……違う。僕は人狼じゃない。
[少年の言葉は誰にも届かない。]
人狼は、誰だ。
お前か。それともお前か。
[誰もが自分を無視していることに、苛立ちながら。少年はぎりぎりと歯を食いしばる。]
どうしてお前が生きている。
お前が邪魔しなければ殺せたのに。
[帽子の女性に殺意を向けたのは、一番御しやすそうだったから。一番罪を着せやすそうな青年は、力で勝つ自信がなかったからターゲットにしなかったのに。]
お前が人狼なんだ。その服の血は何だ。
……っ! みんな見てるだろう! なんで捕まえないんだ! 殺さないんだ!!
[自分が死んだことに気づかないまま。
……自分の服も血まみれであることに気づかないまま。少年は叫び続ける。]