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["追い出す"ことは、言葉ほど簡単ではない。
躊躇いとか、偽善とか、そういった言葉がついてくる。
サヨの手をにぎったまま、マシロとナオを見つめていると、ナオが上の階に放り出したあの錘をとるためにか、本当に降りてしまった。]
あ……、待っ
[いざ行かれると怖いなんて――ひどく身勝手で滑稽だ。]
[けれどナオに気をとられた一瞬――ほんの一瞬に。]
……サヨ、ちゃん………?
[手にしていた体温は少しの余韻を残して薄くなる。
みえたのは、まだ余韻消えきらぬそのひとの――くび。
隣をみることができない。
けれど手探りに、彼女の手を探すかのように手はふわふわとサヨがいたはずの場所を泳ぐ。]
[そんな中、何かを祓うようにマシロをはたくチカノ。
うつろな目を這わせて言葉の意味を舐める。]
チカノちゃん………?
[判る、と。
霊感だと言った彼女がマシロを"そう"と判別したらしい。
けれど――]
もし、誰かが犯人、なら。
どのみち私には……。
[暫しチカノを見つめた後、マシロの言葉を待つように視線を動かした*]
[マシロに問われても、ふるり首を振って肩をすくめる]
人為的な悪戯とかなら、こんなことになってない。
私たち全員、祟られちゃったんだと想ったけど。
[3人だけの空間に響くブザー。
"ひとり、追い出してください――――"
さきほど壊れたスピーカーから聴こえた声。]
ひとり。追い出すためには。
追い出すための理由がほしい……
犯人って表現、まちがってるかもしれない。
でも、もし"誰かがしてることなら"って仮定が――
[ほしいんだよ、ともらす声は小さく。]
無事でいられたら……、……いいや、はきそ。
[おやつを想像しようとしてみたが今の状態では失敗だった。
"くびになった"2人の生死もわからず、ナオもどうなったのかわからない今、皆で、なんて安易な考えは霧散して。]
……えっ、 託す、って え、
[責任逃れは悪い癖。託すと言われて焦る声。
無情にも現在進行形でエレベーターは動いている*わけで*]
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