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ポルテさん…
[青年が浮かべるのは、あわい後悔。
心配してないわけじゃない、とはポルテへ
確かに口にしたことだったから――]
[レンとズイハラ。そして己。
青年が内臓を焼け爛れさせながら吐いた黒煙は、
彼我の間へ濃く立ち込めて――視界を奪う。]
…ズイハ ラ さん。
お元気で。
お帰りには是非、甘酒… 召し上がって下さい?
[最後の他愛無い声は、煙の【解毒薬】を示唆して]
[そして、独り残る部屋の中。]
ありがと、な。プレーチェ…
[いもうとからの贈りものを大切に懐へ収めた手は、
静かに自らのぶん…未開封のカプセルを取り出す。
手が震えて、多少梃子摺るが…やがてころん、と。]
…交換。
[白い狼のフィギュアを、プレーチェの手に握らせる。
細い指はそのまま死後硬直で硬く、かたく――…。]
Your
prayer
will be heard …
[とても…とてもつたない発音で呟いた青年は、
プレーチェを抱いたまま倒れ伏し…*そのまま*]
[メモを拝見]
だ、大吉……?
ようやっと村建て様も帰って来られたところではございますが、私今日はそろそろ失礼を致しますよ。
また明日、お目にかかりましょう。**
相応の報い……って。
おい、何を……
[レンがダンケに告げる言葉に、スプレーを噴射しようとする仕草に、当惑したまま間に割って入ろうとしたが、間に合わず。
咳き込むダンケが話す内容を聞き]
……客? 望み、って。
何だよ、それ。ダンケさんが、殺人犯なのか?
レンが……それに関わってたのか?
なあ、どういう――
[零れる言葉は疑問ばかりで。ダンケが吐き出した黒い煙に、続けかけたそれを呑み込む。目を見開いた濡れた姿は、すぐに煙に包まれて]
……っ、……う……
ダン……
[肺に流れ込む煙に、酷くむせて、犯人なのだろうその名を呼び切る事も叶わなかった。遮られた視界で、おぼつかなく壁に触れる。
その言葉から、様子から、ダンケはもう死ぬ気でいるのだろうと、死んでしまうのだろうと、思われた。
レンは何をしていたか、何かを喋っていたか。どちらにしても、少し考える。レンが場に留まろうとしているのであれば、あるいは煙に迷っているのであれば、その手を引くべきだろうか、と]
……
[僅かな猶予での、やはり僅かな思案。手探りでレンの姿を探すと、その腕を掴み]
……行……っ、……ぞ、……
[咳き込みながら、途切れ途切れに告げ、掴んだ腕を引いて駆け出した。煙から離れようと。途中、幾つか窓を開けながら]
[ダイニングの辺りまで来て、足を止めた。ダンケのいるプレーチェの部屋から遠ざかるにつれ、段々と薄くなってきていた煙は、もう一切がなく、視界も鮮明で]
……ああ、やべえ。
なんか、体……重いん……だけど。
[室内を見渡しては、呟く。だるそうに時折咳き込みつつ。その腕は離さないまま、レンの方を見て]
……どういう、事なのか。
教えて、くれるか?
[見慣れたそれとは違う姿をしたレンに向けるのは、真剣な色を湛えた双眸。些か掠れた声で短く問い掛け、その返事を待った*]
けはっ。
やっぱりおとり捜査には、一般人が適任なんだよ。
ははっ、お姉さんに怒られそう。
ゲンちゃん、どこ?ごめん、目が霞んで、見えない……や。
あれ、言ってなかったかな、アンと僕のこと。まあ、いいか。
僕らの両親はとある会社の社長だった。でもある日、突然死んじゃった。
死因は不明。でも、警察は何もしてくれなかった。科捜研だっけ?ドラマとは全然違ったね。
それで、以前世話になった興信所に頼んで、調べたんだ。そしたらね。
パパとママは、副社長に毒殺された……んだって。調査結果にはそう書いてあったよ。
パパたちの仇……副社長を恨んだよ。でもね。実際に手を下したのは彼じゃない。彼に雇われた殺し屋……。人を殺すのを生業に、お金を稼いでのうのうと暮らしてる。そんな奴等がいるから、頼む人が出てくるんだ。
それでね、アンと僕が依頼したんだ。毒殺請負人を雇って、山荘におびき寄せて奴等を捕まえようって。
パパとママが遺してくれたお金……といっても、ほとんどが取られちゃったけど、それを全額つぎ込んだよ。殺して欲しい人がいるからって。
ある程度特定できた請負人の身内に、出した手紙が数十通。情報屋に手を回して、警察の関係者も呼んでさ。
それでね、ゲンちゃんは……あの。うん。
ほとんど無関係なんだけど。言いにくいな。
アンがね。
一目惚れ、なんだって。それで、死ぬ前に一度お話したかったんだって。
怒った?
