビ沙汰だしな。
[顎を撫でつつ吊り橋の方を見て、目をすがめた]
人魚異譚……あー あれか。
うん、白い貝殻で不老長寿とか……なかなか落としどころが悩ましいが。
[ぽりぽりと頭を掻いた]
んー ああ、そだな。いいな。
栗ご飯。
[ひんやりとした指先の感触に、ぺしぺしとロッカの頭を撫でつつ]
おおお? すまん。
そのとき枯れた柿の木に黄金の実がなったとかでもいけると思うんだが。モンブランのてっぺんから栗の実がぽろりとか。
おう、できあがったら、な。
[どんな本だ]
― 茶屋への道 ―
[眼鏡をかけ直す前に、ロッカが名前を呼んだ。少女の名]
いや、三つ編みは[学生 ナオ]の方が上手だと思うが……
[そっぽうを向いて独り言]
モンブランはオレんちの冷蔵庫に……
[アンの呟きは、理解する前に雷鳴にかき消された]
今なんて……や、ちょっと待て。本気で危ないぞ。
言い伝えとか荒治療とかそれ抜きで。
[駆け出すロッカがマッハのスピードなら追いつくはずもないんだが、二人を追いかけた]
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