情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了
[1] [2] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
はい。ありがとうございます。
雷電さんも、お気をつけて。
[お辞儀を一つした別れ際、]
・・・「ワスレモノ」?
[そういえば、そんな言葉を聞いた気がする。]
わかりました。
[一つうなずき、自分も家・・・の途中にある、かつての職場、8年前に潰れた美容院へと足を運んだ。]
「ワスレモノ」
10年前・・・
[目的地へと速足で向かいながら、つぶやく。]
あの人が死んでしまったのは、15年前。
再婚は、6年前。
[そう考えると、10年前というこのときは、あまりにも中途半端すぎる。]
本当に、10年前?
[タイムスリップ自体を訝しんでいるのではなく、本当に「ぴったり10年前」なのか、それとも、10年「よりも前」なのか。疑っているのは、その部分。]
[そうしてたどりついた、ごてごてとした外装の美容室。]
こんにちはー。
[扉を開け、何となく声をひそめてしんとした店内に一歩踏み込んだ瞬間、]
―!!
[誰もいない空間に、人々が現れ、そして、]
「にしてもぉ、ひまっすねぇ。」
[音までも聞こえてくる。]
あのっ・・・!
[皆が見知った美容師。誰に話しかけるでもなく声を上げるが、]
「この休日なのに誰も来ないって、ヤバくねー?」
・・・聞こえて、ない?
[それどころか、彼女たちはまるで自分などいないかのように各々くつろいでいて、そして、]
「こーら。お客様いなくても、やることはいっぱいあるでしょー。」
[言いながら現れたのは、今とほとんど姿かたちの変わらない、自分**]
―街、美容室―
「だってぇ。どーせかたづけても人来ないしぃ?お客さん、隣町のでっかいお店に全部取られちゃったじゃないですかぁ。」
[店の中、現れた「自分」に、派手な化粧と髪の色をした後輩が舌足らずな声で話しかけている。]
「けどねー。それでも来てくださるお客さんいるし、それに、さぼりは店長が許さないと思うなー。」
[それに対し、「自分」が、乱雑に置かれた週刊誌を本棚に並べ、店の奥を見ながら言う。]
「どーせてんちょーも、お客さんこないとこっちこないでしょー。そうそう、それよりもヒナさん、前からみんなで気になってたんですけどぉ、」
[からからと笑って受け流しながら、いきなり話題が変わる。]
・・・!
[この続きを、自分は知っている。聞きたくなくて耳をふさぐが、それにもかかわらず「声」は耳に入ってくる。]
「再婚、しないんすかぁ?もったいないですよぉ。ヒナさん、美人なのにー。」
[瞬間、「自分」の笑顔が明らかに凍るが、]
「んー。私をもらってくれる相手がいないからねー。」
[軽く受け流そうとする。]
[けれど、]
「またまたぁ。わかってますってぇ。前のダンナサンのことが忘れられないんでしょー。
こーつーじこでしたっけー。」
[うんうん。
いかにも「同情していますよ。」という風に、彼女たちがそろってうなずく。]
「けどさぁ。もう5年でしょー?
やっぱ、いつまでも引きずってないで、いいかげん新しー恋始めるべきだと思うんすよねー。
もったいないですよー。
だって、こきょーからカレシも追いかけて来てんでしょー。いつまでもほーちしてると、かわいそーですよー。」
[たまたま見たことあるんですけど、イケメンですよねー。
続ける彼女の言葉に、]
「あの人は、彼氏じゃないよー。ただの幼馴染。夫を亡くして生活が大変なのを気遣ってくれているだけ。
その中に打算や恋愛感情なんて一切ないよー。」
[作り笑顔で苦しい嘘を吐く。]
[覚えている。何かと世話を焼いてくれていた彼に、「前の夫のことを忘れることはできない。貴方に恋愛感情を持つことはできない。一緒になることはできない。」とはっきりと言ったことを。そして、彼はそれでもいいから通ってもいいかと聞いてきたことを。それを許したことを。]
「えー。そんなはなしありますー?」
[やはり彼女たちは懐疑的で、]
「あ。そっか。みーちゃん、でしたっけ?
あの子が嫌がってるんでしょ。だから結婚できないんじゃ・・・」
[一人の言葉に「ああそうか。」と全員がうなずく。]
「みーちゃんは関係ないよー。それよりも、エミちゃんはどう?最近、彼氏さんとうまくいってる?」
[いい加減嫌になってきたところで、「自分」も話題変換を図り、そして]
「そーそ、きーてくださいよー。カレったら・・・」
[成功し、愚痴という名ののろけ話が始まったところで、だんだんと「自分」たちの姿が薄くなり、声も小さく消えて行った。]
・・・なんなの・・・
[ふらふらと店から出る。]
「思い出」って、これのこと?これが、私が思い出さなきゃいけなかったことだとでもいうの?
[そんな馬鹿な。
そして、それを思い出したからと言って、なんになるというのだ。
この場に連れてきた変な生き物に文句を言いたくなった丁度その時、]
はぁ・・・
[帰るどころか、別の場所に閉じ込められるかもしれない。そんな話を聞かされて、それでも、やはり「ここ」で「何か」を見つけるしかないようで、その場に立って思考をめぐらす。]
10年前・・・
[けれど、]
なんで、15年前や6年前じゃないのかな・・・
[やはり引っかかるのはそこで、]
昔から辿って行った方がいいかな・・・
[ポーチからメモとペンを取り出した。]
[1] [2] [メモ/メモ履歴] / 絞り込み / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了