ああ、もう迎えに来たのかい、アン。
どうしたの?怒ってる?
そっか、内緒にしといて、って約束だった……っッ。ごめん。
うん。また一緒に暮らそうよ。
パパとママと……アンと。
どうしましたー?
[長い長い廊下を歩く途中、足を止めたアンを振り返る]
急ぐと転びますよー……
[ひかれるように走り出したアンの背中に言うが、既に遠い。
壁に手を添え、薄暗い廊下を再び歩き出した。
*当て所も無く*]
[歩む足に、何かがかつんとぶつかる]
んー?
[次から次へと、ざらざらと音がして流れゆく気配。
しゃがみこんで、おもむろに手を伸ばした]
……おじさま。
[針の傷痕残る指先は、黒い狼のカプセルトイを*すくった*]
……俺は此処にいる。
[レンに、その腕をしっかりと掴みながら応えた]
アンさんと……家族だった、のか。
[アンとの関係は、露にされた姿を見た事で予想ができていた。だが、続けて語られる内容は、全て考えもしていなかったもので]
……
[無言のまま、話を聞いていた。
復讐など――頭に過ぎったお決まりの台詞も、口にする事はできなかった。レン達の悲しみが、憎しみが、苦しみが、辛い決意が、わかったから。無実の者も巻き込む、正しいとは言えない行動だろうとは思いながらも、己が似たような境遇に陥ったとして、復讐の念に囚われないという自信はなかったから。
それ故に、肯定も否定も、発する事はなく]
……そうか。
[短く、ただ一言だけ、相槌を打った。
男は眉を僅かに下げて、微かに、しかし確かに悲しげな、やるせなげな表情をしていただろう]
え、……
[思いに暮れる中で少しだけ浮かんだ疑問は、すぐにレンから説明された。ぱちくりと]
一目惚れ、って。マジで?
てっきり間違いかなんかで呼ばれたのかと。
[驚きから、思わずいつものような調子で言い]
いや、怒りはしないって。……ん、や。
巻き込まれたってのは、怒るべきなんだろうけど……
なんつーか……うん。
まあ、俺は超イケメンだからな。……なーんて。
こんなんでがっかりされたかもなあ。
折角若いのに。……若かったのに。……
[冗談らしい言葉に続けたのは、男にはあまり似合わないだろう自虐の欠片と、沈んだ呟き。俯いて、拳を握り]
……レン?
レン。おい、……大丈夫か?
……って、俺もあんま、大丈夫じゃないかもだけど……
[虚空に――そこに死んだはずのアンがいるかのように――話しかけるレンを見て、はたと、困ったように問い掛けてから、また咳き込んだ。
男の声に、応える声はあったか。いつの間にか足元に来ていた猫が、にゃあ、と小さな声で鳴いた*]
ああ、アン。そっちにいたんだ。
あはは……ゲンちゃん、怒ってないって。よかった。
でもさ、やっぱりゲンちゃんってボケ担当だと思うんだよ。
[ミケは首を傾けてから、レンの手にすりよって]
え、俺以外だったら即懐くとか。なにそれショック。
マジで、出島、マジデジマ、な感じだし。
[その様子を見ながら、冗談らしく言ったのには、この状況を紛らすためというのもあったかもしれない]
だから俺はボケじゃないっての。
ってか……何だよ、どうしたんだよ。
そこに誰か……――アンが、いるのか?
[呟くように問いかけ――レンが血を吐いたのを見て、はっとした。傍らに片膝をついて座り]
大丈夫……じゃ、ないよな……
どうしたら……
ち、待ってろ、とりあえず、水取ってくるからな!
[どうするべきかもわからず。ただ大声で呼びかけて、レンの側を離れた。駆ける足取りは少々重たげに]
[やがて紙コップを二つ手にして戻ってくる。その片方には水が。片方には、ダンケの作った甘酒が。
ふいに、ダンケの遺した言葉と、甘いのが好きだと言っていたレンの言葉とを、思い出した故に。もしかしたら毒なのかもしれないとは考えたし――仇である相手の酒など、飲まないかとも思ったが。
それでも。水にしても、甘酒にしても、望むものを与えてやりたいという思いから]
……ほら、
[少しの眩暈を覚えながらも。レンの手の近くに紙コップを並べて置き、その側に座って*]
―― いもうとのむくろ抱く部屋 ――
[…灼けていく。
からだの内側から、爛れていく。
薬剤で刺激された体内の微生物は、
臓腑が沸き立つほどに毒素を吐く。
喘ぐ青年の口元から溢れた煙と血泡は、どす黒い。
胸が破れ、腐蝕した体液が流れ出る頃には、
毒殺請負人たる青年はすでに事切れていた。]
[血肉の融けた液体は、ぶくりと黒く泡立つが
すぐに同じいろの煙となって立ち昇り――…
惨劇重なる山荘の床や、
既に冷たいプレーチェの骸を汚すことはない。]
―― 死に瀕する者の視界に ――
[しかばねも遺さず消えてしまったから、]
…ごめんね?
