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[考える、考える。
どっちがいいか、どうすればいいのか。
でも、結論はどうしても出なくて]
あー、もうっ……!
わっけ、わっかんねぇ!
[苛立ちを声に出したら、それが、雪色の侵蝕を揺るがした。
弾みで異変──狭間落ちが起きるかも知れないけれど、そこまで意識は回らない。*]
…………。
[気が付けば、雪はまた強くなって。
残っているのは、立ち尽くす自分と、熱を出した紅葉だけ]
………………。
[ぐ、と。
拳を握り締めて、それから]
[怒鳴った。
思いっきり、怒鳴った]
そりゃあ、雪はきれーだし、積もるの好きだし、ガキの頃はそれでよく遊んだけど!
ガッコ入ってからも、あいつらと一緒に遊ぶの楽しかったけど!
それで全部埋まればいいとか、な、い、か、ら!
[怒鳴る声に驚くように、降ってくる雪が、揺らいだ]
てか、あと、兎!
[次に怒鳴るのは、あれきり姿の見えない兎に向けて]
なくした、とか縁起でもねぇ物言いすっから、完全に誤認したじゃねぇかばかやろ!
[こっちは完全八つ当たり。
なくした『たからもの』、そんなのほんとはわかってる。
ただ、向き合うにはちょっとだけ、足りないものがあって、目を逸らしてた]
つーか!
雪、止めよ、いい加減!
このままここにいたって、なんもかわんねぇだろ、寒いだけだし、七咲さんヤバい事になってるし!
[びし、と空を指さしてまた怒鳴る。
怒鳴る先が何かはわからないけれど、とにかく、この雪色を零しているものに届けないとならない、と。
それだけは、わかるから]
[怒鳴った後に、ぽつ、と付け加えたのは。
このままじゃいけない、と思っても、でも、このままでいたい気持ちも何となくわかるから。
でも、そこに囚われたらいけない──いや、現実的にやばい人がいる、と、そう思ったからが結構な比率なんだけど。
怒鳴り声と、囁きと。
二つのこえに、雪色はまた、揺らいで。
風がゆっくり、動きを止めて。
雪が──止んだ。*]
[落ちてきた兎の言葉には、何も返さなかった。
今更何か言う必要もないような、そんな気がしていたから。
ただ]
……まーな。
[最後に向けられた言葉にだけは、ぼそり、と小さな答えを返して。
虹色と空色が呼びこんだ陽射しに、少しだけ、目を細めた]
……ま、どーなるかはわかんねぇけど。
このままなんもしないで、また繰り返し、に戻る気だけは、ないっす。
[それじゃ何も変わらない、変われない。
先に進めないし、後ろにも戻れない]
やるだけやるっきゃない、ってのは。
……もう、最初から、わかってんだから。
……ってと。
[随原を見送って、は、と一つ息を吐く。
それから、意識を向けるのは]
真白のヤツ、どしたかな。
[狭間に落ちてしまったいとこの事。
他の面々と同じく戻ってくるはず──とか、考えた矢先、背後から威勢のいい声が聞こえて。
直後に、衝撃が背中に伝わった]
……どわっ!?
[踏鞴を踏むものの、どうにか転ぶのは踏み止まった。
こんな事をやりそうな相手の宛は一つしかないから、誰、とは問わず]
真白、おま、ちょっとは自重しろ!
[振り返りながら飛ばしたのは、突っ込みだった]
[みんなで何かやるのが楽しくて。
みんなで何かを作るのが楽しくて。
多分、それは、自分の原点。
ひとりでやっても上手く行かない理由の一つ]
……ったく。
ま、こんなに雪積もるのになんて、この先お目にかかれるかもわかんねーし。
いっちょ作るか、でっかいの。
[に、と浮かべた笑みは子供の頃、いとこたちの筆頭として駆け回っていた頃のもの]
あー、あん時ゃ人数多かったし、結構な大きさの作ったよなぁ。
[もっとも、子供基準で『大きい』だから、実際にはそれなりだったのかもしれない。
でも、みんなで作ったそれは物凄く大きく見えたのは覚えている]
大体……こんくらいだったよーな。
[適当な大きさになった所で、雪玉の回転を止めて、ぽんぽん、と叩く。
頭を持ち上げる事を考えると、ただ大きくはできなかった]
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