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ねえ、グリタさん。
[彼はまだ、聞いていただろうか]
もし、俺が……「そう」だったら。
[人狼、だったら]
俺の荷物の中に猟銃があるから。それで――
[言いかけた言葉は、グリタの表情を見直すと、かき消えた]
ごめん、変なこと、頼もうとした。
じゃあ俺、行くね。
[にー、と笑うと踵を返して部屋を出た*]
― とりあえず、後日 ―
[目印にと置かれた石に向かって手を合わせる。
お供えしたのはお線香と、あの日飲んでもらえなかった、蕎麦茶。
あの、人狼騒動のから開放されたあと、ゲッカの遺骸をどうしたのか散々問いつめたが自警団長はついに口を割らなかった]
まあ先にぶん殴っちゃったからなー
[危うく流血沙汰にしそうだった自分を止めたのは、祖父の一言。
それでこうして、お墓とも呼べないこの場所で、手を合わせることが出来ている]
それじゃちょっと、行ってきます。
[立ち上がると土埃を払う。
普段と変わらぬ格好だが、行き先は違う。
帝都――
最初グリタの後をこっそり付けて行こうとしたその目的地は、迷子になったときにたどり着ける気がしなかったので、念のため行き方を教えて貰った]
おっと。
[覚え書きを取り出そうとして、別の紙に触れる。
人狼騒動の始まりを告げた、封書と紙ぺら。
それを、睨むように眺めた後。
くしゃりとして背後に投げ捨てた**]
[帝都に来て数ヶ月]
おっと、すんませーん。
[背広姿姿の男を避けるふりして、相手の容姿を確認する。帝都にいるはずの父は、まだまだ見つかる気配がない]
にしても人、多いなあ。
こんなかにもあやかしがいるのかなあ。
[村に二人、であれば帝都にはどれほどか]
そんなにいるわけないか。
[人狼。と、苦笑混じりに漏らした声を、聞くものがあったか否か]
すみませーん!
こちらにグリタさんという方が、います?
俺? バクっていいます。グリタさんにはお世話になって。
ほらこれ、お土産。
[雑誌社にて慌てる若い記者に、満面の笑みで鹿肉を差し出すマタギの少年である**
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