[佇む青年はきっと――彼岸のまぼろし。]
悲しませて、ごめんね。
苦しませて、ごめんね。
うらませて、ごめんね。
[穏やかな笑みに、翳りはない。
呟き落とす声に、怨嗟はない。]
謝ったりして、ごめんね。
[…慣れぬ態で踵を返すのは、
亡霊になったばかりの青年]
愉しんで 、 ごめん。
[ちらと肩越しに燻らせる苦い笑み。
消えない己の嗜好…"毒"を抱えて。
亡霊はレンの視界から、*立ち去った*]
[指さされた紙コップをレンに差し出した。中身は――甘酒。それを、男は単なる甘酒だと思っていたが]
美味い?
[レンが甘酒を飲んだならそんな風に尋ねてみて]
……本当、どうすりゃいいんだか。
携帯は、持ってたな……忘れてたけど。
電波が届くとこまで行って……
[そこでごほごほと咳き込む。口元を押さえた掌には、微かに血が付着していた。うえ、と零し]
……その前に死んだりして、なあ。
したら、マジ俺どんだけーっつか。
見た目ただの遭難者? てか、マジ遭難したりして。
[独りごちながらも、男も甘酒を紙コップに注いで口にした。ダンケの言葉に込められていた裏の意味には気付かないまま、気合いを入れるために、偶然に。
何かとついていなかった男は、同時に何かとついている男でもあったのかもしれない]
……さて、と。
じゃ、行ってくる。……戻る前に、死んでるなよ?
[倒れるレンにそう告げると、男は山荘を後にした。嵐はいつの間にか過ぎ去り、外は静かな雨上がりの午後の様相を呈していた。弱くも眩しい光に目を細め]
……っし。
頑張れ、俺……!
[ぐ、と拳を握り締めると、山の中を駆け出した。嵐の後で、悪い足場に時々転びかけ、というか転びながらも。体調は先程以上には悪くならず、むしろ回復していっていた。その理由を男は知らなかったが]
……よ、しゃー!!
[<19>分程いった頃か、届いている携帯の電波に、泥と水で汚れた姿でガッツポーズをとった]
じゃあ、とにかく、早く電話を……
[と、携帯のボタンを指で押しかけて]
……
[木々の間から見える崖に、ふと、思い出したように胸ポケットに触れ、その中にあるそれを取り出した。
くすんだ真珠の付いた、銀の指輪]
……もう十年、なんだもんな。
[呟いては、崖の縁に歩み寄り]
[その手の内の指輪を崖の向こう、開けた空中に向かって投げた。指輪は超豪速球のように飛んでいき、すぐに消えて見えなくなる。それを確認してから、溜息を吐き、小さく笑った。どこか寂しげに、だが清々しげに]
じゃ、電話するか。
[そして、男は目的を果たした。……通話する途中で何かが背後を通った気がしたが、気にしない事にした。例のハリセンも山荘の部屋に忘れてきてたし。]
[男が山荘に戻ってきた時、レンの姿はそこにあったか。どこかに消えてしまっていたのかもしれない。
嵐の中で起きた嵐のような事件は、静かに終わっていく。静かとは程遠い性格の男を*残して*]
―数刻前 / プレーチェの部屋―
[兄に見守られて部屋の中へ入り。
疲れた体が倒れこむのは飛び出してきたその時のままではあるが、それでもふかふかの柔らかなベッド]
……くらくら、する。
いろんなこといっぱいありすぎたから…かな……
こういうときこそ、落ち着くのしなくちゃダメ。
ひつじくん。
[ひつじくんをぎゅっと抱きしめる。
視線の先には机と、その上に置いてある小さなアニマルフィギュアの小さなひつじ。]
そうだ、小さなひつじくん。
ねえ、ひつじくん。小さなひつじくんはね、ひつじくんのきょうだい。
妹だよ。日本語きちんとなおす、小さなひつじちゃん?
