情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
[顔を、そして身体を焼く灼熱のコールタール。
かろうじて悲鳴を上げるのは堪えたけれども、その後の記憶はなかった。
誰かに、何かを問われたような気がするけれど、それは定かではなく。
白い靄の向こうに見える、微かな記憶]
[自らの放つ明かりで、異能者の動作がぼんやりと見える。
この距離でも彼の聴覚では気付かれるらしい]
暗闇はこっちの不利か――。
[舌を打ちつつ、放たれた矢の着弾を見る間もなく翼を上方に伸ばす。
限りなく抵抗を少なくし、翼で空気を切るように落下して弓状の槍を回避に入る]
[ドスリ、と地面に槍を突き刺す。]
[振り向けば迫り来る螺旋の矢。
黄金の光を周囲に放ち、流星の様に墜つる。]
[その残酷な程に美しい光こそ見えはしないが、
槍のもう片方先端近くを掴み、逆袈裟懸けをもって、矢を切り裂こうとした。]
[地面から槍が抜け、砂が周囲に弧を描く。]
光の圧、
[灼熱を受け止めるような光のエネルギーと衝撃。
弾かれた光と矢が、周囲に飛び散る。
逡巡は赦されず。
酒瓶を放り出し、両手をそれぞれ長い柄にあたる部分へ添えながら、腰を落とす。]
[相手は槍を持って矢を迎撃する。
その軌道や眩い光に惑わされる相手ではない。
気付かれた以上急所は外れただろう]
――ちっ!
[相手の行動を読み違え、下降していたのが仇となった。
槍の届く範囲ではないものの、飛ばされた砂が周囲の風と入り混じる。
咄嗟に翼を大きく振るい上昇に転じるが、それは更に砂を巻き上げる結果となり]
――目が……。
[砂埃が飛び込み目が霞む。
そのまま上昇は続けられたが、次なる攻撃にすぐには転じられず]
[意識を失った女が再び取り戻した時、軽業師の姿は傍になく。
皮膚がひきつるような痛みと、爛れた肉が放つ異臭に焼け焦げた眉根が寄った]
顔……。
私の、顔――……。
[そっと。
手で触れる]
……… ………っ!?
[瞬間。
爛れた肉が発する痛みに、飲み込む悲鳴。
身体を支えるのも辛いと言う様に、両手をペタリ、床に付く]
あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″
[伏した女の唇からは、言葉にならない慟哭が床に落ちる。
慟哭を漏らす唇は、何時しか大きくその顎門を開いて。
粘膜の赤を誰に見せるでもなく覗かせる。
そして――…]
[メリっと嫌な音が一つすると、それを皮切りに唇が大きく裂ける。
裂けても尚、広がる顎門。
紅い噴水を撒き散らしながら、これ以上ないと言うほどに開いた其の口の中からにょきっと生える白い腕。
腕に続き、ずるりずるりと古い皮を脱ぎ捨てて新たな顔や身体が生まれ出でる姿は、まるで蛇が脱皮するかのよう]
…―――憶えているよ、レーメフト。
[砂塵が舞う中、
首を傾げた姿勢で音の出所を意識する。]
俺がお前の『炉』を起こし、
[ぐぐっと槍を後方へ。
そして助走、跳躍、『一閃』。
より後方に位置する柄先端から弧を描いた片刃部分の接合部が外れ、柄+型刃部分の薙刀状に長さが延びる。]
お前が俺の―――…
[その先の音は、聞こえず。]
[足の先まで、全てを傷つく前の姿を取り戻せば、はぁ……と大きく溜息をついた。
蝮の女と呼ばれる女の異能力の一つが、この脱皮による超再生である事を知る者は少ない。
だけど、今はもう滅んだはずのあの施設にいた頃と比べて、
生まれ直すのに酷く時間と力を要するようになってきたのは、命の灯火が付き掛けているからだろうか。
それでも――…]
まだ滅ぶ訳にはいかないわ。
あの子を……までは。
[掠れた声で一つ呟いて、今は消耗した体力を回復するために、ゆっくりと眸を*閉じた*]
下がれ……っ
[相手を視認出来ないながら、斜め下へ向け弓を構える。
相手の助走と跳躍は耳に届いていたが、弓は届き槍は届かぬ距離だと高を括った]
あ……っ
[しかし、予想だにしない一閃が。
腹を切り裂き、紅を散らす。
矢から手は離れていたが、狙いをつけぬ攻撃が何処へ飛んだかはわからない]
くそ……ッ!
[空いた右手で腹部を押さえ、上昇を続ける。
高さと距離を十分に離し、両眼のざらつきが消えるまではこちらから攻撃する事はない**]
[空中に投げ出す音。]
………2012年…
[ぽつり。
呟きと共に、有翼人との距離は見る見る開いてゆく。
地面に砂塵と共に落ちた男の周囲に、芥子の種のように小さな血の雨粒がぽたぽたと降った。]
[薙刀状のそれを元の形に戻す。]
…――――……
[空中に投げ出した音に有翼人は反応しただろうか。
放り出した酒瓶を再度抱き寄せると、四辻を後に瓦礫に身を寄せながらその場を去り始める。
明瞭な意識は容を崩し影を潜め、無意識が意識を凌駕する。**]
― 挿話・放浪する復讐者との舞踏 ―
[――砂塵の街に、つむじ風が舞う。
墨色の夜に僅かなりとも往来のある界隈が
途切れ、瓦礫の中へ折れた柱ばかり立つ道。
道化たなりの男は其処で相手を待っていた。]
……
( ― 早すぎたかな ― )
[眉の曇る面持ちで軽業師が向ける問い。
…如何にも、急いた取立てを詫びる態。]
[取りっぱぐればかりを危惧した、得手勝手。
取引を重ねた客に類似の記憶はないだろう。
サンテリの返答を待ち、砂上へ歩を出した。]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了