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そっか。うん。それできちんと人と出会えたから、正解だったと思うな。
[いきなり非現実な目に遭ったら、まず人のいそうな所へ。
真っ先に過去を探しだした自分と比べて、遥かに現実的だと思った。続くことばには]
そっか・・・無理に思い出そうとしない方がいいかもしれないわね。
案外、考えて行き場所決めるよりも、直感に従った方がいいかもしれないわね・・・
[現に、直感だけに従った結果、自分は次々と遭遇しているのだ。
がんばって。と一つうなずいた]
―今―
[公園から出て、家の前まで歩みを進める。
途中、いくつか出てきた光景は、全て「彼」の申し出を最初は突っぱねるが、最後には笑って受け入れる「自分」]
みーちゃん・・・ちがう。ちがうよ。私が笑っていたのは、彼が幼馴染だったから。ただそれだけだよ・・・
[伝えることばも、彼女には届かず、抱きしめた腕もむなしくすり抜ける。
自分の「ワスレモノ」。まさか、それは。]
[そして、ついに家の前に。
予期していた通り、「過去の残像」がまた姿を現す。]
・・・え?
[しかし、出てきたのは、「自分」でも「彼」でも「娘」でもなく、自分の母世代の、近所の人々。]
「聞いた?最近穂積さんとこ、男の人が毎日・・・」
「知っているわ。本人「ただの幼馴染」って言っているらしいけど・・・全く、最近の若い人は品のない・・・娘さんのこときちんと考えているのかしら」
[改めて近所の人からどう見られていたか気づき、うつむく。と、]
「それがねぇ。娘さんのことを考えてらっしゃるから、今の状況らしいのよ。」
[一人が、わざとらしく声を潜めて言う。しかし、その声は少し離れたこの場でも聞こえる。それに、「どういうこと?」と、他の人が目を輝かせながら頭を寄せて、]
「穂積さんとこ、ほら、交通事故で旦那さん亡くなったじゃない?それで、新しい旦那さん迎え入れるの躊躇しちゃっているみたいなのよね。
娘さんが、新しい「お父さん」を拒否しちゃっているみたいで。」
「あー。けど、みーちゃんの気持ちもわかるわ―。死んでしまったお父さん以外をお父さんって呼のは躊躇するものねー。」
「そうそう。それに、最近、血の繋がっていない親からの虐待、問題になってるでしょう?それも懸念しているみたいで、それで穂積さん、なかなか踏み出せないみたいなのよねー。」
[繰り返される、「娘さんのため」、「娘さんが嫌がっているから」という言葉。
体中が暑いのに、頭の中がさっと冷える。]
違う!
[叫ぶ声も、届かない。
次の光景は、何となく予測がついていた。]
・・・
[すなわち、曲がり角の向こう、遠慮も容赦もない大きな声に、呆然と目を見開いて立ち尽くす娘の姿。その隣には、娘の友達。]
「みーちゃん・・・いこう・・・」
[行って、「娘」を促して、こちらに背を向ける。恐らく、向かうのは公園だろう。そこで「娘」は泣くのだろう。
そして、そのまま周り全てから人が消えた。]
・・・
[家の方に一歩踏み出すと、そこには、泣きはらした目で家を見上げる娘。
深呼吸をして、精いっぱいの笑顔を作って、扉を開ける。]
「ただいまー。」
帰ろう。帰って、みーちゃんに、ちゃんと伝えないと・・・
[教えてもらった。だから、あなたのために無理していたのではない。
と、きちんと彼女と向き合わなければ。
そうでないと、彼女はいつまでも、家に帰ることができない。**]
『ワスレモノ、みつけた?』
[声が聞こえる。]
みつけた。大切な、ワスレモノ。
[自分の答えに、返事の代わりに時計の音が響いて、]
[自分を呼ぶ息子の声に、目を開ける。]
うん。だいじょうぶだよー。ごめんね。
[壊れた像の建つ、池の前。
ぼーっとしていた自分の手を引く小さな手をそっと握って、]
ねえ、ひろくんは、みーちゃんのこと、すき?
[しゃがんで、目線をあわせて訊く。
返ってきたのは、]
そっかぁ。おかあさんも、みーちゃんも、ひろくんも、それから、おとうさんもだいすきだよー。
みーちゃん、かえってきてくれたらいいねー。
[かえろっか。
荷物を拾い、あいている方の手で小さな手を握る。
帰ったら、彼女に電話をしよう。
何を伝えようか。頭の中で整理する。
元はといえば、自分にも原因があるのだ。
少しずつでいい。彼女が自分を許せるように。
細い肩に、誰にも気づかせないように担いだ荷物を受け取れるように。]
やねよーりーたーかーいこいのーぼーりー
[スキップしながら歌う息子の声。
それが、幼い頃のみーちゃんの声に重なり、
ポーンと、どこかで鐘の音を聞いた気がした**]
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