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[部屋に誰かが入ってきた様子だけれど、自分の居る世界と、その誰かの居る世界は、完全に隔たれていて]
……届かない。
[伸ばした手と、その人との距離は、永遠]
[暫くしてから、また部屋を出た。ひとまず広間の方へと向かいながら]
……今日もいい天気だなぁ。
[途中、入り口の方を振り向いては、差し込む温い外の気配に呟いた]
[ポルテに触れられなかった手を、じっと見つめて]
誰が、こんなことを……って。
それは、多分、ヒトならざるもの。
[自分を引き裂いたあの人は、確かに人間ではなかった……と、記憶を辿るけれど。死の直前の記憶は曖昧模糊として]
オレ、寝てたんだよな。そういえばさ。
[その瞬間の恐怖を免れたことは、ほんの少しの幸いだったのかもしれなかった]
ん?
[ふと、どこからか、声が聞こえた。助けを求める声]
どこ?誰?
[振り向くと、ぐにゃりと景色がゆがんで、いつの間にか別の部屋にいた]
窯……だ。この中から?
[貯蔵庫を抜け、その先に足を踏み入れる。
祭壇に腰掛けながら、神の像を見上げた]
……カミサマ、
僕は、貴方が嫌いです。
[ひっそりとした空間で、一人呟く]
と、おや。
[そのうちに見えたポルテの姿に、足を止める。僅かに首を傾けるようにし]
おはよう。
また、「何か」あったのかい?
顔色が悪いようだけど。
[窺うような言葉を、しかし特別感情が篭っているわけでもない声で]
>>32
大したことじゃないのかもしれません。
[窺うような視線をゼンジに向ける]
ヒトが死んだだけです。
[表情が歪む。
ゆっくりとだがまっすぐ向かうのは、フユキが居るはずの地下。
窯神様の元]
そう。
また、食べられたのかな?
[空間に仄か漂うのは血の臭い。確認する言葉は単なる日常のよう。歪むポルテの表情に、寸時、目を細め]
それとも……
とりこまれた?
それか、両方かなぁ。
[独りごちるように言いながら、少し遅れて己も地下の方へと向かう]
私たちとは神の失敗作に過ぎないのか、それとも神こそ私たちの失敗作に過ぎないのか。
[ふ、と狼煙のような細い煙を吐く]
今更、与えられたくもない答えですが。
ハハッ、面白い事を言うんですね。
[震える声すら、愉しいとでも言うかのような]
自らを捨てた神を崇めるような信心深さは、僕にはありませんよ。
君が死んでるんだったら、わたしは幽霊が見えてる事になるねー。
わたしはそういう力は持っていなかったはずだけど。
[呟くようなポルテの声に、この場には不釣合いかもしれない調子で反応を返し。
首を傾げるフユキが見えれば、ひらひらと手を振って]
[ゼンジならば、居ても差し支えは無いだろうと判断し、祭壇を降りる。
ポルテの尋ねに頷いて]
まだ、生きていらっしゃいますよ。
アンさんや、バク君とは違って。
何故こんなことになったの?
ここへ何をしに来たの?
[フユキの、『捨てた』という言葉に一度口を閉じる]
どんな風に?
[変えられるはずもない、過去の分岐点を遡ってゆく]
生きてるなら、何で死んだヒトの声が聞こえるの。
[死者の悲しみに感応して、胸が詰まった。
彼らの分まで背負うかのように苦しくて、思考が麻痺している]
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