情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了
[1] 絞り込み / 発言欄へ
[まず視えたのは、振り被るように上げられた、右手。
それを何とか交わそうと自らも腕を上げる。]
五十年前の音楽室の次は、
理由なく襲われる映像かい?
強ち噂は噂じゃなかったとか、
言うクチかね? これは。
[耳を劈くようなサイレンに、頭を振るう。]
まぁ、あたしとしては、この状況、逆に好都合だね。
[瞳を貸した右目と、左目で辺りを見渡す。
血のように赤く、そして紫色に染まった視界の中で、
握り締めた古びた新聞紙がくしゃりと音を立てて。
自らの存在の意義をアピールした。]
[しかし何故、この村は未だ存在するのだろう?
握り締められた新聞は、三十五年前のもの。
古い地方紙にも一面に大きく躍る文字は、
四辻村と呼ばれる村が事実上、
姿を消した事を告げていた。]
そしてあたしは五十年前、この世には居ない。
[一瞬にして消え去った音楽室。
跡地にはただの草むらが広がる。]
――…この地に伝わる密教と、
何らかの係わり合いが有るのかね?
この、赤い視界は。
[貸していない左目を軽く手で覆う。
また、誰かの視界であろう。
ノイズ交じりの映像が、紛れ込んできた。]
教会、とやらを探してみようかね?
――…その前に、この生き永らえた者に
捕まえられないように、逃げる方が先かね?
[くっと喉で押し殺した哂い声が、跳ねる。
一度も訪れた事が無い土地。
しかし記憶には存在する道標。
息を殺して地を蹴る。
そうすべきだと教えてくれるのは――]
[1] 絞り込み / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了