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―― 集会場 ――
[そこへ辿り着いたとき、既に生き物の気配は無かった。
ハンカチで口元を押さえながら、奥へと進んで行く]
ネリー?
[月光は炊事場の食器棚の辺りに降り注ぎ、その開かれた扉には血に染まったエプロンがかけられていた。
もしかしたら、女給以外の血も混ざっていたのかもしれないが、そんなことは判別つくはずもなく]
相変わらず、メイドというのは気がきくんだな。
……いや、持ち運ぶのには少し大きすぎるか。
[残されていた包丁を拾い上げ、ハンカチで拭う。
顔色ひとつ、変えることは*なかった*]
せめて、とめてくれないか。
[震えを、あるいは復讐の念をどうにかして欲しいという思いは、願いというよりも弱音に近い。
かつてネリーだったもの、その残像がちらついて、思考がかき乱される]
―― 村と外の境目 ――
ラッセル、待て、忘れ物だ!
[まだ暗いうち。近くの木々から聞こえてくるのは梟の鳴き声くらいのもので、多少の距離があろうがローズマリーの声はいくらか届いただろう。
掲げた右手には細い紙切れが揺れる]
栞がないと困るんじゃないか?
ベベベベベッドとか誤解もはなはだしい!
[通常比1.5倍のスピードでラッセルへ近づいていく。
差し出したのは一見すると普通の栞だが、年季だけはやけに経っていた]
人狼というのは、逃がしたら、またどこかで喰うんだろう?
次に会ったら、絶対に逃がさないと決めていたんだ。
[手を離すと栞は風に乗る。
代わりに手にした銃を向けるが、どうしても震えてしまう]
照れてるわけじゃない。
[真顔で返して、息を飲む]
逆恨みだと思えばいい。
でも、こうしないと私はずっと後悔したままだ。
[顔をゆがめて引き金を引く。
響き渡る銃声は1つだけ]
気なんて済むわけないだろう。
[唇を噛み締めて堪えたが、涙があふれる。
首を小さく左右に振った]
死に様さえ見せられなければ、咎めたりしなかった。
[自分を正当化するような言葉を吐き捨てて、赤い地面にしゃがみ込んだ]
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