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・・・
[すなわち、曲がり角の向こう、遠慮も容赦もない大きな声に、呆然と目を見開いて立ち尽くす娘の姿。その隣には、娘の友達。]
「みーちゃん・・・いこう・・・」
[行って、「娘」を促して、こちらに背を向ける。恐らく、向かうのは公園だろう。そこで「娘」は泣くのだろう。
そして、そのまま周り全てから人が消えた。]
・・・
[家の方に一歩踏み出すと、そこには、泣きはらした目で家を見上げる娘。
深呼吸をして、精いっぱいの笑顔を作って、扉を開ける。]
「ただいまー。」
帰ろう。帰って、みーちゃんに、ちゃんと伝えないと・・・
[教えてもらった。だから、あなたのために無理していたのではない。
と、きちんと彼女と向き合わなければ。
そうでないと、彼女はいつまでも、家に帰ることができない。**]
『ワスレモノ、みつけた?』
[声が聞こえる。]
みつけた。大切な、ワスレモノ。
[自分の答えに、返事の代わりに時計の音が響いて、]
[自分を呼ぶ息子の声に、目を開ける。]
うん。だいじょうぶだよー。ごめんね。
[壊れた像の建つ、池の前。
ぼーっとしていた自分の手を引く小さな手をそっと握って、]
ねえ、ひろくんは、みーちゃんのこと、すき?
[しゃがんで、目線をあわせて訊く。
返ってきたのは、]
そっかぁ。おかあさんも、みーちゃんも、ひろくんも、それから、おとうさんもだいすきだよー。
みーちゃん、かえってきてくれたらいいねー。
[かえろっか。
荷物を拾い、あいている方の手で小さな手を握る。
帰ったら、彼女に電話をしよう。
何を伝えようか。頭の中で整理する。
元はといえば、自分にも原因があるのだ。
少しずつでいい。彼女が自分を許せるように。
細い肩に、誰にも気づかせないように担いだ荷物を受け取れるように。]
やねよーりーたーかーいこいのーぼーりー
[スキップしながら歌う息子の声。
それが、幼い頃のみーちゃんの声に重なり、
ポーンと、どこかで鐘の音を聞いた気がした**]
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