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[そこは白く、老人には居心地が良くなかった。
彼女はゆっくりあたりを見渡し、それから立ち上がった。立ち上がった時、ようやく自分が座っていたことを知った。]
――…… ちゃァん……
[か細く、名前を呼んだ。誰を呼んだのか、彼女には解らなかった。ただ、ひとつ、確かなのは、彼女の傍には誰もいないということだった。家族の役柄を託した人形も、彼女の本来の家族もおらず、彼女はただ打ち寄せる白波の音の間にたゆたうよう、そこにいるだけだった**]
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