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[松明を持つ村人たちの様子に、凍る湖上の祭壇へ
ドロテアを捧げた折のような躊躇いは窺えない。
おおかみの届かぬ屋根に上った村人たちが、
狼遣いを小屋諸共焼こうと火矢を用意し始める]
…
ああ。
長老さまは…「癒す」おつもりのようだな。
…
あんたが「変わらない」と言ったのは、
レイヨ。
変われないことへの方便だったのだな。
[手伝いを求める求道者へはそう言い落とす。
埋まる者へ歩を寄せると、ぎ…と床が軋む。]
…。では、選んだままに。
せめて、けものの性で。
儘にあじわって―――愉しむ、さ。
…彼女なら何かしてくれたかも知れません。
貴方が狼に村を襲わせる理由が病なら…
望みと評する彼女だけでも全て告げればよかったんだ。
確かに彼女はここにいる彼に殺されました。
でもそれは貴方が…
口を開かなかったからでもあると思います。
その術を僕よりずっと貴方は握っていた。
[窓の外に見える焔の揺らめきは松明だけでないけれど、寒さを凌ぐのにやっと用を足すだけの崩れかけの小屋は、人の力に抗う術を持たない。獣の滅びを想えど眼差しは狼にも白蛇にも移らず、眼前にある群れの頭角を捉えるまま]
飼い馴らされるのと…
獣にはどちらがマシなんでしょう。
[煽動される狼に対してだけでなくぽつり呟いて、零した呼気は隠し切れぬ想いに微か震える。トゥーリッキの言葉に面持ちを違える事はなく、引き出せぬアルマウェルの腕をまた引いた]
…どう受け取られるも受け手次第です。
僕はその前言を訂正はしません。
[トゥーリッキの言葉を前面から否定せずも、容れず答える声は静か。軋む床は抜けず、引く腕に添えられる手はあるだろうか]
………結局は、貴方から奪わせてしまう…
わざわいの先触れたる我らが潰えるなら、
そののちの「望み」…そういう意味だ。
けものの理にひとの理でもって
つきあってくれる必要はないよ、若先生。
[抱いた望みの小ささ故に、遣い手は話を切る。
確かめることが出来るのは重ならぬ性(さが)ばかり]
歩まぬレイヨ、と呼ぶ訳を
言ってしまわねばならんかね?
[車椅子の脇をやわらかく踏んで進み出るのは、
遣い手の傍らへ添っていた一際大柄のおおかみ。
半ば生き埋めとなったアルマウェルの乱れ髪を、
襟元をすこしの間くんくんと嗅いで――――
ぞぶり。
アルマウェルの肩口へと牙を深々うずめた。]
…引け
[本来ならば、告げる必要も無い下知は短い。]
引っ張り出して、生きていたなら
手伝ったことになるのだろうよ。
[瓦礫混じりの雪のなか、使者の全身は果たして
如何なる状態だったか。引出す力は*容赦ない*]
…―――律儀ですね。
[切られる話へ返した言葉は短く、前髪に隠れぬ面持ちは酷く…―――続いた言葉へ引き結ぶ口元は笑まず、眼鏡の奥の眼差しだけが細まった]
望まれぬ言葉なら求めるのは気が引けますが…
お聞きできれば幸いです。
[寄り来るひときわ大きな狼の開く口―――覗く鋭い牙はアルマウェルへ深々と刺さるも、前髪に隠れる眉が痛みを思い潜まれど苦言を呈する事はない。引かれる力に助けられ、彼は雪より引きずり出されるだろう]
[降ってきた物らの下敷きになった男の左肩から、赤が零れ出る。狼の死骸は衝撃で外れはしたが、すぐそばに。引き裂かれたようになった傷口は熱を持ち痛み]
……、
[声はあげずも、眉を寄せて。脱け出そうとするが、自力ではなかなかうまくいかず、試みながら二人が話すのを聞いていた。松明は見えなくとも、その話と近付く気配から、曖昧な状況は知れ。ウルスラの話には、少しばかり目を伏せたか。レイヨには腕を引かれるがまま]
……――が……っ、……
く……
[けしかけられる大きな狼。肩口へ牙を突き立てられて、目を見開く。先よりも色濃く表情に苦痛を滲ませながら、引き摺り出され、やがて雪の外へと解放された]
[すぐに立ち上がる事はできず、細くも荒い呼吸を繰り返す。額には薄く汗が滲んでいた。深く抉られた肩。左腕は、少なくとも、暫くは動かせないだろう。溢れ出る血は体力を奪っていく。瓦礫で幾箇所か付いた切り傷と擦り傷や、衝撃による打撲もあって]
……嗚、呼。……
[喘ぐように息を吐く。その場に倒れ伏したまま*]
[ずるり、引き出されるアルマウェルの肩の傷口からは、紅い血が流れ続けていく。独力で起き上がる事もかなわぬらしき彼の身を引き寄せ肩を抑えて、トゥーリッキと助力をくれた狼へ浅い礼を向けた。
車椅子の背に隠し置いたナイフで服を裂き、出血の酷そうな肩の傷を裂いた服で縛る。車椅子から身を乗り出し、傷だらけのアルマウェルに手を伸ばして引きずり上げ、無防備な背をトゥーリッキや狼や蛇へと向ける間]
…付き合い方を覚えてからでも遅くないはずです。
[忘却の術を持たぬアルマウェルへ、奮い立たせる強さはなくも回復を願う態で静かに囁く。大雑把な応急手当を済ませると、手を離せど彼の身は車椅子に座す膝元に寄りかからせるまま]
[アルマウェルが発する苦悶の呻きは耳に憶え、
イェンニの血を煮上げた腸詰めを喰らい終える。]
…――律儀かもしれん。
[血錆めく甘さの残る指を舐りながら、身を屈め
ビャルネが残した飾杖を じゃらり 拾い上げ]
なので、差し出されたものは受け取るとする。
[背を向けた車椅子の青年、その肩越しに――
遣い手が鋭く突く杖先は、吸いつく如く向かう。
身を起こされ、苦痛に喘ぐアルマウェルの喉へ。]
望まれぬ言葉を 求めた
*対価を*。
いきますよ。
[アルマウェルのわきの下に腕を差しいれ、ぐ、と彼の身を持ち上げ地に立つ。ギヂギヂギヂギヂ…―――非難の音は一気に高まり、ばらばらと天井は崩れ始めた]
僕は彼らの毛を呑みました。
…ツケの支払いの一部は彼らに求められるかと。
早く遠くへ逃がした方がいいと思います。
[車椅子から立ち上がった求道者は訥々と変わらぬ口調で語り、差し出すものを受け取ると言うトゥーリッキを振り返らない。ガタッガタン―――崩れ落ちる柱は寝台の上へも、つつかれていた鍋の上にも降り注ぐ]
…―――トゥーリッキ…
僕はもう奪われました。
[笑まぬ口が嘯いた冗談めかぬ言葉は崩れ落ちる小屋の悲鳴にかき消され、崩れる小屋の外へ杖先の迫るアルマウェルを力いっぱいに放る。村人は崩れる屋根の上から慌てて飛び降りるだろうか、何人かは倒壊に巻き込まれたかも知れないけれど、確かめもせず杖に突かれ倒れる視界には紅いマントが*揺らめいた*]
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