ひつじくんの妹は、お兄ちゃんの傍にいてもらうの。
おそろいで、一緒。
お名前つけて、お兄ちゃんにあげる。元気になるといいな。
よいしょ……
足のかんじ、変……どうしたんだろう。痛いのは、ない……ですけど。
そうだ、べたべたはあとで洗わなくちゃいけないです。約束。
[ベッドから起き上がり机に向かうふらつく足取りはひどい疲れ故のものか。それとも……]
[椅子に腰掛けて。
ひつじくんは小さなひつじと並んで机の上に。]
ねえ、ひつじくん。
変なこと。
お兄ちゃんに聞かれた。変なことはなかったか。
心当たり。
プレーチェはね。何かわからないけど、「知らないということ」を「知っている」です。
パパとママ、プレーチェに隠し事。昔からずっと。プレーチェだけが何か知らないってわかる。
何を隠してるかはどうやってもわかりませんです。なぜを、教えてもらおうとしてもいつの間にか話、そらされる。
プレーチェはプレーチェなりにがんばる、勉強頑張って日本来た。
やっと会える思ったのに、日本に来ても見つけることができなかったは、ちょっと変。それはわかる。
[瞳の中の幽かな揺らぎは疎外感からくる感情か。ひつじくんの頭を優しくなでる。]
……おまもり。
[小さなひつじの頭にふれて。優しくなでて]
お兄ちゃんと一緒にいられますように。
離れ離れはいやです。やっと会えた。
プレーチェがお兄ちゃんの傍にいれない時は、
小さなひつじちゃんが、お兄ちゃんを守るです。
守ってください。
そうです、お名前を分けてあげるです。
そしたら大学とお仕事で会えない時だって、いつだっていっしょ。プレーチェといつもいっしょ。
[小さなひつじの名前を綴った、兄に宛てるメッセージカードには想いを込めて。]
……ここでの事は、「わからないこと」と関係があるですか?
お兄ちゃんがどく…さつ…されちゃうのは嫌です。
お兄ちゃんだけじゃない。レンくんもズイハラさんもポルテさんも、みんな無事がいい。誰も狙われないで、誰も犯人じゃないがいい。
みんな元気ない。プレーチェが元気にする。お兄ちゃんだけじゃなくてみんなを元気にする。大変なときだからこそ。明日になったらお歌を歌ってはげますです。
最初は、お兄ちゃんにプレゼント。
プレゼント。リボン。
バックにいいのがあるといい。
――――きゃ!
[ひつじくんを抱いて椅子から立上がり、歩こうとするがその足は思うように動かない。
辛うじて床との衝突を避けてベットに倒れ込めたようだ。
しかし、白い何かが付いたその足は既に何の感覚も―――先刻のガラス傷の痛みすらも、何もない]
あれ、あれ?言うこと、きかないです……?いたくも……何も、痛いのが、ない……?
おかしいです、なんですか、これは?
ひっ……!
[動き、足に纏わりつく白い何か。足が沢山ある何か。]
たす、けて……たすけてお兄ちゃん!
変なの、動いてる、で、す……
[ひつじくんを強く強く抱きしめる。兄に縋る様に。
感覚のない足は蜘蛛が噛み付く痛みすら伝えない。
足に纏わりつくその白い蜘蛛を、蜘蛛とは知覚できない程に既に意識は朦朧としていて]
『お兄ちゃん』
[声に出したはずの言葉が、空気を震わせなかった事だけを辛うじて知覚して―――]
………
あ。お仕事の、かおり―――
[時が経ったのかも、経っていないのかもわからない。
意識は既に体から離れているのか。それともまだそこにあるのか。自分は何処に在るのか。
蜘蛛が持つ蜘蛛の主の香りであるのかも、ほんとうにそこにその主が「いる」のかもわからない。けれど。]
―――お兄ちゃん、たすけに来てくれたですか?
プレーチェのこと、守ってくれるですか。
[手を、ぎゅっと握る]
嬉しい――……
[――確かに甘く優しい香りがしたような*気がした*]
ケホケフグ“ョ”“ォ”……ッ
[焼けた喉は異物の侵入を拒む。靄のかかった視界にぼんやりと人の影]
行……って……やっ、置い……かな……で。……りは、もう……
[蝕む毒に舌は痺れ、掠れた言葉は山荘へと吸い込まれていく。
その人物の影が小さくなっていく様子を、ただ見つめていることしかできなかった。
彼に対して抱いた感情の名は……
やがて山荘に来た者は気づくだろうか。そこから外へ向かって点々と地面に残る赤い沁みに]
死亡者、6名。生存者、1名。
そう報じられた事件は一時マスコミの興味を引いたけれど、
左程時もたたぬうち、日々の雑踏の中に埋もれ、人々の記憶から消えていくのだろう。
静まりかえった山荘。人気のないダイニングの机の上。
無造作に残された一通の手紙。
そこには―――
[* Fin *]
[手にした狼のカプセルトイに齧りついた]
犯人がわかっちゃった、なんて――
[カケラは、ぽろぽろ足元に散って]
ウソですよー。
[星になる**]
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